『ザ・タイムショック』オーディションで見えた課題
先日、テレビ朝日『ザ・タイムショック』のオーディションを受けた。結果は、残念だった。明確な敗因と取り掛かるべき課題が見えたため、その課題解決に向けての備忘録としてここに書き記しておきたい。
明確な敗因、それは、
オーディション会場にスタバのアイスコーヒーを持参したことである。
僕は、スターバックスのアイスコーヒー、それもショートサイズを持ってオーディション会場に入った。入ってしまった。僕のような全く知名度のない若手芸人は家から水道水を持参すべきなのに。
テレビ朝日様のオーディション会場に入るとき、僕の左手には、ショートサイズのスターバックスが確かに居た。ロゴの女神もテレ朝スタッフさんも笑っていたが、スタッフさんの「笑い」には「苦」の字を冠して然るべき。あゝほろ苦い、夏の思ひ出。
楽屋にはオーディション受験者が100人以上が集まっていた。皆一様に、テレ朝スタッフ様がきれいに並べた椅子に姿勢を正して座っていた。さながら企業説明会のような雰囲気だった。
椅子に座って、背筋を伸ばして、アイスコーヒーをショボショボと飲む。さらに僕が悪質だったのは、手中のアイスコーヒーが、潔いブラックコーヒーでなかったことだ。ミルクとガムシロップを飽和まで注いだ、それ即ちコーヒー牛乳だった。スタバのコーヒーはブラックで飲むべし。僕の紳士協定公文書にはそう書いてある。それなのに、小学生でも風呂上がりにぐびっといけるまろやかコーヒー牛乳にアレンジしてしまった。ぐびっといけるのに、周囲を気にしてショボショボ飲んでいる。背中の傷は剣士の恥。アマアマコーヒー、スタバの恥。スタバ持つこと、無名の恥だ。スタバ側もきっと、僕のような風呂上がりコーヒー牛乳メイカーを相手にしたくないはず。テレビ朝日様、スターバックス様、重ね重ねごめんなさい。
オーディション会場における僕は、テレビ朝日様にも、スターバックス様にも、失礼な存在だった。失礼が椅子に座ってストローを咥えていた。失礼が筆記テストを受け、「もしかしたら」と甘い期待、それは飽和コーヒー牛乳よりも甘い期待を寄せて結果発表を待っていた。ショボショボ牛歩で飲み進めていたコーヒー牛乳は、結果発表を待つ間に、飲み干してしまった。
失礼風呂上がりコーヒー牛乳メイカーがテレビに映るはずはなく、二次選考進出者一覧に僕の名前は無かった。筆記テスト、それなりにできたの思ったのに。きっと失礼のせいだ。僕の『ザ・タイムショック』への挑戦権は、飲み干したコーヒー牛乳のように、目の前から消えてなくなった。甘さが露呈したオーディションだった。
今度からは、オーディション会場にスタバのアイスコーヒーを持ち込まないようにしよう。スタバでコーヒーを飲むときは、頑張ってブラックで飲もう。そうすればきっと、あの『ザ・タイムショック』の椅子に座って問題に答える未来が近づくはずだ。イメージは、もうできている。問題文が、聞こえてくる。
「いま、何問目?」
何問目かは数え忘れたが、苦いコーヒーが苦手な僕にとって、これは難問である。
大きくて安い水