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「話すのがヘタ」って、むしろ魅力的。

 外出自粛をきっかけに、若手俳優やアイドル、ミュージシャンたちが、YouTubeやInstagramを使って生配信を行っているところをたくさん目にしました。
 推しの自宅が見れたり、部屋着が見れたり、テレビ電話で自分だけに話しかけてくれているような気分になれたりして、STAY HOMEも捨てたもんじゃないと感じた人は多いと思う。


 僕が注目したのは、出演中のドラマ『MIU404』が好調な岡田健史くん
 本来は新年度から放送開始だったのが延期したためのファンサービスか、4月に小一時間のインスタライブを実施。
 黒のパーカーのラフなスタイル、風呂上がりを妄想させる濡れ髪アップバングで、カレシ感満載な配信にキュン死した死人が全国で続出。
「何を話そうかな〜」なんて戸惑いながらしばらく黙り込んだり、視聴者置いてけぼりで鼻歌を奏で始めたり、正直グダグダな内容だったのだけど、【国宝級のイケメンは息をしているだけで人を幸福にする】のだととまざまざと証明して見せました。

 他にも印象に残ったのは、モーニング娘。元メンバーの鞘師里保ちゃん。
 
道重さゆみがリーダーだった時期をエースとして支え、2015年に17歳でグループを卒業して海外へ留学、2019年に帰国してからはBABYMETALのサポートダンサーを務めたりと、長らく表舞台から遠ざかっていたのだけど、5月に突如Instagramを開設。
 ほぼスッピンに萌え袖の部屋着で登場した初のインスタライブでは、ヲタだけでなくハロプロの先輩や後輩も視聴に駆けつける大騒動に。
 キャリアは長いけれどまだ22歳、思いがけない大反響にクッションで顔を隠しながら「どうしよう……喋れない……」と恥じらう鞘師に「くっそ可愛いなオイッ!!」と雄叫びを上げたのは僕だけじゃないはず。


 二人に共通しているのは、話すのが決して上手ではないということ。いや、むしろヘタクソと言っていい。
 そこがいい。だから、いい。
 

 僕は学生の頃から人前で話すのが得意な方で、弁論大会にも出たし、さらに話術を磨きたくてバーテンダーのアルバイトをしたこともある。
 しかも昭和から平成にかけて、とんねるずやダウンタウン、ナインティナインらのトークが冴え渡るごりごりのバラエティ番組を見て育っているから、正直なところ、今の若手タレントたちによるフリートークのゆるい生配信を見ていると「こんなにグダグダで大丈夫? 放送事故だって叩かれない??」と心配になってしまう。

 けれど、それはもう古い考えなんだろう。

 スマートフォンが普及した今、タレントと視聴者の距離は、テレビとは比べ物にならないくらい近くなった。
 豪華な番組セットの中でのきっちりと構成が練られた“作られた”トークよりも、スマホのインカメラを使った友達同士の会話を思わせる自然体でラフなトークの方が、本人たちを魅力的に見せることは大いにあり得る話だ。
 バーテンダーのアルバイトをしてまで話術を磨いた自分がバカみたい!


 とにかく、健史くんも鞘師も、この配信お金いらないんですか?いくらか払いましょうかってくらい魅力的でした。
 話すことに苦手意識のある若手タレントたちは、無理して上手になろうとしなくていい。心からの「いいぞもっとやれ」を贈りたい。

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