ZeekrのNY市場への上場
吉利傘下のEV専業;ZeekrがNY市場に上場し70億ドルの評価額を付け、4.4億ドルの調達に成功しました。
提出書類では赤字継続/事業成長がみられ、海外進出計画や低価格/高品質な車両に対する投資家の期待は大きいものとみられます。
1;Zeekrの上場と財務状況
吉利傘下のZeekrは5/10にNYSEに上場、株価は取引開始から数分間で38%急騰して評価額は70億ドルにまで上昇。
今回の新株発行は18-21ドルのレンジ設定だったが、21ドルで2100万株を発行/市場売却して4.4億ドルを調達。レンジ上限での売却成功は投資家の意欲の強さを示すが、今回の資金は中国国外へのZeekrの支援に繋がる
SEC提出書類で自社の財務状況について公開したが、年次レベルでは損失が継続中。
-売上高…2023年;73億ドル(517億元)で、前年の320億元から61%の増加に
-純損失…2023年; 17億ドルで、前年比で8%損失が拡大。
-粗利益率は15%だった
FY24-1Q財務状況は準備中だが、[車両販売収益はYoYで増加]する想定だが勢いは弱まる可能性が高いとのこと。シーズナリティの影響が大きく、現時点での出荷量も減少しているのでFY23-4Qよりは減少する予想。平均販売価格も製品構成の変化によって低下し、1Qの粗利益は全四半期よりも低くなる可能性
Zeekrは吉利の支援により、車両納入が順調にスタート。最初の4か月で49,148台の車両を納入、Xpeng/NIOを上回る水準だった
2;Zeekrの海外進出計画
Zeekrは米国での展開計画を明らかにしていないが、中国国内の市場環境を踏まえると中国外への進出は自明の理。
投資家は[高品質/低価格]の製品に価値を見出している可能性が高い。進出対象はおそらく欧州で、Zeekrのモデルはデザイン/価格/性能共に欧州メーカーを意識している
同社は主力のSUV[Zeekr001]のオランダへの出荷を23年末に開始、24年にはZeekr001とアーバンSUV[ZeekrX]の投入を強化する方針。24年中に欧州6カ国への納入を強化、25年には8か国に拡大する予定で、BYD/SAIC/長城汽車などとともに攻め入る
米国での乗用車発売は発表していないが、Waymoと提携しており提携の一環としてZeekrの車両が米国の公道を走る可能性はある
21/12に吉利とWaymoはWaymoの自動運転技術にZeekr車両への統合/製造で合意。当該車両の発売時期は未定だが、Zeekrの提出書類ではPJ進行中であると強調(ロボタクから物流まで幅広いモビリティ製品をサポートする)。ちなみに、車両はSEA(Sustainable Experience Architecture)の強化版をベースにしている
3;Zeekrをめぐるリスク
米中の地政学的な緊張が高まる中でのIPOはリスク含みで提出書類でもリスクについて下記のように協調
-[Zeekrは中国企業であり、中国政府が事業運営に対して及ぼす影響力がリスク要因の1つである]
-[政府が更なる規制/政治/社会的目標に適切と判断した場合、当社事業に介入したり影響を与えたりする可能性がある]
-[米国では継続的な規制/立法のハードル(外国持株会社責任法など)が市場価格に悪影響を与える可能性がある]
-[高まる中国企業への監視の中で、上場廃止のリスクや投資家の信頼を失ったりする可能性がある]
最近の議会では、米国/欧州のメーカーよりも低価な中国の自動運転車がデータを収集して中国共産党に送信する可能性があることについて議論が活発化している
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