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長期圧縮空気エネルギー貯蔵PJが米国でローンチ、エア畜発電が現実に

米国で圧縮空気を用いた蓄電/発電事業が政府融資を活用して事業化します。揚水発電の空気版ともいえるA-CAESは全米の80%の土地で推進が可能とされており、地殻影響は懸念されますが次世代の電力システムとして注目されます。

https://www.utilitydive.com/news/hydrostor-doe-conditional-loan-guarantee-compressed-air-energy-storage/737033/

1;圧縮空気による電力貯蔵PJ

 1/9にGEM社(Hydrostor of Canadaの子会社であるHydrostor USA HDの子会社)は圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)プラント建設に向けて米DoEから最大17.6億ドルの条件付き融資保証を獲得。
 建設はCA州東部カーン郡で予定されており、最先端のプラントとなる
 
 当該プラント(A-CAES)が計画通り進めばGEMは[500MW/4,000MWh]の長期エネルギー貯蔵(LDES)をCA州南部にもたらし、同時に最大700人の建設雇用及び40人の運用雇用を創出。これら職種には石油/ガス産業と同様のスキルが求められる

2;CAESの仕組み

 A-CAESは曇天/無風など再エネ発電ができないときにエネルギー貯蔵することでグリッド力の強化を狙うもの。エネルギーコストを低下/ピーク需要時のグリッド信頼性向上/再エネ展開拡大を実現する
-CAESの仕組-
1;エネルギー貯蔵
システムは余剰エネルギー(太陽光/風力などの再エネ源)を取り、電力を使用して空気を圧縮して地下に貯蔵
2;エネルギーの放出
グリッドが電力を必要とする際、圧縮空気を放出してタービンを通過して発電。今回プラントでは貯蔵エネルギーを8時間以上フルパワーで送電可能
-CAESの特徴-
従来バッテリーと異なり、貯蔵洞窟サイズに基づいて拡張で可能で希土類/レアメタル依存度が低く、耐久性も高い(今回プラントは50年以上持続)

3;A-CAESの特徴

 従来プラントにつきものの[無駄な熱][不安定出力]という2つの大きな課題に対しても今回プラントでは下記のように対応
1;熱エネルギー捕捉
従来型では空気圧縮プロセス中に約50%のエネルギーが失われるが、今回は圧縮プロセスに独自の蓄熱システムを組み合わせて、圧縮サイクルからの熱を捕捉/蓄積/再利用
2;圧力制御
従来型では、地下の気圧が低下すると効率が低下するが、今回は地上の貯水池の水を使用して一定の圧力を維持。
 圧縮プロセス中に凝縮された水が捕捉/再利用されるため水が施設内で循環。この設計でA-CAES システムはより多様な地下条件に設置可能に。米国地質の80%が同様のシステムをサポートでき、幅広い導入が可能に

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