米Jobyの資金調達と独Liliumの破綻
eVTOL業界での競争が進んで優劣が付き始めつつある動きが出ています。
優位にあるJobyは事業拡大に向けた株式売り出しを発表、株価は堅調に推移しており市場/社会からの信頼を集めています。
一方でドイツのLiliumは以前にはプロトタイプ開発/飛行で注目を集めていましたが、この度政府からの支援が得られず破綻に至りました。
1;Jobyによる資金調達
10/24にeVTOL大手のJobyはNYSEで最大2億ドルの普通株式売出を発表。普通株式売出人はJoby本体で、主幹事はMorganStaney及びAllen-Global。引受人に30日間のオプションを与えて普通株を3000万ドル分追加購入する予定
今回調達する資金は既存の現預金と合わせて型式認証/量産/商用販売準備(25年)/運転資金に充当する計画。商用販売前にFAAからの型式認証プロセスを完了して、機体設計が安全性/耐空性を満たしていることを確認する必要がある
ちなみに、量産に先立ってJobyは[デルタ航空/UBERと連携したNY / LA / Dubai / Abudabiでのエアタクシー発売][国防総省への納入契約(5000万ドル)]を進めている
eVTOLをめぐっては同週にFAAがeVTOL向けの訓練/運用ガイドラインを発表したことで規制上の視界がクリアになっている
2;独Liliumの破綻
独発祥のeVTOL新興;Liliumが政府に提出した書類によると、政府資金の調達に失敗して破産申請する見通しであると明らかに。ドイツ政府に要請した[5000万€の融資][5000万€のCBへの政府保証]について後者が議会で否決
Liliumによると[ドイツ連邦議会の予算委員会でCBへの政府保証を承認しない見通しを受け取り、事業継続に必要な資金が枯渇した]としている
Liliumはドイツ法に基づいて今後数日以内に破産申請を行うとし、子会社のLilium-Airclaftの管理権を喪失することになる
3;Liliumの軌跡
2015年にドイツで創業したeVTOL企業で、2021年にNASDAQにSPAC上場するまで投資家から10億ドル以上を調達。主力製品のLilium-Jetは2017年に概念発表し、2019年に初飛行に成功。
主要投資家はTenscentを筆頭にHanewellやAtomicoなどが名を連ねていた
Liliumは業界内でも早期に飛行を実現してきたが、20年の試作機炎上/21年のSPAC上場以降は事業低迷が続いていた
-17年;[Lilium-Edge(無人2人乗り概念実証モデル)の初飛行に成功/25年までに5人乗りのLilium-Jetの発売する計画を発表
-19年;[Lilium-Jetの5人乗りプロトタイプ;Phoenix]の初飛行に成功(可動フラップに取り付けられた36個の電動プロペラで駆動)/スイス国営鉄道SBBとエアタクシーの利用協業で合意
-20年;不動産デベ;DaviStockと提携して米FL州に垂直離着陸場を建設すると発表/2機の試作機のうち1機が整備中に炎上
-21年;ブラジルの航空会社;AzulがLilium-Jetの220機購入意向書に署名