2月10日 ただの日記
夜中、今後の不安と人生の後悔で何度も目が覚める。
7時くらいに体を起こし、リモートでの仕事は早く終わらせて
(給料出てないし)、練習をガンガンしようと動こうとするものの
不安に苛まれて身動きが取れない。
とにかく誰かと会話をしたいがこんな時間に電話が
できる友はいない。胃の血管がドクドク音を立て、
叫びたい気持ちで本当に苦しい。
以前はこんな時ネガツイ連発していたけど、それはやめると決めたんだ。
しかし未練がましくTwitterなどを開くと、坂口恭平さんの
ツイートが目に入る。
そうだ消えれるもんならいますぐ消えてなくなりたいし
必ず電話取ってくれるというし、かけてみようかなと思ったが
やめる。
なんとか起き上がり、自分を奮い立たせパソコンを立ち上げたが
画面にあるものが何かわからないくらいに混乱していて
一体自分は何をやろうとしているのかよくわからない。
途方に暮れてしまい、さっきは止めた電話を取って
ダイヤルしてしまった。
あいにく電話につながることはなく、
ドキドキしたせいか混乱も少し治まり、立ち上がりコーヒーを
淹れようとやかんに火をかけた途端電話のベルがなった。
繋がってはみたが、死にたいのは通奏低音なので
具体的な状況とか気持ちを口にすることができない。
お前は人の時間を奪っている人間のクズおばさんだ!という
声が頭の中をぐるぐるしてしまい、しかしそんな挙動不審ななか
も彼はとても適切に対応して下さり、情けなく申し訳ない気持ちで
いっぱいになる。坂口さん、本当にごめんなさい。
相手してくださって本当にありがとうございました。
それだけで生き延びました。
電話を切っても死ね死ね死ねという声が頭の中を巡る。
いやこれが本番なんだよなさっきは電話なんかしてごめんなさい
と思いつつ地獄を遠くにおいやるべくなんとか呼吸を整える。
その瞬間、会社からのLINEで、メルカリからの入金はあったかと
質問がある。
もちろん昨日送ったばかりなんでまだ届いてすらないから
ないと答えたついでに、ところで給与の振り込み予定はいつかと
尋ねた。
入金がある予定なので、月曜日には振り込まれるだろうとの返事で
なんだ、結局大丈夫だったんだと思い、少し安心して
ぐずぐずと立ち上がる。
さっき中断していたコーヒーを這うように淹れたことが
カンフル剤になったのか、よたよたとPCを開け、
マス目を一文字一文字ゆっくりと埋める。
リモートでなければ、こいつふざけてんじゃないかと
怒られるスピードだ。
しかし少しずつ埋めていくうちに脳が立体化し
(変な表現だけど脳内に散らばった概念が組織化されていく感じ)
ガタガタな道を進んでいたリヤカーのような指さばきは
通常に戻っていった。
給与出てない上に今日は休業日で本当は仕事などしなくてもいいのに
なんで仕事してしまうんだろう。
私はマス目を埋めるのが好きなのだ、というか一種の
麻薬を求めている状態なのだ。
もう20年以上前、精神科の医師(高名な医師であり、
彼の病院のデイケアで担当医が彼であることを告げるだけで
少しざわめきが起こるくらいだった)に「もう仕事は止めて
生活保護を受けながら治療に専念しなさい」と言われたにも
かかわらず、診察を待つ時間に仕事できるじゃん、という気持ちが
強くて結局病院に通うのを止めてしまった。
その当時は別の依存症がきっかけで病院に通うように
なったのだが、仕事に強く依存してしまうのは
今でも変わらない。不安になると物凄い握力で
対象にしがみついてしまう。それがゲームだったり
音楽だったり時には薬だったり人だったりなんでもよい
のだけれど、一番しがみついてしまうのは自分の脳内で
ある。
一種の発達障害の症状(っていうのかな)に物事を
反芻してしまう傾向があると言われるが、自分の場合も
それがことさらに強く、壊れたレコードプレイヤーみたいに
同じ現象をぐるぐると回してしまう。
自覚はあるのでなんとか逃れようとはするのだけれど
渦にはまってしまうとなかなか抜けられない。
一番良いのは人に突然話しかけられたり、突発的に
音が鳴ったりすることで、まるで場面が切り替わるように
世界が変わり、動き出す。
しかし私はひとりなので、なかなか都合よくそんな瞬間に
誰かが話かけてくれることもあまりないのがつらい。
と本題ってか日記とはかなり逸れてしまったが、
割といつもその事象と闘っており、闘いつつも日常生活を
送っている。一本化したら割とできる人間かもしれない。
唯一ライブで演奏している時だけがその事象と離れることが
できるんだけど、練習や録音はどうしても闘いつつになってしまって
効率が悪く、いつまでたってもぱっとしないんだよな。
