ウランの濃縮になぜ遠心分離機が必要なのか?
ちょっと勉強メモ。
天然のウランにはU235とU238があります。核分裂を行うのはU235の方です。
しかし、U235は天然ウランに0.7%しか含まれていません。
そのため、核燃料としてウランを使うにはU235を数%の含有率まで濃縮する必要があります。
(ちなみに原子爆弾として使うには70~80%まで濃縮が必要)
では、なぜ遠心分離機を使って濃縮するのでしょうか。
それはU235とU238が同位体であるからです。
同位体って?
原子番号が同じで質量数が異なるもののことをいいます。
原子番号は陽子+中性子の数で決まるため、言い換えれば、陽子が同じ数でくっついている中性子の数が異なるということです。
同位体の特徴は以下の通りです。
・科学的性質は同じ。(陽子が同じ=化学的性質を決める電子の数も同じ)
・質量が違う。(中性子がくっついているため)
同位体の身近な例をあげましょう。実は水素にも同位体は存在します。
軽水素H1(H)、重水素H2(D)、三重水素H3(T)これらが水素の同位体です。
それぞれ自然界に存在する量を表すと
軽水素H1(H)99.98%
重水素H2(D)0.015%
三重水素H3(T)微量
軽水素H1(H)が圧倒的ですね。
余談ですが、現在フランスで建設されている核融合炉では、三重水素を扱うため人工的に作成することが必要です。
三重水素はトリチウムとも呼ばれており、放射線を発します。核融合炉でも放射線対策は必須とされています。
核融合については文部科学省の説明が載ってあります。参照ください。
核融合実験炉はITERに詳しく載ってあります。こちらも貼っておきます。
話を戻しましょう。同位体についてまとめますと、
・科学的性質は同じ
・質量が違う
となります。
科学的反応が同じということは、化学反応を使った分離が不可能であるということです。
つまり、質量の違いを利用した物理的方法しか、分離および濃縮の手段はありません。
そのため遠心分離機を使ってウランを濃縮する必要があったのです。
遠心分離機で濃縮される流れ
ウランは遠心分離機にかける前に、六フッ化ウランといわれる気体の状態にします。
その状態で遠心分離機にかけると、重いU238は外側に、軽いU235が内側に集まります。
これを気が遠くなるほど繰り返して、ようやく核燃料となるウランが手に入るのです。
まとめ
ウランの濃縮に遠心分離機が使われる理由には、同位体について知っておく必要があります。
遠心分離機を使った濃縮方法以外にも様々な濃縮手段があるため、その点は注意が必要です。
個人で調べたものをまとめたものなので、間違いが多々あると思います。ご了承ください。
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