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米FTCはGMに運転データ/位置データの社外共有の禁止命令を発出

米FTC(公正取引委員会)はGMに対して車両から取得される運転データ/位置データを顧客同意なく第三者に提供していたことを受けて5年間のデータの社外提供を禁ずる命令案を発出。今回は不自然な保険料の値上がりから調査報道が行われ、政府施策に至りましたが、GMには痛手になりそうです。

1;FTCによるGMへの禁止命令

 1/16に米FTCはGMに対して運転/位置データの第三者販売を5年間禁ずる命令案と発表。FTCはGMとOnStar(GMのサブスクベースの車載安全/セキュリティシステム)は十分な通知/同意をせず何百万台もの車両から位置情報/運転情報を収集/使用/販売したと主張
 FTCはGMがドライバーがOnStarに登録させるために[誤解を招く登録プロセス]を使用したと結論付け。
 一部ドライバーはOnStarのスマートドライバー機能(運転データを使用した車両パフォーマンス向上/安全運転促進)に登録したことに気付いていなかったと報告
 FTCの委員長;Lina M. Khanは[GMが人々の正確な位置情報と運転者の行動情報を監視/販売しており、時には3秒ごとに情報を流していた]とコメントしている

2;命令発出への経緯

 発端はNYTimesのKashmir Hill記者の調査報道で、記事では[GMがドライバーの運転習慣の詳細(急ブレーキ/深夜運転/スピード違反など)を収集しtデータを保険会社/第三者のデータブローカーに販売していた]とすっぱ抜いた。
 顧客データの潜在的な悪用の影響は保険料の上昇だけにとどまらない…。個人の位置データは、居住地/勤務先/医療施設/礼拝所などの訪問履歴で個人の機微情報を明らかにする可能性が高く、悪用されれば犯罪に用いれる可能性がある

 FTCの命令提案を裁判所が承認した場合、GM/OnStarは消費者報告機関へのデータ開示を禁止され、更に下記対応が求められることに
 -車両データ収集前にドライバーから明示同意を得る必要
 -顧客によるデータ取得/オプションの提供
 -申し出に基づくデータ収集制限

3;GMによる抗弁

 GMは2024年に[スマートドライバープログラムの終了/顧客の登録解除/分析会社(LexisNexis/Verisk)へのデータの販売を停止]したとして必要措置を講じたと主張
 [FTC の同意命令に対しては顧客データ収集と情報の使用方法に関して措置を講じた]
 [昨年9月にプライバシー基準を引上げ続けるための幅広い取組の一環として、米国のプライバシーステートメントを1つに統合した]

 また、プライバシープログラムを拡張して顧客が自身の個人情報にアクセス/削除するオプションを提供しているとも述べている


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