電動自転車/スクーター向けLiBの新規制が中国で成立、施行へ
中国で電動自転車向けのLiBの製造に関する新規制が成立し、11月から施行されます。
22の項目からなる新規制はLiBの安全性を強化するもので、低価格を売るとするサプライヤは対応が迫られそうです。
今回は国内向けの規制ですが、一次的な供給減少も想定される中で輸出品にも影響が出る可能性があります。
1;中国政府による電動自転車向けLiB規制
中国政府はバッテリー火災の大部分が低品質の中国製バッテリーに起因しているとの指摘を受けて新規則を制定、11月に施行予定。対象は電動自転車用のLiBで、先立って中国は超小型モビリティ機器に使用されるLiB製造に係る新技術基準を通過させている
今回の規格は[電動自転車向けLiBの安全技術仕様]で、設計/製造/販売を規律監督するもので、特に生産品質/火災リスクに関する技術的懸念に対応、設計/製造に関して22項目でカバー。具体的には[LiBの過充電/過放電][外部短絡][熱耐性][LiBの膨張]などが含まれている
施行は24/11/01の予定で、それ以降は新規格に準拠しない電動自転車向けLiBの国内販売は認められない。現時点では3.5億台の電動自転車が路上走行する中国国内のみを対象とする
2;背景の発火/火災問題
米国大都市内における電動自転車の発火/火災事件が注目され、電動自転車の台数が増えるにつれてLiBパックの安全性懸念が高まっている。特にNY市で顕著で、電動自転車を用いた配達員数の多さと比例した低品質の中国製LiBの市中出回りで電動自転車LiBを起因とする火事が多く起きている。通常、配達員向け電動自転車にはコスト効率化を目的として安い製品が用いられる
FactFulnessではないが、NY市の火災死亡者は[電動自転車<<ヒーター]なのだけども…。一方で、電動自転車の急速な増加と中国製品の蔓延も事実ではあり、関心は高まり続ける
3;新規格の影響
米国/他国で利用される電動自転車/部材の多くは中国製であり、今回の規制を通じてコストアップ/一時的な流通量減少が想定される。政府が新規制として打ち出したことで、厳しい罰則を避けたい企業は対応し得ざるを得ない
LiB製造方法は新基準に沿った形で行われることとなり、低価格を売りとする企業の多くは淘汰される可能性が高い
基準未満の企業は[設計/製造のアップグレード]か[生産停止して対象業界を切替]くらいしかとる道が無くなるが、逆に高品質なLiBを供給するサプライヤーにとっては優位性を固定できるチャンスが到来したともみることができる
今回の規制は国内のみで輸出製品には適用されない点は注意必要。国内市場の大きさを勘案すると輸出品向けに別個の生産ライン/設計を維持することに意味なく、徐々に国内基準に統合される。ただ、低品質品の在庫一斉セールを諸外国向けに行うことも想定される…
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