と脳内はこんな感じではあったが、手は着々とマス目を埋め、
途中中断して歯科の予約の時間に間に合い、麻酔をたくさん打たれて
ふらふらしながら買い物し、鳥南蛮そばを作って食べ、データに
間違いがないかチェックする。
給与が出るという報告もあってか、このあたりからは
通常モードになり、もう少しで上がりそうなタイミングで
またLINE。
売り上げを上げろ、という恫喝メッセージであったが、
いったいどこに売り上げを上げるネタがあるのだろう。
広告やフライヤー、告知に力を入れても4000人以上いる
FBでピンボケで雑な写真をあげながら私や周りの悪口を
投稿しているだけじゃないか、ということを婉曲に伝えると
大人しくなった。
妨害にもめげず、苦労したデータは上がった。
少し休憩しつつTwitterを眺めていたら、なんと
石橋英子さんがドライブ・マイ・カーの全曲演奏会を
ブルーノートで開催するらしい。
観に行きたい、だけどブルーノート、高そう。
と思ってチェックしたら、給与が出たと仮定すれば
手を出せない金額ではない。
入金あると信じて、前祝いじゃ、と思い切る。
決済はクレジットカードオンリーだし、来月の支払い日は
給料支払い予定日の直後だし、遅配始まってから倹約してるし
きっと大丈夫だ、と購入する。
気持ちがパーっと晴れ、よっしゃ早く納品して練習だ!
と納品作業を始めると会社資料を某所にメールで送るよう指示。
決算書などを確認のために仔細に見て、恐ろしいことに
気づき、心臓がばくばくしはじめる。
そんななか、今日中に銀行に入金があるから、私分と
アルバイトの給与を振り込めという指示。
同じ銀行からだそうで、そうするとたいていほぼタイムラグなく
入金されるはずなのに、何度チェックしても入金はない。
本当に入金はあるのか、月曜日に給料は振り込まれるのか
とても不安になる。
しかし落ちていても仕方がないので、前職やり残した助成金の
最後の書類書きに着手(この時もう4時半を回っていたが、そもそも
今日は休業日と指定されているのだ)。
言語の違いがある人とコロナ禍でいろいろトラブルが続き、
説明してもどうしても理解していただけず、そんななか
印鑑をなくしたと信じられないくらい怒鳴られている最中に
来たのが今の社長からの仕事の誘いで、渡りに船とばかりに
衝動的に受けてしまった。
印鑑をなくしたのは相手方だったが、怒鳴られ続けているうちに
自分がなくしたと信じ込んでしまって、3日間寝ずに探していたので
正直判断力などなく飛びついてしまったのが今の仕事だ、
正社員採用だったし。
その日から私は冤罪というのはこの世に数多くあるのだと
確信を持つようになった。
しかし根本的に嫌いではないので、書類作成とともに
手紙を書き、わからない部分は私の弟に訳してもらえと
LINEを送り、書類を送りに郵便局へ。
ギリギリ郵便局の閉局に間に合い、帰りにコーヒーを書い、
いつもすごく柔らかな対応のお兄さんの淹れたサービスコーヒーを
ゆっくり飲み、帰宅。
そろそろ入金はあっただろう、とパソコンを確かめるが
やはり振り込みはなかった。
また不安に陥り、とりあえず昼の残りの鳥南蛮の汁に
豆腐をぶっこんで豆腐鍋にして食べ、少し落ち着いたところで
社外取締役に相談のメッセージを送るが、あいつはいつもそうで
トラブルばかりあるから信用するなと進言され、
私は会社をよくしらないのだけど社会とはこんなで
今まで給与遅配は長くても3日とか単なる奇跡だったのかと
いぶかしく思っていたところに前職の店主から電話。
時というのは魔法のようなもので、懐かしい声を聞き、
だいぶ頑張って新店も出すようで、あの時はこんなひどい人間は
いないと思っていたけれど、ちゃんと給与は出ていたことに
こころから感謝しつつなごやかに会話した。
また戻りたいとも思わないし、もう戻れないだろうけど
なんか繋ぎの仕事になればいいなという下心も正直ある。
でもベトナム人プライド高いから無理だろうな。
入金がないという報告と本当に月曜日大丈夫かという
LINEには既読すらつかず、今日の日記はボケボケで終わる。
きっとあの社長と私は同じ穴の狢なのだろう。
ただ座っていても脳内で具体化しすぎる種類の人間なのだ。
今後は金は期日までの支払いを厳守しようと固く決意した。
小さなことでも契約書作った方がいいな。
今度誰かにギャラを払うことがあったら、ぜったいそうします。
一応ギャラの支払い漏れなどはないと思うけど
もしそんなことがあったら連絡ください。誠心誠意対応します。
反省の1日だった。
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