
頭にカラスが生まれたからだ
「遠くから見ると全身が黒くてその眼を判別できないから」という理由で、鳥(トリ)の一画を除いて烏(カラス)という漢字が出来上がったらしい。
しかし、上には上がいる。カラスよりもより黒い鳥を調べてみると「カタカケフウチョウ」という鳥がヒットした。この鳥は、黒すぎて体に当たった光の99.95%を吸収するらしい。カラスの約100倍黒いとも言われている。きっとこの鳥の方が、眼が判別できないという理由で「烏」という漢字を授かるに相応しいはずだ。「烏」と書いてカタカケフウチョウと読んではどうか。僕は、漢字を生み出した古の賢人に異議を申し立てる。そして勝訴は間違いない。なぜなら、カタカケフウチョウはカラスの100倍黒いから。
「古の賢人にマウントを取るゾ」とクレヨンしんちゃんよろしく勇んで検索を進めると、カタカケフウチョウの画像がヒットした。
眼がわかり過ぎる。
確かに黒いが、眼はハッキリと青光りしている。「遠くから見ると全身が黒くてその眼を判別できない」ということは全くない。予想に反して、烏の字を授かるに相応しくなかった。やはり烏は「カラス」である。敗訴。
カアカア。窓の外でカラスが鳴いた。その声は、乾いた笑い声に似ていた。もしかしたらカラスは、古の賢人に敗訴した僕を励ましてくれたのかもしれない。カアカア。僕を囲む六畳間に、乾いた笑い声が響いた。眼まで笑っていたかどうか、部屋の中からは判別できなかった。
なぜカラスの話をしているのかというと、僕の頭にカラスが生まれたからだ。
僕の頭にカラスが生まれたからだ???
「「僕の頭にカラスが生まれたからだ」」
剛毛にとって床屋に行けない状況は恐ろしく、帽子を着脱しただけで頭にカラスが生まれてしまうのである。
雑誌バージョン。著作権フリーの画像ですのでお好きにどうぞ。
毛根と同じく、僕は元気です。皆さまご自愛ください。
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