医療機器開発と知財
おはようございます、すずきです。
今回は仕事でかかわることになりそうなので、「医療機器開発」と「知財」の関係について、自分の勉強のためにまとめてみようと思います。
この記事を読むと、医療機器開発の流れの中で、知財に関していつ、どのような観点で検討するべきかざっくり把握することができます。
それでは、内容に移ります。
医療機器開発の流れ
AMEDさんが作成した資料によると、下記のような流れで開発が進んでいくようです。
1stステージ(コンセプト決定まで)
ここではニーズ調査と市場環境分析を踏まえた要素技術開発を行うことになります。既存製品と比べた違いやリスクベネフィットバランスあたりが肝になりそうですね。ここで言う市場環境分析、要するに開発する製品の市場での立ち位置を特許面でも調査しましょう。これから開発する要素技術、製品に関連する特許権をすでに他社が取得している場合は、関連の度合いによってライセンス交渉が必要になるかもしれません。調査に関しては行政(INPITさん)などの無料での特許調査サービスもありますので、活用しましょう。
また要素技術が固まったら、実際の導出までの事業化戦略にあわせて今後の特許出願戦略などの知財戦略を検討しましょう。実際に出願するかどうかを検討する際のポイントはこれまた長い話になるので、また今度まとめようと思います(まとめたらリンクを貼ります)。
また、社外への漏洩を防ぎたい情報を明確にしておきましょう。自社の要素技術に関する秘密情報を明確にすることで、誤って情報が外部に漏れる可能性を低減できます。秘密情報管理については下記の資料が参考になります。
【てびき】秘密情報の保護ハンドブック ~企業価値向上にむけて~
身近に潜む秘密情報にまつわるトラブル例と、その対策のポイントなど特に注意いただきたい点を、イメージしやすいようイラストを用いて紹介しています。
2ndステージ(最終仕様確定まで)
ここで製品の仕様と、上市から先を見据えたビジネスモデルの検討を行います。検討したビジネスモデル中のマネタイズポイントに沿って、知財戦略を修正しましょう。特にビジネスモデルの中でマネタイズに直結する部分について出願するのか秘匿するのかを検討しておきましょう。
また、上市まで自社で行うのであれば、プロダクト名等について商標権の取得を検討しましょう。さらに、製品の外観形状等に特徴があれば意匠権の取得を検討しましょう。いずれも他社の模倣を防ぐ手段になります。
3rdステージ(臨床試験開始まで)
知財に関しては2ndステージで行ったことを踏襲する形で、現在の進捗度に応じて知財戦略を修正、必要に応じてさらなる出願をしましょう。また、調査についても定期的に実施しましょう。以前の調査から現在までの間で新たに他社が特許権を取得しているかもしれません。
編集後記
ということで、本日(と昨日)は医療機器開発の流れの中での知財で検討する観点をざっくりまとめてみました。本当は出願時におけるオープンクローズ戦略や共同開発を行う際の注意点などなどもっと細かい話がいっぱいあるかと思いますが、そのあたりはまた追々触れていこうと思います。
しかし、素晴らしい時代になりましたね。「医療機器 知財」とかでググるだけで、行政が作成した無料の報告書がいっぱいヒットしました。ちゃんとまとめようとするとそれだけで骨が折れます。ということで、記事内でもいくつか紹介しましたが、今回参考にした資料を紹介して終わりにしたいと思います。ご興味がございましたらぜひ一度ご確認ください。
それではここまでご笑覧いただきありがとうございました。
すずき
参考資料
医療機器の研究開発マネジメントにおけるチェックポイント/ステージゲート
医療機器開発における知財戦略
医療機器開発における知財対策ガイドブック
~中小・ベンチャー企業と医療機関のwin-winの医工連携に向けて~
事例から学ぶ 医工連携の知的財産