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期待されると成績はあがるのか? 「ピグマリオン効果」と「ゴーレム効果」と「負け犬効果」

「認知バイアス大全」マガジン

236ある認知バイアスを紹介しているマガジンです。

ピグマリオン効果

ピグマリオン効果(Pygmalion effect)とは

他人からの期待にそうようにパフォーマンスが向上する効果

です。アメリカの教育心理学者、ローゼンタール(Robert Rosenthal)によって発表された効果で、そのため「ローゼンタール効(Rosenthal effect)」とも言います。

ピグマリオンとは

ピグマリオンは英語では「Pygmalion」。「ピュグマリオーン」とも。ピグマリオンは、ギリシャ神話に出てくるキプロス島の王。


キプロス島とはここ!
NuclearVacuum - File:Location European nation states.svg, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8105074による

キプロス島の王様、ピグマリオンは、現実の女性に失望し、理想の女性、ガラテア(Galatea)を彫刻します。ガラテアを最初は真っ裸で彫刻し、じきにおもんばかって、服を彫刻します。ピグマリオンは、ガラテアに恋をし、ガラテアから離れずに過ごし続け、衰弱していきます。愛と美と性を司る女神、アプロディーテーがピグマリオンを憐れみ、ガラテアに生命を与え、人間にします。そうしてピグマリオンは、ガラテアを妻にします。以上のギリシャ神話から、「願えば叶う」という文脈で、この効果を「ピグマリオン効果」と名付けられました。

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ジャン=レオン・ジェローム作『ピグマリオンとガラテア』 (1890) 
メトロポリタン美術館

ピグマリオン効果の反対、ゴーレム効果

期待されないことでパフォーマンスが低下してしまう傾向があるとして、これをローゼンタールはゴーレム効果(Golem effect)と呼びました。


ピグマリオン効果は本当にあるのか?

再実験したときにこの効果が見られなかったと、再現性が否定されてもいます。また、褒めれば伸びる!とも安易に言えない面のあり、安直に信じないほうが良さそう。そういう面ってあるかもね、くらいが按配が良さそうな認知バイアスのようです。


ピグマリオン効果の対偶 「負け犬効果」

期待されないほうがパフォーマンスが向上する効果として「負け犬効果(Underdog effect)」というものがあります(※2)。この効果は、評価される側が評価する者を見下していることが条件です。評価者が有能だとパフォーマンスを行う人たちの成績が下がり、評価者が無能だと成績が上がったという研究がありました。もし誰かに期待されないことがあった場合、その人を見下すことでむしろパフォーマンスの向上が期待できるかもしれません。


対策

ピグマリオン効果を知ることの良いことは、この効果を紹介し、それを根拠に主張しているものがあるとき、それを疑って掛かったほうが良いことに気づけることです。「ピグマリオン効果」というものがあるので、褒めて伸ばそう!という主張を見たら、疑ってみても良いかもしれません。

応用

期待されていないとき、評価者(上司など)を無能だと考える

ピグマリオン効果はあまり信用せず、負け犬効果を信じて、上司から期待されていないときは、上司を無能だとみなすとパフォーマンスが向上するかもしれません。


参照

※1:Pygmalion effect

※2:The Underdog Effect: When Low Expectations Increase Performance


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