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エネチェンジの事業悪化と支援の可能性
エネチェンジがEV充電事業に絡んでオフバラ化していた充電器保有が監査法人指摘を受けて本体取込となり、色々と大変なことになっています。
具体的には外出しSPCでオフバラ化していたEV充電器を本体取込で資産化&引当金計上を行ったことで急激に事業リスク増/財務状況悪化に。
24/02に実施された政府系ファンドからの出資も色々と不透明となる中で、事業立て直しが求められます。
ただ、現状では公募や優先株発行も難しいと思われ、優良な資産/サービスを狙った他社(自動車OEMなど)からの支援もアリではなかろうかと思われます。
1;24/03以降の本件に係る動き
1)24/03/06;株主総会の継続会決算報告延期
EV充電事業に関する会計処理につき監査法人から疑義をかけられたため、決算報告が延期に。
取締役選任に関しては承認されたが、決算報告に関しては継続会開催を以ての承認とすべく延期すると
2)24/03/27;SPCの連結化と業績予想修正
従来は連結対象外のSPCとしていたEV充電事業のEV充電器保有法人は監査法人から[事業と一体不可分]とされて連結化
これを受けて今期業績予想(売上高100億円&黒字)を未定に修正
3)24/03/27;外部委員会設置と有価証券報告書提出遅延
[EV充電事業を担うSPCの連結化][SPCの有する将来的なプットオプションに関する損失への引当金]に係る疑義が表明され、外部委員会で調査することに。エネチェンジは監査法人の指摘を受け入れてSPCを連結に含める判断を実施
2;SPCの連結化;概要
従前はEV充電器をSPCに販売していたのが、連結化で内部取引(購入&資産)に変わるため、売上は消失。元々、EV充電器の販売売上は殆どが補助金だったはず
今期の会計処理に係る判断は監査法人次第だが、意図的な損失隠しと断定されると痛手。もちろんEV充電事業自体が新事業であり、過渡期ということで大目に見られる可能性もあるにはあるが…
3;SPC連携化;影響
監査法人指摘を受けてエネチェンジはSPCを連結対象として組み入れたことで下記影響
[売上;22億円程度の減少(66億円→44億円)]
[営業損失8億円程度の計上]
[経常損失9億程度の計上]
前回の決算説明では[EV充電事業=売上;23.1億円/経常損失;9億円]だったため、単純合算でEV事業は[売上;1億円/経常損失;18億円]に。
23/12決算は[売上;44億円/営業損失;19億円/経常損失;21億円]に修正か
23/12時点の純資産は23億円、24/02に政府系ファンドのJICから40億円の出資が為されているが、これもどうなるか
経常損失9億円増は、詳細不明ながらEV充電事業の見通し変化への引当金と想定される。EV充電事業は[事業者負担=0円]を特徴とするが、エネチェンジが導入支援金名目で一部設置費用を負担。本費用に係る引当金とみられる
4;今後のエネチェンジ
EVシフト減速がグローバルに取沙汰され、EV充電事業を始めた時期と比べて市況は悪化…少なくとも下記の対応は求められそう
(1)利益最大化への案件選別と社内体制整備
23年後半からEV充電補助金が入札制にシフトしていることに対応し、エネチェンジの導入支援金をEV充電補助金で賄うべく入札金額を上げる必要。入札金額の引き上げは補助金逃しの可能性も出てくるが、現状でも他社比較で価格優位性があるとのこと
仮に前期のEV充電器設置台数を5000口とすると、9億円/5000口=18万円/口の経費増加に
また、KPIを利益率にしてEV充電器一台当たりの売上/コストを厳密に見定めるモニタリング体制を構築する
(2)販管費削減
EV充電事業の販管費は[Q;5億円(年間で20億円強)]程度で、広宣費/人員の削減などで柔軟な事業体制の構築が求められる
特にEVシフトがグローバルでも減速傾向にあることに機動的に対応する必要がある。また、ブランド/イメージ等の価値向上に向けたEV関連イベントへの出展も、直接利益に繋がらないのであれば抑制する
(3)事業モデル変革
最も有望なのは既存のEV充電NW及びアプリを用いてプラットフォーム型ビジネスへ脱却することでの安定事業化
自社で設置するEV充電器は高稼働率が見込める場所に限定し、EV充電アプリは他社にも開放して手数料ビジネスに徐々にシフト
EV充電アプリの実質シェアは100%に近く、他社がEV充電器を設置してユーザが使うことで収益が自動的に得られるような仕掛けへできるのでは
5;その他
24/02に政府系のJICから約40億円の出資を受けているものの、この1ヶ月で株価はほぼ半値に…。詳しい契約条項次第だが、資金引き上げの可能性もある中、今の株価では公募も難しく、財政コントロールは一気に火の車に