“通勤は人生を削る”理由とその5つ対策
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ほぼ悪い影響しか無い「通勤」
「百害」なんて言葉もありますが、通勤にはこれが当てはまるほど、悪いことだらけ。テレワークが普及してきて、通勤は確実に減ってきていますが、それでも依然としてしなくてはいけない人々もいます。今回は通勤のデメリットとその対策を紹介します。ところで、以前、対談コラムで「職場と家は近いほうが良い」ということを話していました。それを「職住近接」と表現していました。通勤くらいストレスなことってないのにそれを無くす工夫をなんでしないの?と。
「渋谷の黒豹」と言われる夜カフェの立役者、大谷秀政さんも「通勤が嫌だから企業した」と語っていました。
通勤のデメリット
(1)離婚の可能性が高くなる
夫の通勤時間が45分を超えると夫婦の離婚率が40%も上がることが、スウェーデンの論文で2011年に発表されています(※1)。
(2)睡眠時間が減る
通勤時間が1分増えるごとに、睡眠時間が0.2分ずつ減ることが、2012年のアメリカ合衆国ブラウン大学の論文で明らかになっています(※2)。睡眠不足は肥満にもつながるし、メンタルも悪化します。
わかったらしい。日本の通勤時間の平均は往復1時間17分なので、年間で約73時間も睡眠時間が消えていることに!ギャー!
のと思ってエビデンスを探してみたら、この疑いは正しかった。速読は、ただの飛ばし読みでした。
(3)太る
通勤が長いと肥満になります(※4)。
(4)達成度が低い
在宅勤務に比べて通勤しオフィスで働くひとたちは、仕事の達成率(労働時間と売上により計算)が13.5%低い。離職率が50%高い。満足度も低いという研究結果があります(※8)。
通勤対策
(1)見知らぬ人に話しかける
日本人からするとハードルが高いですが、通勤途中で見知らぬ人に話しかけるとなぜか幸福度が上がったようです。これはシカゴ大学の2014年の研究(※3)で、有意に幸福度があがったことがわかりました。
(2)やらされていると思わない通勤
ハーバード・ビジネス・スクールからのペーパー(※4)によるとセルフコントロールが強い人は長時間通勤に強いことがわかったそうです。研究では、長時間通勤を積極的に有効活用しようとしているからではないかと推測しています。
(3)出勤と退勤に一貫性がある
298人を対象とした調査によると(※5)出勤と退勤の時間に一貫性がある仕事のパフォーマンスが高かったようです。これは(2)のセルフコントロール能力の高さにも関連しているかもしれません。睡眠時間も通勤時間も一貫性があると心身やパフォーマンスに良い影響がありそうです。
(4)ウォーキングや自転車などのアクティブな通勤をしている社員は生産性が高い
これもセルフコントロール能力に対する自己評価と関連がありそうですが、運動による影響ももちろんあると考えられるものの、自分で自分の時間をコントロールしているという感覚は、そのまま高い自己効力感に繋がります。高い自己効力感は幸福度を高めます。
(5)自転車通勤
2016年のロンドン大学のイギリスに住む40〜69才の男女15.6万人を対象にしたもの研究(※6)で、2006〜2010年のあいだに全員の通勤パターンを調べたものがあります。それによるとBMIと体脂肪率が最も低いのは、自転車で通勤している人たちでした。さらに2017年の研究(※7)によると、車や電車で通勤している人たちと比べて、自転車通勤をしている人たちは、総死亡率が41%減、心疾患リスクが52%減、癌の発症リスクが45%減、癌の死亡率が40%減でした。自転車通勤最強(笑)。
まとめ
Youtubeラジオでエビデンスを語っています
毎日午後9時更新で、エビデンスをなとなく語っています。
参照
※1:The Local “Long commutes ‘bad for marriage’: Swedish study”
※3:Mistakenly seeking solitude.
※5:Predicting Job Performance Using Mobile Sensing
※6:Active commuting and obesity in mid-life: cross-sectional, observational evidence from UK Biobank
※7:Association between active commuting and incident cardiovascular disease, cancer, and mortality: prospective cohort study
※8:Does Working from Home Work? Evidence from a Chinese Experiment