ガイアフロー静岡蒸溜所 2020年10月訪問記
2020年10月、静岡県のウイスキー蒸留所「ガイアフロー静岡蒸溜所」に見学に伺いました。
ガイアフロー静岡蒸溜所は2016年10月にウイスキー製造を開始した新興蒸溜所。公式サイトでは蒸溜所の立地の特徴として以下のように説明されています。
“ガイアフロー静岡蒸溜所は、豊かな自然に囲まれた静岡の奥座敷「オクシズ」にあります。南アルプスから流れ出る伏流水が、この大地を潤し、やがて大いなる安倍川へと姿を変え、駿河湾へと流れていきます。動物たちが息づき、季節ごとにうつろう美しい自然の恵みを受けて、ウイスキーがゆっくりと熟成しています。”〈静岡蒸溜所 公式サイトより抜粋〉
2020年12月に初のシングルモルトウイスキー「静岡プロローグK」を発売したことでも話題になりました。
少し前の記録ではありますが、蒸溜所を見学した際の写真を交えながらレポートしていきます。
■世界中からウイスキーファンが訪れる蒸留所をめざして
静岡駅から車で北へ1時間弱、自然豊かな安倍川に沿って進むと山の間に真新しい静岡蒸留所は見えてくる。建物の前にはため池があり、防火用水や、冷却器の熱放出に使用されています。
メインの建物には、テイスティングルーム兼ガイアフローが自社輸入している洋酒の販売所があり、また自社蒸留のための麦芽の粉砕から蒸溜までの過程を見ることができます。
目指したのは世界中からウイスキーファンが訪れる蒸留所。そのため導線がしっかり考えられていて、ウイスキー造りを間近で楽しめる造りとなっている。熟成庫は訪問当時で2つ、近いうちに第3熟成庫を建設予定とのこと。
■地元素材を活かした設備で発酵
麦芽を粉砕するモルトミルは軽井沢蒸留所で30年間使用されていたものをオークションで競り落とし使用中。隣の部屋には三宅製作が製造した容量1トンのマッシュタンがあります。
次の工程の発酵室には、林業が盛んな土地ならではの、地元産杉を使った発酵槽が6基・オレゴンパイン製が4基あった。酵母は現在スコットランドから取り寄せているようだが、ブリュワリーも多い静岡という土地柄、将来的には現在開発中の麦芽用静岡酵母も使用予定とのこと。
独特の酸を感じる香りが立ち込めていたが、蒸留所スタッフの方は「醪が酸っぱいほど香りのよいウイスキーができる」とおっしゃっていました。
■世界初!薪の直火炊き蒸溜器
ポットスチルは初溜釜が2基、再溜釜が1基。スピリッツ用の蒸留器も1基ありました。
初溜釜のうち、1基はフォーサイス社製の薪の直火炊き蒸溜器。石炭の直火焚きは余市蒸留所やスコットランドにも数社あるようだが、薪は世界初。これも地元の林業が盛んなことから発想を得たといいます。
初溜釜のもう1基はモルトミルと同じで軽井沢蒸留所で使用されていた4基のうち一番新しい1基を修理して使用。
直火炊き蒸溜器で蒸溜されたニューポットは比較的ヘビーな味・軽井沢蒸留器のそれは軽く爽やかな味になるとおっしゃってました。
■まだ見ぬウイスキーが眠る貯蔵庫へ
訪問当時ですでに2つの熟成庫は飽和状態。繊細なニューボーンを生かすため大半はバーボン樽を使用。ワイン、シェリー樽といった樽も眠っていました。エンジェルズシェアは4~5%と多く、その分熟成が速く進むと考えられます。
■静岡プライベートカスク2018のオーナーになりました
弊社ではプライベートカスクを購入済み。
2018年11月30日蒸溜のピーテッド麦芽のバーボンバレル。もうすぐ樽詰から3年が経ちようやくウイスキーになる。どのように熟成され、どのような味になっているか。楽しみで仕方ありません。
時が来たらボトリングして、皆様に販売いたしますので楽しみにお待ちください。
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