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NXPが自動安全SW;TTTech-Autoを買収、SDVシフトへ布石を

オランダの半導体大手であるNXPがADAS/自動運転ソフト開発を行うTTTech-Autoの買収を発表しました。NXPは自動運転向けチップの開発を通じて自動車業界のSDVシフトを商機とし、さらなる事業成長を加速すべく取り込みを狙ったものとみられます。

1;NXPによるTTTech-Auto買収

 1/7にオランダ半導体大手のNXPが自動運転SW開発を行うTTTech-Auto(TA社/オーストリア)を6.25億ドルで買収(現金買収)すると発表。取引は規制当局の承認待ちだが、TA社経営陣とエンジニア全員がNXPに移籍して[NXP]ブランドで業務を行う
 NXPは親会社であるTTTech‐Groupが保有する35.8%分の株式を含む全株式の現金対価契約を締結。業界筋では車載半導体分野ではNXPと競合関係にあるInfinionが株式を手放す点は驚きをもって迎えられる

 NXPはTA社買収でSDV対応事業の強化を狙う
 そもそもNXPは2006年にPhilipsからスピンアウトした企業で、多様な業界の自動化向け半導体を専門とする。自動車OEM向けでは、ADASコア機能たる[センサー/カメラ用チップ]を提供しており、SDV移行支援PFであるCoreRideを立ち上げ。ADASではレーンアシスト/自動ブレーキ/自動加減速などがコアと位置付けられる

2;TTTech-Autoについて

 TA社は18年にTTTech‐Groupからスピンアウトし、AUDI/Samsung/GE-Venturesなどから約7800万ドルの資本調達。22年にはAptivが主導して2.85億ドルを追加調達(Series-C)した
 TA社は自動車OEMと連携して半/完全自動運転にかかるSDV分野への事業進出を進める。
 主力製品である[MotionWise]は、ADAS/ADS用のミドルウェアPF。リアルタイムでデータ処理を行い、カメラ/レーダー/アクチュエーター/制御ユニットなどの制御システム間でのデータ流通の円滑化及び、複数サプライヤーのSW統合をサポート。
 たとえば、OEMが自動加減速/車線維持支援などの機能を実装/改善する際にTA社はソースから全データを取得して、最小限の遅延でデータ処理して安全操縦を可能とする
 TA社は従業員を約1100人抱え、拠点は全世界で12か所(欧州/アジア)を置く

3;その他

 NXP社はEV化/SDV化シフトの中心地にありNvdiaのようにトレンドを捉えた成長を志向、現在の企業価値は540億ドルを超える
 自動車OEM各社はHW/SWを高度に融合したPF開発に移行しつつあり、その中で重視されているのがSDV技術。一部調査によるとSDV市場は2024~2027年にかけてCAGR48%で成長すると見込まれ、2027年には自動車生産台数の45%がSDVベースになると予想される

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