Teslaがサンディエゴで他社連携してVPP展開へ
TeslaがサンディエゴでSan Diego Gas & Electric社(SDG&E)の顧客に対してVPPサービスを展開し始めました。TeslaのVPPとは別物ですが、スキームやPFの提供によるOEM型のサービス提供を通じて顧客基盤を拡大することが可能かと。電力事業でも存在感が大きくなりつつあります。
1;TeslaとSDG&EのVPP連携
TeslaのVPPプログラムがSDG&Eの顧客に向けて8月下旬より展開。SDG&E家庭用補助バッテリーとスマートデバイスを活用したVPPプログラムの開始を発表。[デマンドレスポンスイベント(送電網への高負荷発生時)]の需要を減らし、送電網への電力供給を増やすもの。
SDG&Eは昨年12 月から独自のVPPプログラムを17回実証して知見を積んできた。参加者は、イベントが近づいているという通知を受け取り、特定デバイスの電源OFFする選択をし、需要調整を行うことで全体の需給最適を図る
実証段階でのデバイスオフ率は高く、系統送電網で電力需要が高まる時に参加者が喜んで自らの役割を果たすことを示唆しており、CA州北部の参加者は初年度に最大575USDを獲得した
2;VPP(仮想発電所)の概要
広域で膨大な数のIoTデバイスがつながり、全て纏めて管理して必要時に送電網の需給を管理/操作することが可能に。
22年の熱暑環境で送電網が史上最高レベルの需要に直面した際、CA州全体でVPPに近しい動きが観測された。CA州の電力会社は州民全体にエネルギー節約を求めるメッセージを送信、受信後わずか数分で電力使用量を数GW削減させて過負荷を回避
VPPでは自発的な参加/都度操作は必要なく、自動制御が可能。電力需要/電力料金が最高時に電力消費抑制/蓄電放電を行うことで[送電網に電力を追加することで停電を回避できるという貴重な利益と引き換えに、VPP 参加者はサービスの対価を支払うことが可能。
3;Tesla-VPP事業
Tesla-VPPのプログラムは拡大/成長しており、現段階では最大116MW/hの潜在送電力を持つ。昨年段階でCA州全土に50MW/hを供給する能力を保持。
サンディエゴのPowerwall所有者は、管理用Teslaアプリを通じてVPPへの参加が可能。具体的にはアプリで[Powerwallページ]を開いて、[VPP項目]をタップすればOK。設置サイズ/標準使用量に基づいて、プログラム参加による獲得可能額の見積もりを提供(推定値で変動可能性アリ)
CA州では高温気象現象に直面しており、SDG&Eの使用時間料金はかなり幅広い。Off/Onで24C/ kWh~80C/kWhの差があり、実効卸売料金が高額になる可能性があるデマンドレスポンスイベント中にはPowerwallの魅力が増している
テキサス/プエルトリコでのVPP展開や国外ではオーストラリア(南オーストラリア州)でも大規模なVPPを展開する。
4;その他
停電コストもだが限界時の発電価格は経済的/環境的にも高価…。22年の記録的な熱波環境下ではCA州で電力卸売スポット価格が最大2,000USD/MWまで上昇(23/09時点では最大49USD/MWh)
蓄電機能にアクセスできる主体は[安い時に購入→高い時に放電]という動きが発生するが、このアーブは一定広範で無いと機能しない