コピー用紙のおはなし(紙質&つくり方編)でなく、紙のできるまでのおはなしになったおはなし
note記事3回目
前回はこちら→コピー用紙のおはなし(寸法&厚さ編)
前回にひきつづき、コピー用紙のおはなし(紙質&つくり方)をしようと書き始めたものの、そもそも紙のことって、みんな知ってる?
意外に気にしてない、知らない人も多い気がして、、とりあえず紙の基本的なおはなしを書いていたら時間がなくなりました(苦笑。
とりとめのない、第3回目は、そもそもの紙のおはなし。
紙質について
紙質(ししつ、かみしつ)とは、紙の性質、品質のことをいいます。
印刷業界の人が、紙質は○○で・・・と語るときは、紙の種類の場合もあるので注意です。
紙の種類には、コピー用紙のような普通紙(上質紙)、表面にツヤツヤした光沢の層をコーティングしたコート紙、ツヤツヤの光沢でなく艶消しの層をコーティングしたマットコート紙などなど。いろんな種類がありますが・・・それはまた別の機会に。
前回おはなししたコピー用紙でいうところの紙質では、品質についてとりあげてみたいと思います。
紙の品質?
そもそも紙はどうやってつくる?
紙は、木材繊維からできているのは社会人としての常識かと思います。材料が木材というと、広大な森林からたくさんの木材を伐採して材料にしているイメージになるかもしれません。なんとなく、森林破壊の悪役イメージがいまだにありませんか?(苦笑。
でも実際には、もともと木材は、薪炭材や建築資材が主な用途なのです。そのなかで建築資材にできない枝や余った素材が紙の材料になってきました。いわば華やかな建築業界(主役)を引き立てる、影で支える(脇役的な)紙業界なのです(笑。
(いまはその建築業界も、森林保護には充分配慮した人工林の育成が推進されていますね。(※森林資源の減少の主な要因は、アフリカなど発展途上国の薪炭材利用がいまだに多いことと分析されているようです))
最近では、FSC認証といい、適切に管理された森林で計画的に木を育て、成長させて材料に使用する方式も増えてきました。
詳しくは、FSC認証団体のWebページへ。(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)
日本の大手製紙会社は、FSC認証制度が始まる以前より、海外にたくさんの植林地を持っていたり、現地の会社と植林契約したり、また土地の気候に合わせてユーカリなど成長の早い樹種を選択したりしながら、森林を維持しながら生産できるような体制を早くから構築し、地球環境保護に努めています。
古紙回収率について
さらにいえば、日本の古紙回収率は、81.3%、世界平均でも59.3%もあり、使用した紙は、使っておしまいではなく、しっかりリサイクルされているエコな素材なのです。
ただし、一度つかった紙をふたたび紙にする技術は、高度な技術としくみが必要で、回収した古紙が再びすべて同じ紙にもどるわけではなく、紙の用途品質にあうよう再利用するのが通常です。(一部は、設備稼働のための燃料のとして燃やして利用したりもします。)
たとえば、
雑誌→お菓子の箱やダンボール箱
牛乳パック→トイレットペーパーなど。
新聞紙は、皆さんも協力しているように、回収と品質維持の仕組みが確立しているので再び新聞紙に生まれ変われることも多いです。
新聞、雑誌、牛乳パックなど、紙でも分別が大事なのは、回収される紙ごとにそれぞれ品質が異なるので、混ぜてしまうと、再利用の道が狭まってしまうためです。
大事なのは、古紙利用率
最近では、紙が回収されるだけでなく、古紙が紙としてきちんと再利用される「古紙利用率」を重要視することが多くなっています。
その数値でも日本は、64.4%(2019年実績)で、古紙利用率でも世界的にトップクラスなのですよ。もちろん、この数値をもっと改善するよう業界関係者は日々努力もしています。
紙ってどれだけつかってる?どれだけつくってる?
わたしたち日本人が、一人あたり一年間につかう紙の消費量は、201.8kg(2018年実績)なんですって。
日本では、年間26,070,000トンの紙がつくられています。
10t積載トラック260万台分なんて、もう想像できないくらいの量ですね。
それだけたくさんの紙を安定的に供給するために、(和紙や特殊な用紙を除いて)世間一般に流通する紙の多くは、とても大きな設備・工場でつくっているんですよ。
たとえば、わたしが昔お世話になった、日本製紙グループのなかでの最大級の工場、(東日本大震災でも話題になった宮城県石巻市にある)石巻工場では、敷地面積1,110,907平方メートル(なんと東京ドーム約24個分!)
2019年は、石巻工場一年間に、紙を757,847トンを生産しています。
紙をつくる工程は?
とてもざっくりとした言い方をすると・・・
木材を、細かく砕いてチップにして、大きな圧力釜でグツグツ煮て、ドロドロに溶かしたパルプといわれる(繊維)に、繊維を絡めてくっつけるための澱粉(糊)と品質を整えるいくつかの薬品などをまぜて、うすーく板状に引き伸ばして、しっかり熱と圧力をかけて乾かして、シート状になった紙を巻き取りながらつくります。
できたての紙は、巨大なトイレットペーパーみたい。
ってなります。ざっくりすぎでプロに怒られそうですが(笑。
日本製紙グループのWebサイトに、紙ができるまでをくわしく丁寧に解説したページがありますので、ぜひご参考にされてください。→チップ君の工場見学
と、、なんだか紙ができるまでのおはなしで、とっても長くなってしまいました。
今回は、このへんで。
次回は、コピー用紙の品質にたどりつけるといいなと思います(苦笑。
<参考文献・参考webサイト>
日本製紙グループ、日本製紙連合会、公益財団法人古紙利用促進センター、みずほ銀行(製紙業界と現状と)、
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