自分と向き合う時間こそが飛躍の鍵
忙しくて、自分と向き合う時間が最近とれていない。todoリストをこなすことで手いっぱい、気づけば年月が過ぎてしまい自分の人生についてちゃんと考える機会をとってこなかった。
クライアントからよく聞く声です。僕たちは忙しくノイズにまみれた生活をしがちですが、自分の”内なる声”に耳を澄ませる機会を持っていますか?
自分と向き合う時間(=「じぶん会議」)こそが、あなたの未来をつくり飛躍する鍵である。そんな持論を今回は展開したいと思います。
※今回の投稿は、スクーというネット番組でご披露した内容のダイジェストレポートになります。
1.思考を整理する習慣を持とう!
僕は普段、「思考の整理家」という肩書で、混乱した頭を解きほぐし、人や企業の可能性を最大限引き出す研修、コンサル、コーチングなどを主業務にしています。
多くのクライアントは、行動力もあって努力家なのですが、努力の方向性がずれたり、そもそも方向性を見失ってしまったりで悩まれます。
そんな時に、頑張っている自分をいったん強制停止して、しっかりと頭の整理をする時間を設けませんか?とアドバイスしています。
思考を整理しなければ脳内はノイズだらけ。インプットされた情報、他人の意見・目線、雑念、他人の芝は青く見え、嫉妬し、自分の能力に疑問を抱き・・・放っておけば悲観思考も蔓延してきます。
そんな時こそ、ノイズを断ち切る環境をつくって、自分と向き合う必要が生じます。
自分と向き合う習慣のことを僕は「じぶん会議」というネーミングをつけて、本を書くまでになりました。自身も10年以上習慣化しています。
実は、この習慣、一流の人ほどやっているのです。
様々な書籍やインタビューを読みとくと、成果を出す人は陰で思考の整理習慣を大切にしていたというわけなんです。
2.自分への「問い」が未来を決める
では、仮に思考の整理時間を確保したとして、何をすれば良いのか?という話に移行しましょう。特に年始や期初など何かをスタートする大きな節目では、根源的で本質的な「問い」を自分に投げかけます。
「位置」と「軸」についてです。
位置とは、自分の現在の立ち位置はどこか?将来の立ち位置はどこにしたいか?などポジションを内省によって明確にしていきます。
これはビジネスでもご家庭でも、テーマはどのようなものでもOKです。自分が今、整理しておきたいテーマを選定してください。
言い方を変えれば、「ありたい姿(位置)」と「現在の状況(位置)」を考えギャップを把握する時間を持つことです。
どこで、どのようなギャップが起きているのか?そもそも「ありたい姿」は何だったのか?などをノートなどに書き出して可視化していきます。こうすることで、目先のtodoリストに振り回されることなく、「自分にとって大切なこと」を見極めることが可能になります。
次に「軸」とは、信念とか価値観、ポリシーを意味します。今、世界は混乱しています。コロナに関わらず、政治経済、天変地異に至るまで。ビジネスに目を向けると顧客のニーズも多様化し、ビジネスモデルも複雑化してきている状況です。
この状況で必要なことは、時代に適応していく適応力です。が、しかし、適応するだけでは逆に「自分らしさ」「自社の独自性」を失うリスクと背中合わせですので、揺るぎない信念や価値観も明確にしておくことが求められます。
これを「軸」の確認と称しているのです。
3.ありたい姿は何か?
思考を整理する時間をとって「位置」と「軸」を思考し、整理すること。これが全てのベースになるのが「じぶん会議」です。
では、このベースを踏まえて次は何をすれば良いのでしょうか?
「じぶん会議」の”議題”例についてもご紹介していきます。
現状をどうすべきか?も大切ですが、目線を上げて常に理想に近づけていく過程で人は成長します。そのため、理想像の設定が成長と成果の果実をもたらすわけです。でもね、ありたい姿がいつも明確になっていない人が多いようなのです。
そこで、問題提起!
