紅櫻蒸溜所 2019年9月訪問記
蒸溜所訪問シリーズの2回目。
今回は2019年9月に見学に伺った北海道札幌市にある、クラフトジンを製造する「紅櫻蒸溜所(べにざくらじょうりゅうしょ)」についてのレポートです。
●庭園の中にある蒸溜所
紅櫻蒸溜所は元は日本庭園として造られた札幌市南区の紅櫻公園内にあります。今は一般開放されて珈琲の焙煎所や蕎麦屋などもあります。庭園だけあって樹木や野草がたくさんあり、駐車場から蒸溜所に向かう道中も楽しめます。
見た目では蒸溜所とは想像できないコンパクトで落ち着いた外観でした。
●マニア心をくすぐる蒸留機器
急遽決まったスケジュールだったため、2019年当時の製造責任者 越川さんとは残念ながらこの時は会えませんでしたが、スタッフの方に蒸溜所内を案内して頂きました。
紅櫻蒸溜所では醪(もろみ)からスピリッツを蒸留しているのではなく、購入したベーススピリッツにボタニカル、ハーブを浸漬して蒸留してジンを製造しているとのこと。
また、「レシピ#0201」のようにボタニカルを浸漬して蒸留せずにボトリングする「コンパウントジン」も製造しているそうです。
それにしても蒸留機器って、コンビナート夜景のようにマニア心をくすぐる魅力がありますね。
●クラフトジン 9148とは
紅櫻蒸溜所のクラフトジンの銘柄は「9148」。
これはジョージ・オーウェル著のディストピア小説「1984」のアナグラム。この小説の中で主人公が住む監視社会での不味くて薬臭いジンを飲みながら、昔の美味しかったジンを懐かしむ…という描写があるんですね。
なので私たちが住むこの世界の、自由の象徴としてのジンということ「9148」とネーミングしたそうです。
余談ですけど、初めて「1984」を読んだときはあまりリアリティが感じられず、そもそも監視社会を作った目的も利益を享受する人も限定的だよな、あくまでSFだよな…と思ってたんですが、ここ最近のSNSでの監視社会っぷりは「1984」のような社会に近づいてきたように感じられてちょっと怖いですね。それは置いといて。
9148はボタニカルに北海道産の素材をふんだんに使っているのが特徴。
定番商品の「レシピ#0101」はラベンダーは良いとして、切干大根、昆布、シイタケという他のジンではまず使ってない素材を使ってます。あ、もちろんジュニパーベリーも使ってます。
限定商品では春の「レシピ#0396」では公園内で摘んだ桜の花と葉を。秋の「レシピ#3891」では公園内で摘んだカエデの葉をボタニカルとして使うなど、この蒸溜所ならではのジンを作っています。
ここまで書くと「突飛な素材だからクセがすごいんじゃない?」って思う方もいると思うんですが、素材の持ち味を活かしつつ飲みやすく仕上げているのが9148の良さのひとつ。後味に切り干し大根とか出汁っぽさを感じるのに飲みやすいってすごくないですか?
そしてジントニックなどカクテルとしてもしっかりと成立するバランスの良さも特徴。ジュニパーベリーとふきのとうだけで仕上げた「レシピ#0201」というのがあるんですが、ストレートで飲むと苦くて爽やかな不思議テイスト。お湯割りも美味しい。ジントニックにすると柑橘とふきのとうの風味が溶け合ったようなジューシーなテイストになり、他にない感動的な美味しさなんです。
そうそう、蒸溜所に行ったときにちょうどこんなポスターが貼ってありました。
あの水曜どうでしょうのディレクター藤やんとうれしーはクラフトジン9148のファンだそうです。しかも前枠後枠のロケ地の坂のある原っぱは紅櫻公園のすぐ近くなんですよ。
このイベントではディレクターが監修したイベント限定の9148も販売されたそうです。
庭園内にあるコンパクトな設備でハイクオリティーなクラフトジンを製造する紅櫻蒸溜所。気になった方は是非飲んでみてください。
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