インドのユニコーン2社が評価額切り下げてIPOへ
インドのユニコーン筆頭であるOla-ElectricとFirstCryが8月上場に向けてタームシートがでて評価額が決まりました。
両社とも直近ラウンドからのダウンしてのIPOですが市場環境を踏まえて、一定の需要を獲得するには必要だったとみられます。
最近の株式市場の乱高下を受けて更なる調整の可能性もありますが、注視必要なところです。
1;インド有力ユニコーンの上場
インドの有力ユニコーンであるOla-Electric(Ola-E)とFirstCryは8月にIPOを控えるが市場環境悪化に伴い、最新の評価額より切り下げての上場になりそう。両社ともIPO市場停滞のマクロ環境に対応する形での切り上げで、新しい市場環境の幕開けに。
インド最大の電動二輪新興; Ola-Eはタームシートによると72-76INR/株で売却を行い7.3億ドルの調達を目指す。当該価格設定での企業価値は40億ドルとなり、23/10の最新ラウンドでの54億ドルよりも26%ダウン、当初は65-80億ドルを目指していたが大きく下回り、22/01のラウンドでの評価額(50億ドル)に逆戻り
また、マタニティ/ベビー用品のECpPFであるFirstCryはタームシートによると、評価額;29億ドルで5億ドルの調達を目指す。23/11の評価額と同一だが、IPOに関しては昨年目指していた40億ドルからは大きく切り下がり
2;両社の状況
Ola-EとFirstCryは黒字化に遠い状況で、市場環境を鑑みるとIPOに向けて評価額が切り下がるのは現実的な判断
-(Ola-E) 24/03は収益;6.26億ドルに対して損失;1.89億ドル
-(FirstCry) 24/03は収益;7.74億ドルに対して損失;0.38億ドル
適切な価格設定は調達の確実性からも重要で、スタートアップ支援を行う投資銀行;IndigoEdgeのMDは下記のように述べている
-[多くの企業の創業者や取締役会は、IPO中に下落リスクを回避し、価値を残すことの重要性を認識している]
-[適正価格は安定投資家/長期保有投資家/個人投資家の引き付けに役立つし、上場後の株価も向上しうる]
3;IPO前の動き
Ola-Eは8/1にIPO前に募集額の45%;3.19億ドルをHDFC/SBIの投資信託及びNorges/Nomuraを含む安定投資家から調達したとリリース
一部の既存投資家にとって、評価額低下は収益の減少につながる可能性が高い…。
-Ola-E;TigerGlobal/MatrixPartnersは初期投資家ゆえに巨額の利益
-後期投資家のAlpineOpportunityFund/TeknePrivateVenturesなどは損失計上の可能性
ちなみに両社に投資するSoftbankは利益を得る見込み、Ola-Eでは投資額の1.5倍、FirstCryで4.5億ドル以上の利益を見込む
4;インドIPO市場
Ola-EとFirstCryは2024年ではGoDigit(保険Tech)に続くIPO銘柄だが、当該社も5月上場前に25%引き下げて上場したが、その後は30%弱株価を上げている
BoAのIPO担当Diretorは下記のように述べてIPOは出口でなく旅の始まりであると示す
-[最近のIPO銘柄は殆どが公開価格を下回っており、ロックイン期限切れ後の売り圧力もあり株価が上がる材料が無い]
-[インド企業は24年後半にIPO/FPOを通じて110億ドルの調達が見込まれ、Hyundai/Ola/Swiggy/Afcons等が見込まれる]
-[IPOが出口でなくその後の投資家に向けての四半期報告/成長と収益性の提示といった公開市場への会社のPRを常に行わなければならない]
デリバリー大手のSwiggyも上場申請しており、直近22/01の107億ドルの評価額がIPOでどうなるかに注目が集まる
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