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Bloombergの最新予測では、EVは停滞でなく長期成長への前屈状態にある

BloombergがEV販売の長期予測値をアップデートしました。
幾つかの前提条件はありつつも、バッテリーの汎用化や対ICEでの燃費の良さを背景に今後の伸びを想定しています。
現状のトレンドは幾つかのキーポイントがあり、[商用車での普及]と[バッテリー周辺ビジネスの興隆]があり、目新しい視点は無いですが共有まで。

1;BloombergのEV見通し

 6/12にBloombergNEFが発表したEV展望(EVO)によると、EV販売は短期的な見通しは微妙ながら、長期成長が引き続き見込めるとのことで下記追求。
 -[バッテリー価格の低下][次世代バッテリー技術][EV/ICEの相対的な経済性向上]といった要因が長期的なEV成長をサポートする
 -一方で当面のEV販売ペース鈍化は脱炭素/ネットゼロの実現に影響

 EVOでは乗用EVの販売台数は全世界で[2027年;3000万台][2040年;7300万台]と予測。今後4年はEV採用は現在の技術経済トレンドの延長で形成され、政策支援が無い場合にはEV販売台数は年間21%の増加にとどまる(20-23年の年平均伸び率は61%)
 新車乗用車販売台数に占めるEV比率は[2023年;17.8%]から[2027年;33%]に増加、世界平均を上回るのは中国(60%)/欧州(41%)の想定

2;EVを取り巻くトピックス

(1)ICE車の販売台数がピークに達した
 ICE車販売は17年にピークに達しており、EVOでは27年にはピーク時の70%程度になると想定。同社の経済分析によると、脱炭素化の流れ加速の中でEVが道路輸送の主たるものになるとのこと
 HV/PHEVは短期的に燃費規制強化の流れの中で重要な役割を果たし、同車種の採用は市場によって異なるが、30年までに[5%~45%]に達すると予測
(2)大型EVトラックの稼働/実用化
 大型車セグメントではBEV式トラックは最初に都市部のラストワンマイル/公共事業向けで使用される想定
 その後、経済性向上に伴う航続距離長期化で30年頃にはディーゼルに近似、一方で燃料電池トラックの見通しは不確実…
(3)LFPの普及と市場席巻
 LFP技術の改良が進み、現時点では中国で市場普及が進む。セル価格は現時点で[53ドル/kWh]に急落
 同社見通しでは今後2年以内にLFPが乗用EV市場のシェアの50%を超える。低コスト物質への意向によりニッケル/マンガンの消費量は夫々25%/38減少する想定
(4)充電インフラの整備/成長
 EV電力需要の増大に対応べく、充電業界が今後10年間で急速に成熟する必要。シナリオ次第だが、50年までに充電インフラ/設置/維持に1.6兆~2.5兆ドルの累積投資が必要
(5)バッテリーの過剰生産
 25年末までに計画されているLiBセルの製造能力は、25年に予想される想定需要(1.5TWh)の5倍以上に及ぶ。同社のシナリオではLiB需要は急速に増加して35年までに年間5.9TWhとなる想定
(6)ゼロエミッション車の更なる普及
 EV普及は拡大するが、世界全体の道路輸送は依然としてネットゼロ軌道に乗っておらず理想値に対する予測値は以下の通り
 -理想値[2050年までにネットゼロ…35年;6.79億台/40年;11億台]
 -予想値[35年;4.76億台/40年;7.22億台]
 ネットゼロシナリオでは、50年までに道路を走る車両の100%EV化を求めるが、基本ケースでは50年に69%しか達成されない

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