Teslaでレイオフ実施、幹部社員/優秀社員が相次いで退職へ
Teslaは全従業員の10%を対象とするレイオフに関して従業員に通知を実施しました。同時に重要幹部の退職も発表、レイオフでも真っ先に優秀社員が辞めているとの報道もあり、社内の士気は相当に下がっているものとみられます。
先ごろ発表されたロボタク開発/サイバートラック生産の縮小など、相当な事業戦略ピボットの実行に向けて動いているようです。
1;従業員10%のレイオフ
4/15にTeslaは従業員向けに[次の成長段階へのコスト削減/生産性向上]を目的としたレイオフを通知。米国/欧州/中国で事業展開するグローバル組織全体で10%以上(14,000人程度)が解雇対象となり、全ての部門/職階で文字通り全従業員が対象になっている
一部部門では10%を超える従業員のレイオフが為され、一部管理職は20%近くが会社を去ったとのこと。レイオフ対象には高評価者も対象となっており、意外にも高評価者の方が解雇対象数としては多かったとのことで、対象従業員の多くはTeslaの全社優先順位の中で階に位置するPJに関与。
Musk氏は本件について下記のようにコメントしている
-[組織を徹底的に見直し、全世界で従業員数を10%以上削減するという難しい決断を下した。これ以上にイヤなことはないが、無駄なく/革新的な体制に変革して次の成長サイクルを実現する]
2;重要幹部の退職
従業員のレイオフと同時に2人の重要幹部がテスラを退職。上級副社長(パワートレイン/エネルギー)のDrew Baglino氏と、副社長(公共政策/事業開発)のRohan Patel氏の2名。ここ1年で重要幹部が退任するのは2度目で23/08にはCFOのZachary Kirkhorn氏が退職していた
Baglino氏はXへの投稿で[Teslaでの18年間働いた後に退職するのは難しい決断だった]としている。同氏はXにおいてMusk氏と並んでTeslaに関する情報を投稿/コメントをしており、SNS上のインフルエンサー的な立ち位置でもあった
Patel氏はインタビューで[会社の大きな変化に向けた決断で、自分にも会社にもよいことだ。これまで業界最高レベルの公共政策/事業開発において最高の業績を達成してきた]としている。同氏はオバマ政権で特別補佐官/気候エネルギー担当顧問を複数年にわたって務めた経験を持つ
3;レイオフ決断とマスク氏のコメント
今回の決断は自動運転に絡む大きな戦略変更の中(低価格EV開発→ロボタク開発)で行われた。最近、25,000ドルの低価格EV開発を断念、経営リソースを完全自動運転であるロボタク開発に注力すると公表
Teslaは2023年に180万台のEV出荷を記録したが、高金利/競争激化という外部環境激変に中で値下げに注力してきた
Musk氏はXへの投稿で[2人の幹部への感謝の意]を表明し、他メディアで下記のように語っている
-[会社を次の成長段階に向けて準備するため、コスト削減と生産性向上に目を向けることが非常に重要]
-[テスラの成長により、特定分野での役割/職務の重複が生じている]
4;サイバートラック生産体制の縮小
レイオフに先立ってTeslaはGiga-Texasの従業員に[サイバートラックの生産体制縮小]を通知したともされる。
サイバートラックの製造を行うGiga-Texasの従業員に通知、下記のとおり勤務体制が変更。生産体制変更は4/11に通知され、4/15から実行される
-(従前)6:00-18:00/18:00-6:00の12時間勤務x2
-(爾後)6:00-17:00/18:00-4:30の11時間&10.5時間勤務へ
Giga-Texasの他ライン(Model-Yや次世代車両)での生産体制変更は確認されずで、Nevada/California両州の工場では依然として12時間体制が予定されている
5;その他
サイバートラックは23/11に発売され、24/01には決算会見でマスク氏が需要の高さを印象付けたが生産制約の大きさを指摘
(23/11)Musk氏[オースティン工場が生産担当するが、デザインの鋭さから加工精度が求められる]
(24/01)Musk氏[2024年の予約受付分はほぼ完売しており、生産が追い付かない状況である]
ここ最近のTeslaをめぐる状況は外部環境の激変で厳しさを増しており、在庫も急増(46,000台@24-1Q)している。一部車種の値上げ/補助金の終了/金利高騰などが要因としてあげられ、また地政学リスクの高まりに伴うサプライチェーン寸断(リードタイム長期化)/米本土回帰(Giga-Mexico遅延)などが立て続けに起きている。
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