鈴木 永(A Suzuki)

2017年夏から精神疾患(強迫性障害)を患い闘病生活を送りながらミクストメディアと油彩による作品を制作。

鈴木 永(A Suzuki)

2017年夏から精神疾患(強迫性障害)を患い闘病生活を送りながらミクストメディアと油彩による作品を制作。

最近の記事

時に希望とは過ぎ去った過去にあるものだったりするのかもしれない

僕の父方の祖父は脊髄小脳変性症という病気で亡くなった。 僕が子供の頃、祖父はいつも「ノートあるぞ」と言って大学ノートを何冊も、切らさないように買ってきてくれた。僕が夢中になって、そのノートに絵を描いているのを知っていたからだ。それが僕の、絵を描くことの原体験だ。 祖父の具合が悪くなり始めたのは、僕が高校生になった頃だった。脊髄小脳変性症という病気は、小脳が萎縮していって段々体の自由がきかなくなっていく病気で、原因は不明で延命治療しか出来なかった。僕が東京の美術大学に進学する為

    • おれにソックリな猫の話

      ウチの実家にはおれが子供の頃から4匹の猫がいた。そのうちの1匹、一番末っ子の猫(オス)が、おれにソックリだと言われていた。家族もパートナーも、知り合いにも見せるとソックリだと皆言った。ソックリなのは特に見た目。性格は相手が猫なので似てるかどうか、おれにはよく分からない。 似た者同士だからだろうか。おれとその猫はあんまり仲が良くなかった。「ヨシヨシ〜〜ちゃん」みたいに可愛がる気がしなかった。ある時は、ただ近くを通りがかっただけなのに猫パンチされたこともある。ただ、向こうもおれの

      • 最期のお年玉

        僕が強迫性障害になった2017年の今日(7月10日)、僕を一番可愛がってくれた父方の祖母が亡くなった。 その頃には僕の強迫性障害の症状も、もう普通に食事をすることも、普通に歩くことも出来なくなっていて、祖母が亡くなった連絡があった前日も、前日の午後18時から翌日の昼12時まで計18時間、東京のアパートの床やら壁やら風呂場やらを拭きまくり、手も洗いまくった後だった。そんな状態でもまだ生活の為の仕事をコマ数を減らしつつもしていた。あのまま東京のアパートにいたら、おそらく僕は誰にも

        • 光だと思って

          数日前から部屋に虫がいる。 5〜7ミリ程の薄緑色の虫だ。 虫は光に向かって飛んで行く。 部屋の蛍光灯の中には、光に向かって飛んで、その中で息絶えた虫の死骸が沢山ある。 その死骸の中で、薄緑色の虫は今ウロウロ歩いている。 死骸となった虫達にとっては、その光は向かうべき光ではなかったのかもしれない。 そこへ向かいさえしなければ、今も生きていられたかもしれないのだから。 人間にもそういうことがあるのだろうか。