先生からのご相談「プレゼンなのに、自分たちが(資料づくりを)楽しむことに終始してしまう」
こんにちは、子どもが教える学校の鈴木です。
昨日、とある先生からいただいたプレゼン指導に関するお悩みをSNSで公開回答したところ、教育に従事される先生や関係者の方々からありがたい反響をいただきました。(特にFacebookでは、シェアも多数!感謝!)
改めて、「一人のお困りごとはみんなのお困りごと」だと実感しています。みなさんの反響を受けて、私が試行錯誤の中で得たもの、感じていること、もうちょっと「全体最適の視点」でシェアできればなと感じています。
ひとつの教室、30~40人のクラスで起きていることは、その場だけの課題ではなく、日本全国どの学校やクラスでも起きていることなはず!の精神で。
私が出来ることといえば、自分の知見をシェアすること、また教育的な組織にはどこにも属さない私の「アイデンティティ」を活かして、同じような思いを持つ指導者の方々をおつなぎすることかな、なんて感じている今日この頃です。
というわけで今日のご質問はこちらです。以前HPにお問い合わせいただいたものを転載させていただきます。
ご質問の内容:
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現在4年生を担当しており、2学期に総合的な学習の時間を使って、子どもたちにプレゼン力をつけたいと思っております。1学期にアプリを使いながら興味のあることを発表しましたが、「伝える」ということよりも、自分達が楽しむことに重視してしまい、プレゼン力がつかずに終わってしまいました。そのため、学校で発表のポイントを児童に伝える授業をしていただけたらと思い、連絡いたしました
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これも結構、困りごとあるあるのひとつなのかなーと思います。
文中にある、「自分たちが楽しむことを重視」というのは、恐らくスライド作りのことかなと憶測します。自分の興味のあることを、学校で発表できるとあって、嬉しくてワイワイ子ども達が取り組んでいる様子が目に浮かびます。
いろいろとアニメーションに凝ったり、あれこれと画像をペタペタ貼って、作品作りのごとく楽しんだり。まぁ、それ自体は決して悪くはないのですが・・。指導するほうとしては、ちょっと物足りなさを感じますよね。
鈴木の考え:
プレゼンテーション=スライド作り
そんな風に、子ども達が誤解しないためにも、「そもそもプレゼンとは何で」「今日の授業のプレゼンは何のためにやるのか」というゴール設定を子ども達としっかり共有することが大事かなと考えます。
特に、プレゼンテーマを、子ども達が自由に設定する場合は要注意。
プレゼンの本質は「誰かに伝わった」「誰かに分かってもらった」「誰かに影響を与えられた」というコミュニケーションの部分にあること、プレゼンとはコミュニケーションの手法であることをまずはしっかり子ども達に伝えてあげたいですね。
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子ども達への解説の参考になればと、いつも私が話している3つのことをここに書いておきます。
①プレゼンとは「自分の思いや考えを相手に分かりやすく伝える方法」
②プレゼンのゴールとは「相手に”行動”してもらうこと」
③プレゼン力が身につくと「あなたの夢が叶う」
(仲間ができる、企画が生まれる、物を買ってもらえる、やりたいことが叶うetc)
(この3つのことは著書にも書いています)
その上で、プレゼンには「話し手」と「聞き手」ふたつの登場人物がいること。そして、話し手の思いや考えが人に伝わると、こんなにいいことがあるよ、と具体的なエピソードを添えながら話します。
また、相手に伝わるためには「思いや考え」はどこかで借りてきたものではなく、あなた自身のものであることが大事。それとあわせて、「聞き手」を配慮した想像力も大事だと話しています。
小学生の君たちであっても、「今のみんなの等身大の思いや考え」が誰かの人の心を動かすこともあるんだよ、と彼らに伝えています。
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といってもなかなか子ども達は実感が湧かないと思うので、解説はそこそこに。。。笑
むしろ、それを「体感」できるような対話やワークを、プレゼン作りの段階で授業に取り入れるようにしています。
例えば、クラスの1人が「自分の好きな本」について発言したとしましょう。その子の発表を受けて、その話を聞いていた残りのクラスメイトに「フィードバック」を求めることから始めます。
「この発表がきっかけで、この本を知った人、手を挙げて」
「この発表がきっかけで、この本を読みたいと思った人、手を挙げて」
といったシンプルな問いです。
発表した子は、”誰もが知っている有名な本”と思っているかもしれませんが、自分の発表を通して、誰かにこの本のことを知ってもらえたことに気づくかもしれません。自分の紹介がきっかけでこの本を手に取ってもらえるかもしれないと、可能性にワクワクするかもしれません。
こうやって「相手を動かすことこそ」がプレゼンテーションだよ、と体感してもらいます。と同時に、必要に応じて「こんな伝え方の工夫があると、より相手に伝わるかもね」というワンポイントもフィードバックします。
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自分たちの好きなこと、興味のあることをプレゼンしてみよう!相手が何か行動してくれるかも!変化してくれるかも!そこにトライするのが今回の学びだよと授業の中で何度も伝えます。
子ども達に「自分が発表して楽しむ」というゴールから、「自分の思いを相手に伝えてコミュニケーションを楽しむ、そこから起きる変化を楽しむ」というゴールに切り替えてもらいたいからです。
もちろん、一足飛びには難しいかもしれません。でも、授業で一番伝えたいこれらが届けば・・という思いでやっています。
「あなたの思いや考えは宝物」
「伝えることで何らかの変化にもつながるかもしれない」
それをプレゼンの授業で、少しでも体感してもらいたいからです。
何か困ったことがあった時に、
泣き寝入りする子ではなくて、
「誰かに助けて」と言える子に。
ここが変だなと思った時に
「もっとよくならないかな」と
声を挙げられる子に。
こんな風になったらという夢があれば、
「その夢を誰かに話せる子」に。
好きなことを好きと言え、
嫌なことにNOと(直接的ではないにしろ)言える子に
なって欲しいなと思うからです。
伝える相手は自分とは違う他人。だからこそ、伝わるためにはどんな風に言葉を選べばいいか、話す順番は?、どう工夫すれば相手に共感・納得してもらえるかの「技術」を学ぶのです。
それらを、「自分の好きなことを発表しよう」という授業で身に着けられるんですから、プレゼンの授業って、一石何鳥もおいしい!!!と思うのは私だけでしょうか!?!?
子どもが教える学校 鈴木深雪