やりたいことは、常に明確になっていなければダメなのか?問題について触れておきます。
よく自己啓発の世界や成功者が語るビジネス書を読むと、「夢を具体的にして期限を設定しましょう。いつ達成するのか?次に期限から逆算して今すべきことを明確にしましょう。これが成功の秘訣だよ。」と語りかけてきます。
でもね、僕はここに違和感をずっと感じていました。もちろん、その有効性は理解しています。ただし、人と状況にもよります。
いつでも、ありたい姿の解像度が高くできるばかりではありません。何かに行き詰まったとき、方向転換を余儀なくされたとき、今の生活に幸福感を覚えているとき、先のことは見えづらいものなんですよね。
だからこそ、世間の通説にとらわれずに、自分の内なる声に耳をすまし、思考を整理して欲しいのです。今の自分は、将来を考える際に、どちらのタイプに近いのだろうと。
常に、ありたい姿を明確にしなければモチベーションが上がらない人は「トップダウン式」を、目の前の充実感を追求する中で、偶然の出会いや偶然舞い込むチャンスをつかんでいき、ありたい姿の輪郭が見えてくる人を「ボトムアップ式」という風に整理してみました。
ありたい姿を考える上で、どちらが自分にフィットしますか?
正解は有りません。問題なのはせっかく「じぶん会議」で自分の内なる声に耳を澄ませているのに、世間の通説に従っていずれか一方でしか、ありたい姿を描けないとすればもったいないなと思います。
4.やりたいことが見つからない問題
そうはいっても、今後のありたい姿に関して何もイメージすら持っていないというのでは、日々の充実感でさえ薄れてしまうでしょう。
そこで、「やりたいことが見つからない時」、どうすればよいのでしょうか?素材を見つけるためのヒントを3つご紹介したいと思います。
①イメージやキーワードで考えるだけ
多くの人は、ビジョンや目標を明確にしようと思った瞬間に、かっこよくキレイな文章で表現しなければいけないものだと誤解されています。
でもね、いきなりキレイに明文化されるなんてことは難しいですよ。だからこそ、頭に浮かんだイメージや単語レベルの言葉を大切にして欲しいのです。
やりたいことは具体的にはないけれど、たとえばバリバリ働いて高所得を目指すより、そこそこの年収でもいいので家族とゆったり海辺に暮らしたいなというイメージで全然OKです。人に発表しなくていいのですから、自由です。
また、「会社員は嫌」「1人で黙々と働く」「車だけはポルシェにこだわりたい」などと頭に浮かんだ言葉が文章ではなく単語レベルでもOKです。
ただ、頭の整理をしやすくするために、いったんスマホや紙に書き出し、可視化しておきましょう。
②偶然を大切にする
みんながみんな、人生やビジネス計画を論理的に立てて全てが必然的に進んでいくなんてことはありませんし、真似をする必要もないです。
特にやりたいことが見つからない時は、チャンスの素材を増やすためにも、「偶然」を大切にしてください。偶然、出会った人。偶然、持ち込まれた仕事。偶然、紹介された映画など。何でもOKです。
いちいち「これって、もしかしたら運命かも!?」を頭の中でささやく合言葉にして、いったん偶然のご縁に乗ってみるのです。ノリ一発!すると、自分の頭では出てこなかった選択肢が見つかるかもしれませんよ。
③自伝を読む
自伝といっても必ずしも著名人や成功者の成功エピソードだけではありません。成功エピソードだけを読んでも「どうせ自分とは違うから」と考え、参考になりません。孫正義さんの自伝本を読んでも良い意味で極端すぎて、参考にならないことでしょう。
そこまで特別な人ではなくても、自分の半生を語ったインタビュー集などであれば人物は問いません。特に重視すべき点は、「不遇の時代」が書かれているか、「進路を変更」した時が書かれているかです。
不遇の時代や進路変更のエピソードが、新たなありたい姿の選択肢のヒントにつながるかもしれませんよ。
5.じぶん会議で考える5大項目
それでは次に、ありたい姿の総論を各論に落とし込んでいきましょう。僕自身は常に5大項目について考えるようにしています。
この5大項目は、自分仕様にカスタマイズし、入れ替えてもOKです。自分が人生で何を重視するのか?が、「じぶん会議」における”議題”になります。
事例では僕が人生で重視する5つを挙げています。結局のところ、何をもって幸せと言えるのか。これが常に関心事であり、ある意味、「幸せを要素分解」したものと考えてください。
やみ雲に、ありたい姿をいきなりtodoリストに落とし込もうと思っても、飛躍しすぎてうまくいきません。思考の型をはじめに設定して、段階を踏んで整理していきましょう。
じぶん会議で「幸せの要素分解」していく行為は、いわば「人生のレシピ」をつくるようなものとも言えます。
「じぶん会議」=「人生のレシピづくり」
ただ思考するだけではなく、表などにまとめて書き出しておくと整理がスムーズになりますよ。
年始や期初など大きな節目には、このように「ありたい姿」の輪郭を描き、5大要素で因数分解しながら具体化していきます。
一つ注意点としては、どう進捗管理や継続をしていくのかです。1日10分眺めるだけでもいいし、週に1回30分ほど時間をかけてでもいいので、定期メンテナンスを行うことをお勧めします。
「ありたい姿」と「現状」のギャップを可視化し、不足しているリソースのチェックと補充も行います。
不足物のチェックは僕の場合、3つの切り口で行っています。
アスリートがよく口にする「心技体」です。
「心理面、スキル面、体制や体調面」で至らない点を補充・補強していくことで、「ありたい姿」に最速で近づけるようにしていくのです。
6.じぶん会議の実践準備
それでは、ここで「じぶん会議」の実践準備についても触れておきましょう。
思考を整理した内容をどこにアウトプットすべきか?
