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EVBox清算へ…欧州電力最大手の大英断

欧州最大の電力会社であるEngieは参加でEV充電設備/サービスを展開するEVBoxの事業清算を決めました。
背景には展開先の国での投資負担の増大や、インセンティブ/補助金が想定以下だったことでの事業状況の悪化に加え、製造能力に係るフランス/オランダ間の政治的な影響もあるとのこと。
総計50万カ所/70か国での展開事業の清算は相当な影響が発生しそうです。

1;EVBoxの事業清算

 10/15にフランス本拠で欧州最大の電力会社;EngieはEV充電インフラを展開するEVBoxの清算を発表。2017年のEngieによる買収後、利益計上に至らず直近に8億€の損失計上(これまでの累積)を発表。数か月前から買収候補を探していたが、2件入札があったものの撤退。ハードウェア製造拠点(仏国内)は売却に成功
 清算に際しては事業の完全停止と生産に向けた実務を粛々と進めていく模様。事業は2万社近い企業顧客がいるとされるが、オランダの現業に加えて、ドイツ/アメリカの支店も閉鎖。雇用は700名のうち30名だけが維持、別途100人の臨時雇用について労働組合とEngieが協議している
 既存の導入顧客への影響は不明であり、現段階で顧客に対するコンタクトはないとのこと。
 2010年の設立以来、世界中で50万近いの充電ポイントを供給。先週に仏国内でトラック充電回廊をパリ~リヨンで整備/ローンチしたばかりだったが、清算へ…。2023年の報道では[米国IL州リバティビル工場でモジュラーDC急速充電EVステーションを製造]しており、[Build America Buy America(米公共充電)に納入]しているとされていた
 ちなみに、今月初めにIL州知事の事務所は、同州の国立公園/公共エリアでの充電機能提供に向けて40台のEVBoxステーションを寄贈すると発表していた…

2;EVBoxとは

 EVBoxはオランダ(アムステルダム)拠点のEV充電設備/サービスプロバイダで、世界で13支店を置く。
 EV充電ステーション(コンポネント方式+アクセサリ)及び充電管理ソフトウェアを製造/販売し、直近では[55万カ所の充電ポート][2万顧客(企業)][70か国以上での展開]を行っていた
 EVの社会実装が進む中で様々な会社が株主に名を連ねたが、最終的にはEngieの傘下に入った。至る過程とその後は以下の通り
 -2014年;Gilde Equity Management BeneluxがEVBoxの主要株主となって国際展開を支援
 -2017年;Engieの子会社であるENGIE Digitalに買収され、2018年には急速充電機メーカーEVTronicを買収してグループ化

 Reuter報道によると、Engieは同社をSPAC上場させようとしたが2021年に失敗していた

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