Noninvasive Diagnosis of Infection Using Plasma Next-Generation Sequencing 血培なんてもういらない?!
California州のベンチャー KARIUSを調べていたら論文を見つけたので、論文読もうキャンペーンをしている身として、まとめてみた。いつか日本でも培養を取りまくったり、挙げ句に生えなかったり謎に抗菌薬がヒットしなかったりもなくなるのかなあ、なんて妄想しながら。De-escalationの概念もそのうち無くなるんでしょうかね?
論文の前にKARIUS及び技術紹介を。
KARIUSは感染症に対するゲノム診断の会社。少量血液からNGSにより原因細菌やウイルスのDNAを解析し、コードとして捉えることにより1000種類以上の原因微生物から原因の診断をします。
*NGS technology(Next-generation sequencing (NGS) technology ;次世代シーケニング技術)病原菌のDNAを文字列として検出することにより、原因菌を特定する技術。
何が画期的かって、従来の培養では少なくとも血液では20ml×2セットが基本。多量の検体(血液、尿、気道内痰、皮膚、骨など)を穿刺、培養し菌が生えてくるのを待って(2~3日かかる)顕微鏡なんかで見分けるんですよね。もちろんウイルスだと無理だし。だからみんな必死に状況から原因を推論して当たってることを祈るんですよね。ちなみに症状改善した場合も、抗菌薬が効いたのか患者の免疫が勝ったかなんてわかるわけもなく。
その点、NGSは検体は血漿であり5ml程度、かかる時間も1日。アメリカでしかできないようですが、革命ですよね。
Noninvasive Diagnosis of Infection Using Plasma Next-Generation Sequencing: A Single-Center Experience
Jenna Rossoff, Sonali Chaudhury, Maulin Soneji, Sameer J Patel, Soyang Kwon, Amy Armstrong, William J Muller
Open Forum Infectious Diseases, Volume 6, Issue 8, August 2019, ofz327, https://doi.org/10.1093/ofid/ofz327
背景: NGS technology(Next-generation sequencing (NGS) technology ;次世代シーケニング技術)は近年進歩が目覚ましいので、従来の感染症診断技術(培養やPCR)と比較し診断能力を調査したい。
方法:シカゴの小児科病院で2016 Dec~ 2018 Aug の期間後ろ向き研究を行った。研究対象となったのは、従来の診断方法では診断がつかなかったものと複数微生物の感染が違われる100例の症例であった。
結果: 従来の方法より原因菌同定率が高い(87% vs 67%)と判断された。ただ、偽陽性もあったりして問題は残されているよう。
アメリカ内でしかまだできないようですし、金額的にも認可的にも日本で使えるのはまだ先かもしれませんが、とても興味深い技術ですね!
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