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TuSimple社が事業撤退に伴い資産オークション/上場廃止へ

自動運転トラック事業を展開するTuSimpleが上場廃止手続/資産売却の動きを進めています。
従前に報告された米国事業撤退の実現ですが、経営陣の捜査/事業混乱から始まった今回の撤退後の事業に注目です。

1;TuSimple(TuS)社の自動運転トラックオークション

 TuS社が保有する自動運転大型リグ10台が事業撤退に絡んで他什器と並んでオークションにかけられるとのこと。23/12に米国事業撤退/日中事業への注力をすでに公表しており、その動きに対応する動き
 日程は[1;1/23-25][2;2/6-8]の2回に分けて多数の研究開発機器や事務用品と共にオークションにかけられる
 TuS社は35台の大型リグ保有(米国内)を11月に公表、残台については現状で不明。オークション会社によると今回の対象はあくまで10台とのこと

2;NASDAQ上場廃止

 1/17にTuS社は株式登録抹消に向けた手続きの開始を発表、[1/29;Form25提出][2/7;最終取引]となる予定。同社の独立委員会によると、[評価額/流動性の低下][株価ボラの上昇]などで上場する意義がなくなったとのこと
 独立委員会によると下記のように述べるが、外部環境だけでなく事業の先行きやマネジメントへの操作なども悪影響を及ぼした…。委員会コメントでは[2021年の上場以来、金利上昇と量的緩和引き締めの影響で資本市場に大きな変化があり、投資家心理が変化した]とするが。

3;自動運転業界(商用)の難しさ

 TuS社は一時期、自動運転トラック/交通システムの星としてユニコーンレベルまで評価額が上がっていたが凋落…。
 2015年に創業し、全米の商品を自動で移動させることを目指して完全無人トラックの開発に取り組んできた。2019年には郵便公社と拠点間配送に係る契約も獲得していたが…。
 同業他社も下記のような動きがみられて撤退/廃業が相次いでいる
 -Embark Tech;2021年に50億ドルの評価額でSPAC上場するも2023年には事業売却し、トラックは二束三文で売却
 -ArgoAI;FordとVWの出資を受けていたが、2022年に廃業を決定

4;その他

 TuS社の創設者/出資者の多くは中国本土出身で、自社を米国企業と標榜するが2021年の上場以降、中国人株主をめぐって当局(SECや対米外国投資委員会)による審査を受けた。最終的にFBI/SECの共同捜査を受け、その後は22年末にトラック運送大手;Navistarとの自動運転大型リグの共同開発契約を逃した
 TuS社の2023年の動きはほとんど事業ピボットの検討/執行に費やされ、紆余曲折を経て最終的には[米国事業撤退][日本/中国事業の継続]を決定
 -米国での150名の従業員は解雇、拠点も完全撤退
 -株価は21/07の上場来高値;62.58ドルから崩壊し、直近株価は0.73ドル…

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