見出し画像

中高生:マリンバのソロコン曲候補について

中学生の教え子で、副部長をやっている(と思う、確か)子から連絡がきた。なんでも、ソロコンにマリンバで出たいという。オススメの曲が無いか、教えてほしいとのことなので、加筆して載せておこうと思う。

候補に悩まれる若い打楽器仲間の皆さん、あるいは同じく悩まれる顧問の先生方・・・この記事を読んで悩みが解決すれば良いと願って、書いておきます。


楽器の音域を確認

マリンバは楽器によって音域が違うので、それをまず確認しなければなりません。次の図をご覧ください。

無題

●音域・・・①~⑤まで5個の『ド』が書いてありますが、この全てが出せないと、基本的にはソロ曲は演奏出来ないと考えてください。何曲か、古典作品でこれより狭い音域でも演奏できる作品はありますが、難易度は易しくありません。学校のマリンバに『ド』が最低でも5個あるかどうか、よく確認しましょう。

●最低音・・・基本的にはC28(C3)までだと思います。たまにA25(A2)まである楽器もあります。C16(C2)まであるのは、極めて稀です・・・。

●表記の違い・・・基本的に日本ではC16とかC28とか、そういう表記になりますが海外ではC2、C3、といった表記が主流です。

これらを踏まえて、曲を探すと良いでしょう。私は楽譜はBluemalletで購入しています。音域まで丁寧に解説してあります。
私が知る中では最も親切で信頼できる通販サイトです。

推薦曲

基本的に中学生でも弾ける4オクターブ(C28~C76)の作品を載せています。

アリス・ゴメス:レインダンス

4マレット入門の定番です。何か所か、意外と難しいですが大体皆さん取り組んでいます。3か月くらいかけてみんな仕上げていたなあ・・・

ロス・エドワーズ:マリンバダンス(1楽章)

2マレットの定番?リズムや跳躍が難しいですが楽しい曲です。

安倍圭子:プリズム

2マレットの定番!私も弾きました。比較的簡単ですがきちんと仕上げるのは大変です。4マレットに自信がないけど、2マレットでやりきる根性があるなら・・・です。早い子は1か月くらいで暗譜して持ってきました。

(追記)そういえば自分が弾いていたのを思い出しました。大学院修了試験の時の演奏です。よろしければご笑覧ください。

クレア・オマール・マッサー:練習曲作品6-8

4マレットの変化球。簡単そうですが難しいです。上手に弾けば、最後のコラールがとても感動的です。

(追記)そういえば自分が弾いていたのを思い出しました。大学院修了試験の時に息抜きで練習していたときの演奏です。よろしければご笑覧ください。

クレア・オマール・マッサー:練習曲作品6-10

4マレットの定番ですね。丁寧にコツコツと仕上げる人に向いています。

(追記)そういえば自分が弾いていたのを思い出しました。大学院修了試験の時の演奏です。よろしければご笑覧ください。

アール・ハッチ:フリオーソとワルツ

2マレットの古典、ワルツがちょっと難しいですが運動神経に自信があれば取り組んでいいと思います。

トーマス・ピットフィールド:木琴ソナタ

マリンバが学校になくても、シロフォンで出られます(音域は各自確認してください)。2マレットと4マレットの楽章があるので、うまく組み合わせましょう。

三善晃:トルスⅢ

4マレットで腕に自信のある高校生はぜひ!20世紀の名曲ですが難しいです。

アルフレッド・フィッシンジャー:マリンバ組曲

4マレットの柔らかいトレモロ(1・3楽章)が好きな方はこちらを。コンクールには不向きですが音楽性を磨くことが出来ます。

(追記)そういえば自分が弾いていたのを思い出しました。大学院修了試験の時の演奏です。よろしければご笑覧ください。

おわりに

ソロに挑戦するのだから、好きな曲で出るのが良い・・・というのは勿論、レッスンについている先生の意見は必ず伺った方が良いのは言うまでもない。昔、ものすごくやる気と実力がある中学生にジョリヴェの協奏曲を勧めたところ、『実は自分、譜面買っちゃったんスよ・・・』と言われ、クセナキスのルボンを持ってこられたことがあった(ちなみにその学校にはウッドブロックが2個しか無かった)。いくら何でも中学生にクセナキスは出来ない(多分)。自分で調べて、やりたいと思うことはとても大切だが、打楽器は実力以上に楽器の都合や練習環境などに左右されるし、適性は意外なところにあるものだ。

ちなみに冒頭で紹介した副部長にはマッサーの練習曲を勧めた。彼女は視野が広く、しなやかな感性と大胆さを持ち合わせている(もちろん実力にも優れている)が・・・明日の状況も見えないという困難な最中で、どうやったら楽器が嫌いにならないでもらえるか・・・という悩みを、私は悶々と抱えている。

ソロは周りの協力が欠かせないが、過程は全て独りで乗り切る必要がある。支える事は出来るが、本人の芯の強さと自分を信じぬくたくましさ、そして音楽を愛する心が無くては、決して本番を迎える事は出来ない。件の副部長にも、ソロを機会にまた成長してほしいと願っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?