シャルマンワインのワイナリー見学してきました
先日から取り扱い開始した山梨県北杜市のシャルマンワイン。
10月4日の記事では、お取引開始前に営業スタッフ池田がワイナリーに訪問した際のレポートを中心にワイナリーをご紹介しました。
更に詳しい話が聞きたい!ということで、シャルマンワインの親会社にあたる江井ヶ嶋酒造 営業の清水さんにアテンドをお願いして、10月某日、再度ワイナリーに訪問してきました。
ワイナリーの成り立ちや特徴については前回の記事で書いておりますので、今回はその補足や掘り下げた内容になります。
■シャルマンといえばカベルネ・フラン、になったわけ
数ある日本のワイナリーのなかでも、カベルネフランを代表的な品種にしているワイナリーは珍しいと思います。
まずは、その理由を醸造長の山本さんに伺いました。
「当初は食用として出荷できないデラウェアの加工品としてスタートしたワイン醸造でしたが、1963年に江井ヶ嶋酒造と提携したことで本格的なワイン醸造に舵を切りました。
はじめはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、セーベルを植えました。しかし当時は今よりも冬の気温が低く、氷点下10度になることもあり、凍害に強いカベルネフランだけが残りました。」
結果的に残ったカベルネ・フランでしたが、白州の花崗岩砂質の土壌とも合っているようで、タンニンが柔らかくて香りがエレガントなワインを生み出しています。
その後、冬の気温が上がったことにより、現在では欧州系品種はカベルネ・フランだけでなく、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、セミヨンも栽培しています。
ただしここ数年は夏場の気温が高くなりすぎており、栽培する品種を再検討しているとのこと。実際、シャルドネは今期限りで栽培を断念したそうです。
温暖化の影響、深刻です。
■ぶどうの栽培方法についての工夫
現在では日本のワイナリーでも、醸造用ぶどうはヨーロッパのような垣根栽培が一般化しました。
シャルマンワインでも垣根での栽培は導入していますが、必ずしも全てにおいて垣根栽培がベストとは考えていない、と山本さんは仰ってました。
シャルマンワインでは棚の単梢栽培、棚の放射状栽培、垣根栽培を使い分けており、今のところベストは棚の放射状栽培だそうです。
(これはあくまで”シャルマンワインでは”ということで、ワイナリーごとに理論やテクニックがあると思います)
上の写真が棚の放射状栽培。品種は甲州です。ちなみに道路を挟んだ向かいは中央葡萄酒(グレイスワイン)の甲州の畑でした。
■シャルマンワインで使用する樽について
シャルマンワインでは、長期樽熟成は『スペイン産の古樽』、若い状態で瓶詰する短期熟成のワインは『フランス産の新樽』を使用するそうです。
基本的には味わいを落ち着けるため、マロラクティック発酵でまろやかにするための樽熟成であって、樽自体の風味を付ける意味合いではないと仰ってました。
ぶどうが持っている味わいのポテンシャルを活かす、ということですね。
なお、ここでワインの熟成に使った樽は江井ヶ嶋酒造に送られ、ウイスキーの熟成に使われることもあるそうです。
■醸造設備について
続いて、醸造現場を見せてもらいました。
最近導入して良かった機器をご紹介頂きました。
まずこちらの機械。名前は聞き忘れましたが、果実とゴミを分けるふるいのようなもの。ワインには適さないぶどうの小さな粒や虫も取り除けるので、ワインの味が洗練された、とのこと。
綺麗な味のワインを造るには発酵段階での管理や熟成も大事だけれど、まず原料の段階で雑味に繋がるものを取り除くことが何より重要なのだそうです。
これは日本酒も同様だ、と江井ヶ嶋酒造の清水さんも同意していました。(江井ヶ嶋酒造では近年マイクロバブルの洗米機を導入して、精米に付いた糠を徹底的に落とすことで飛躍的にお酒の味わいが向上したそうです)
続いてはこちらは圧搾機。果皮と果汁を分離する機械です。少し前に古いものから買い替えたそうです。
ぶどうを入れて機械をスタートすると布の袋が膨らんできて、優しく圧力を掛けて搾ってくれます。以前の機械では金属のパーツで押しつぶすため、どうしても果汁に熱が発生してしまい、風味が低下していたそう。
この圧搾機の導入も大きな品質の向上に繋がった、と山本さんは仰ってました。
そしてこちらは温度管理ができる、発酵用のサーマルタンク。
これは言わずもがな、という感じもしますが、今後は更に温暖化が進んで、秋になっても暑い日が続くようになった場合は一層重要さが増すことでしょう。
■今後の展望について聞いてみました
ひと通りご説明頂いた後、こちらの売店の前に戻り、栽培・醸造を担当されている小林さんも交えて、昼食を食べながら情報交換をしました。
山本さん・小林さんのお話を伺っていると、温暖化(主には夏季の高温化)の影響は深刻だそうで、栽培品種の選定が悩みどころだそうです。「タナはどう?」とか「ソーヴィニヨン・ブラン良いよね」など会話自体は楽しくはありましたが。
特に小林さんはまだ20代でお若いですが、今後取り組んでみたい品種や造りがあるとの事で、醸造家としての成長が楽しみです。
職人の方々なので当たり前ではあるのですが、前向きに品質の向上を考えている姿を見ると、売り手・伝え手としては嬉しいものです。
山本さん、小林さん、江井ヶ嶋酒造 清水さん、今回は本当にありがとうございました。
■シャルマンワイン、まず飲むなら
ということでご紹介しましたシャルマンワインですが、飲んだことない方にまずおすすめするのはこのワイン。
・甲州シュールリー無濾過 微炭酸
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地元契約農家が栽培した甲州で醸造。
「えっ!栽培のこととか書いといて自社ぶどうじゃないの!?」と思ったそこのアナタ。この契約農家って山本さんのお父さんらしいですよ。所有は会社じゃないけど、自分たちで育てている甲州だそうです。
微炭酸ということで、発酵で生じた炭酸ガスを一緒に瓶詰しています。
香りは白い花を思わせる華やかさ。まろやかなボディー感と甲州らしい程よい酸味、ほのかな苦み。舌に感じる微炭酸と相まって、気取らず飲める爽やかな味わいに仕上がっています。
もちろん赤ワインのカベルネフランもシャルマンワインの良さを感じられますが、まずはこの白ワインを飲んで「シャルマンワインって良いワイン造るな~」と感じて頂けたらと思います。
宜しくどうぞ。
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