ノートでもいいし、スマホでもいいし、お好きなものをチョイスしてください。大切なことはツール選びではなく、”可視化”することです。
ツール選びについては以前も投稿していますのでご参照ください。
タイミングも決めておくと良いでしょう。思い立った時や、時間ができた時ではなく、予め年間スケジュールにも組み込んでブロックしておくのです。時間確保の要諦はシンプルで、先にスケジュールに記述しておくこと。これだけです。
他人とのアポイントと同格レベルで、自分とのアポイントも大切に扱ってくださいね。
また、場所はカフェを選ぶ方が多いのですが、自宅の部屋でもいいし、車の中でという方もいます。静けさで逆に緊張してソワソワするようであれば、多少の音声つきの環境をチョイスしてみてください。
場所選びは、”自分の聖地”選びでもあります。いろいろと試してみてベストな聖地を選択しましょう。
7.今年一年の重点ポイント
この投稿をしている時点は2021年ですので、個人的に2021年に重点を置いているポイントをお伝えします。
1)時間配分を変えること
いつもと異なる結果を出したいのであれば、いつもとは異なる行動を起こさなければいけない。
これは、クライアント向けに必ずお話する内容です。行動のやり方そのものの前に、行動を起こす時間の使い方を変えましょうというのが本質的なメッセージです。
時間配分を変え、より自分の価値を出せる部分に時間を費やすことが成果を生み出す上で肝心です。
どんな内容をどれくらい、どの時間帯に費やしますか?
また、目の前のことをこなすだけではなく、”不要不急”ではない、「余白の時間」は確保していますか?
ただ目の前のことをこなすだけではなく、自分の未来につながるような肥やしづくりの時間を余白として、差し込むことも有効な手段となります。
2)コンセプトを明確にすること
目標や計画が明確で精緻なものであっても、全体を通じてモチベーションのスイッチになるような旗を立てるとすれば・・・あなたは、その旗にどのような言葉を掲げますか?
何か大きな”言葉の旗”を立て、大きく振りながら目標に向かって前進していくことも有効な手段となります。
要するに、大義を言語化するとすれば何ですか?という話です。
できればワンフレーズ(10文字前後)で、自分で腹落ちするようなフレーズを考えてみてください。道に迷った時、あるいは行き詰まった時に、大義に立ち返って気持ちを切り替えるのです。
僕の場合は、以下のような言葉をつくりましたよ。
ノウハウ以上に、言葉は壁にぶつかった時に、あなたをきっと救ってくれるでしょう。奮い立たせてくれることでしょう。
8.まとめ
今回、「じぶん会議」という主旨で様々なお話をしてきましたが、僕が言いたかったことはシンプルです。
忙しさやノイズに流されないように!
時には立ち止まるため時間の強制確保を!
自分の内なる声に耳をすませよう!
ありたい姿を描き、思考を整理しよう!
日々、自分の前進具合をチェックしよう!
雑音に惑わされず、自分らしい生き方をしよう!
そして・・・
仕事より”志事“(しごと)を大切に
今回のお題に正解は存在しません。僕なりの一見解にすぎないのです。
あくまでも正解は自分仕様にカスタマイズして、あなた自身のモデルで築いてみてください。
今回のお話が、何かの参考になれば幸いです。
なお、今回、お話した内容は以下のグラフィックレコーディングでも整理しております(「ネコっちさん」が整理してくれました!)。ぜひご参考にしてください。
さらに、要点を復習できるようにYouTubeにもアップしております。動画でのメッセージもあわせてご覧ください。(チャンネル登録もぜひ!)
ここまでお読みいただきありがとうございました。
著者・思考の整理家 鈴木 進介
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