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ケベック州が2035年にAll-EVを義務化する法案を可決…

カナダのケベック州は2035年に軽量自動車に関してEV以外の新車販売を禁止するる法案を可決しました。米国のCA州と並ぶEV先進地域での施策、EVシフトの秘訣はインセンティブとクリーン発電の比率の高さが背景にありますが、特殊性から他地域への拡大は限定的とみられます。https://montreal.ctvnews.ca/quebec-passes-bill-that-bans-gas-powered-vehicle-sales-by-2035-1.7147204

1;規制全般

 ケベック州(加)は12/18にガソリン駆動車の販売を禁ずる法案を可決。2035年からICE小型車の州内販売を禁止するもので、時限は他州同様だが内容は厳しくなっている
 22年にカナダ政府はGHG排出削減計画を発表し、2035年までに[EV販売拡大/全新車はゼロエミッション車を義務付け]を達成するとしている。本計画では[PHEVが最低要件を満たせば、内燃機関を搭載型でも許可する]という例外も含まれるがケベック州の法案では例外なく2035年における全新車をEVとする内容で、HV車/PHV車の販売も禁ずる

2;規制の詳細

(時期)
 ケベック州では2034/1/31以降、内燃機関を搭載した軽量車両の広告/販売を禁止。2035年以前の中古車にも適用され、ケベック州より要件が緩い可能性のある他州からの車両乗り入れも禁ずる
 中古車規制はケベック州法を他の緩い法律から守るだけでなく、カナダ連邦政府による介入からの防衛壁にもなり得る
(禁止行為/対象)
 
2035/12/31には、2034年モデル以前のICE車両の販売/リースが禁止される。2年強の期間でディーラーに旧型車の在庫処分を促すが、内燃機関自体にも適用され、すでに走行中の車両エンジンを交換する場合を除いてエンジン単体の販売は禁じられる
 本法は軽量車両にのみに適用され、[中型/大型車両][オフロード車両(ATVやスノーモービルなど)]には適用されない
(その他)
 法案では2026年/2030年の市場を分析して2035年の遵守に向けたタイムライン調整を指示、状況が予定より大幅に進んでいる場合には前倒しの可能性も。州議会の左派政党は2030年をタイムライン設定するように求めたが、州政府/州与党がEV供給量を加味して2035年に設定

3;カナダの状況

 カナダ国政では現在、自由党(トルドー首相)が政権を担っているが、来年の総選挙では政権交代が確実視。現野党はEVシフト/環境保護に後ろ向きで国政レベルでの法令/規制は変わる可能性が高い
 ケベック州は現在カナダ全土でのEV登録台数トップで、登録台数;50%/新車販売;33%を占めており20%程度の人口に比して高い水準を誇る
 米CA州を近しい位置づけだがシェア等を勘案すると超える水準で、環境理念が似ており国境を越えた炭素排出量のキャップアンドトレード市場も存在。EV導入の成功の背景には州独自の[Roulez vertプログラム(EV導入インセンティブ)]及び[クリーン発電(94%;水力発電/5%;風力発電):がある

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