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Update!!/TeslaのNACSが事実上の北米標準に。

はじめに/サマリ

 米国の技術者組織であるSAE-IntlがNACS標準化に乗りだすとリリースを出しました。

 リリースによるとTeslaのNACSベースでの標準化(規格オプション増加)を通じて北米でのEVチャージの利便性向上を目指すとのこと。日系メーカーの多くは完全にルールメイキングに出遅れてますが、こちらの協会は個人でも加盟している人が多いので、こちらから入り込んで出遅れ挽回するのが最後の手段かと…まだ間に合うのか?!
 また、7月中旬にNACS連携検討TFの委員長へのインタビュー記事が出ておりまして。こちらでは[検討へのTeslaの多大な協力]と[規格公表が23/12末になりそう]といった点が大きなTopicかと(詳細は[3]に追記)

1;SAEのリリース

 6/26にSAE-IntlがTesla開発のNACSを標準化する旨を公表。リリースでは全てのサプライヤ/OEMが北米のEV製造/チャージャー等においてNACSコネクタを使用/製造/展開が可能になるように標準化を推進すると。
 SAE-NACS規格は、迅速なスケジュールで開発される予定で、規格の中ではサイバーセキュリティを担保するためのPKI(公開鍵インフラ)も含まれ、政府機関と連携して推進する

2;特徴と影響

 TeslaのNACSを基盤としつつもSAE独自の機能も入れ込む形での標準化を狙うもので、協会リリースによるとオプションを増やすことでNACSにおけるTesla依存度を下げ、Teslaとの連携に二の足を踏む企業の参画も期待。
 メーカー/サプライヤーに確実性/オプション/信頼性/利便性を提供し、消費者にとっては充電箇所の拡大につながるもので、連邦政府;運輸/エネルギー統合局はこの動きを推進、ホワイトハウスも本件が北米のEV産業発展につながるとリリースを出している。
 ホワイトハウスは声明で「本研究は、公共充電器50万台というバイデン政権の目標達成に向けた投資が順調に進んでいることを示している。 さらなる民間部門の投資を促進する」と。

3;SAEの検討TF委員長のコメント

 SAEのRodney McGee氏(TF委員長)がメディア取材に答えたところでは下記の検討状況が明らかに。

3-1;規格概要

 規格公表は本年末(12月末)を目指し、協議/検討を加速。他標準化団体であるISO/IECなどに先んじて出すことに意義があると認識している。NACSコネクタは既に車両搭載されEV充電機のほぼ半数が適合しているため、デファクトスタンダード化しており標準化の進みは進めやすい
 NACS規格は[J3400]と名付けられそうで、CCS充電器で使用される[J1772]プラグに準じたネーミングになるかと。(一般的にはNACS/Tesla-plug)。また、Teslaは過去2週間の検討プロセスで多大な協力をしており、NACS標準化の検討は想像以上にスムーズに進んでいる

3-2;充電機能について

 NACSに係る関心は[充電;DC<<<AC]という認識でNACSは重要な点でAC充電に関して[J1772]よりも優れている。特に[J1772(CCS)]=208-240Vを使用するのに対し、NACSは最大277Vの入力電圧を使用可能であり、これは高電圧利用による充電高速化、さらに480Vの三相電源として供給される商用電源でのセットアップが容易になることと同義。
 設置事業者は独自の変圧器を設置せず高速充電機を安価/簡単に設置できるようになるのは大きい。

4;SAE-Internationalとは

 1905年に発足した米国のモビリティ技術に係る標準化推進機構で、Society of Automobile Engineersの略称。会員は技術者/企業役員/教育関係者/学生などの技術者個人、米国自動車産業が活動の中心
 事業としては、自力推進移動体のあらゆる形態を対象としており、[ヒトに役立つモビリティの促進]を目的とする非営利の教育科学技術組織であり、有名な標準化事例としては自動車の馬力単位:SAE馬力や、自動車用オイルの分類標準がある


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