GMが黒鉛の安定供給に向けて鉱山事業者と提携
GMがLiBの負極材安定供給に向けて、カナダの鉱山事業者と安定供給&事業投資で提携しました。
LiBに関しては正極材利用のLiやCoへの投資が注目され、片方の負極材にはそこまで関心が薄かった昨今でしたが、米中対立での黒鉛調達難に対応する形で動き始めています。
1;GMによる黒鉛調達強化
2/14にGMはNouveau Monde Graphite(NMG/カナダ)と年間2万tの活性負極材の複数年度供給契約を締結。
GMは黒鉛鉱石の採掘/精製/加工から負極材製造までを包含するNMG社の事業開発に向けて1.5億ドルの投資を確約。GMに対する年間2万tの活性負極材供給は今後6年間継続される
NMG社は負極材製造に向けた一連の動きを内製化/一本化しようと動いている。ケベック州のマタウィニー鉱山で黒鉛採掘→ベカンクール電池工場での負極材への加工を一貫して実行。負極材製造ののちに、GMの電池セル工場への輸送を行い、GMはLiB製造&EV搭載を行う
2;黒鉛とEV
黒鉛は潤滑性/導電性/耐熱性/耐酸/耐アルカリ性に優れた特性を持つ材料で、LiBの負極材として用いられる。正極のリチウム合金からリチウムイオンが供給され、積層構造を持つ黒鉛は充放電過程でリチウムイオンが層間へ挿入/脱離を繰り返す
黒鉛は理論的な比容量が約370mAh/gで比較的高いため、電池容量を増やす上で現状最適解と考えられている
黒鉛系材料にはは複数種類があり、目的に応じて異なる種類の材料が使用される
-黒鉛;電池のエネルギー容量重視
-ハードカーボン;電池の充放電/耐久性重視
-ソフトカーボン;黒鉛とハードカーボンの中間特性
黒鉛の貯蔵量/生産量/輸入量は中国が高いシェアを占め、事実上LiB用途黒鉛は中国が支配。LiB重量ベースで黒鉛は高い存在感を示すが、OEM各社はLi/Coに注力して出遅れていた…
-埋蔵量;トルコ(28%)/中国(22%)/ブラジル(22%)
-生産量;中国(62%)/モザンビーク(11%)/ブラジル(9%)
-輸入量;中国(92%)/スリランカ(2%)/ブラジル(2%)
3;その他
今回の操業拡大はGMにとってカーボンニュートラル/ESGを重視した天然黒鉛活負極材の初/大規模な供給源となりえ、北米でのEV生産にとって大きな分水嶺に。
NMG会長は[我々は株主たるGMを歓迎し、堅実な北米商業計画/責任ある生産/先住民族との提携開発といったESG施策への投資をしてくれた]とコメント。
GMの購買&SC担当副社長は[NMGとの協力は業界及び、より持続可能なLiB供給網の計測開発に向けて大きなマイルストーンである]と述べている