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【週刊ユース分析】指導者は、怒鳴るな。

夏休みが始まった。

中体連に高体連。期末テストが終わった瞬間、積を切ったかのようにスポーツの大会が一斉にスタートする。そして「最後の夏」を迎える学生も多い。

悔いのない様に仲間たちと大いに汗をかいて欲しい!と、大人たちはそれを願うばかり。

サッカーの2種の場合は、インターハイやクラブユース選手権。
強豪チームは冬の大会をメインにするため最後の夏にはならないが、夏の覇者の称号はどのチームも喉から手が出るほど欲しいはず。
それはピッチを走る選手も、ピッチに入れない指導者も同じ。

そう、指導者だって勝ちたいのだ。

みんな勝ちたい!!



■ダメな大人たち

さっそく本題に入るけど、
公園に三々五々集まってサッカーやるわけではないので誰かが場を仕切らなくちゃいけない。それを大人が実施して、それを享受するのが子供たち。
そんな構図が2種だったり3種だったりする。

少し回りくどく言ったけど、まずはこの構図(概念)が重要。

そしてその構図の上に、ある目的が上乗せされることでそれは楽しくなり、かつ話が少々ややこしくなる。
その目的とは当然、「勝つこと」

そして、
勝つために無くてはならないものが戦略であり、作戦であり、戦術
そして、
これらに則って目的達成するために大人たちが取る手段、それが「指導」である。


そしてしばしば間違いは、この「指導」に起こる。

要するに、勝ちたいがための熱い熱いご指導が誤った形を取り、怒鳴る指導者を生んでしまうのだ。

上に示した通り、サッカーチームの構図を丁寧に理解すればわかるだろう。
目的を達成するために”怒鳴る”という手段でしか指導できない人物は仕切る者としてあまりにも器が小さい
それを子供に対してやっているのならそれは紛れもなくダメな大人に他ならない。つまり、

怒鳴る指導者はダメな大人なのである。



■「甘い!!」

現場指導もしたことないくせに! そんな甘い考えで全国で勝てるチームなんて出来るものか!! 甘い甘い!あまー--------い!!!

そんな声が聞こえてきそうだ(汗)。

確かにそうかとも思う。難しいのは相手が子供たちである、という点かもしれない。
例えば大人だらけの組織の場合、熱い指導なんてしなくても作戦に添えない者は勝手に組織を離れればいいと割り切ることもできる。
つまり仕切る側と仕切られる側にはある程度の自由がある。(実はこっちの方が恐ろしいんだけどそれは置いといて)

しかし、まだまだ未熟な学生年代でその割り切りを発動してしまうのはあまりにもリスクが高い。
ここで言う未熟とは
 ①作戦を体現する経験や能力が足りないこと
 ②難しい局面を乗り越えた先にある成功体験をまだ知らないこと

そして、
 ③切り捨てるにはもったいないポテンシャルを含んでいること

つまり、
②③のような前向きな未熟さを持ち合わせているのが2種3種年代であり、指導にはそれゆえの楽しみがあるのではないかと思う。

スポーツを通じて”良い経験”をたくさんさせてあげたい!とは、恐らく多くの指導者の本音だろう。

そう、
本質的にはみんな愛を持っているのだ。

本質的にはLove。


では、
何がどう間違って”ダメな大人”が誕生してしまうのか。
そのポイントを自分なりに整理してみたい。



■芽を刈り取る否定タイプ

”ストレングスファインダー”というメソッドがある。
簡単に言うと、自分の弱いところを補うのではなく自分の強いところを伸ばそうぜ!という考え方で、
個人的にも大好きな概念。

同調民族である日本人は幼い頃からいつも誰かと比べる癖がついていて、世界的に高水準なモラルを持ち合わせる代わりに自己肯定感が低い。

この感覚を子供の頃に大人に押し付けられてしまうととても危険で、将来 自分に自信が無く、いつも誰かに認められたいと周囲を気にしてしまい、そして何より芽生えるはずだった才能を根こそぎ刈り取られて大人になってしまう。

だからこそ子供は褒めて伸ばすに限るのだが、それを真っ向から否定するのが「怒鳴る指導者」に他ならない。

なぜできない!お前はダメだ!お前は弱い!なぜ何度言っても出来ない!


いやいや、もっと良いところ褒めてあげてよ。
長所に目をかければ、褒められて気持ち良くなった子供は恐ろしいほど伸びるんだから。

素晴らしい!それはお前の才能だ!お前は強い!もっと伸ばしてチームを助けてくれ!

そのあとに、「あとはここをこうすればパーフェクトだ!」とさりげなく加える。

時間がかかるかもしれないし少々面倒かもしれない。
でも、強さを伸ばすという概念だけもって付き合っていけば、実は短所も治ると個人的には思っている。


子供なんて調子に乗ってなんぼだ(笑)。ソースは自分自身。みんなだってそうだっただろう?

最も怖いのは、否定を続けて子供たちの才能の芽を刈り取ってしまうこと。ダメ出しする時間があったら褒めた方が良い。
現実は難しいけど、でもきっとそうだと思うんです。

赤い花を「青くない」と言って摘んでしまうんですか?



■戦略の無いお天気やタイプ

社会人になってこれまでいろんなタイプの上司を見てきた。
当然上司だって人間なんだから完璧であるはずがない。だから個人的には上司を見る目は寛容だったと思う。
でも、
どうしても肯定できないダメタイプがひとつだけあった。それがお天気やである。


お天気や、つまり気分屋。これは最悪だ。
機嫌の良い時と悪い時の落差が激しいだけでなく、最も良くないのはその掴みどころがないところ。つまり感情任せなので地雷がどこに埋まっているかわからない。

こんなヤツと空間を共にするのは想像を絶するレベルで生きた心地がしない。

はっきり言ってこういう人は指導者にならない方が良い。子供たちが地雷にやられてバッタバッタと倒れていくに違いない。


指導をしていく上で怒りたくなる時もある。
100歩譲ってそうなったとしても、大事なのはそれが(前述した)戦略に則ったブレない指導であるか否か、ではないかと思う。

つまり、感情に任せて周囲を振り回すのではなく、決まったルールの中で、そこを逸脱する場合にのみ怒フラグを立てるのである。

これについて、実は指導を受ける側のストレスはさほど大きくない。なぜなら、なぜ怒られたのかが明確だからだ。
腹落ちすれば反省してまた頑張ればいいし、逆に上手く出来たなら堂々とアピールすればいい。

冒頭で長々と「戦略」について語ったのは実はここに繋がっている。
戦略、すなわちチームの軸というのは指導者を指導者にしてくれる。逆に軸の無い指導者は単なる爆発物でしかない。
質(タチ)の悪い地雷なのだ。

あなたは反応しませんか?



■怒鳴る指導者

個人的には1mmも許容することなく否定したい。
理由は簡単。見ていて気分が悪いから。

でもそれは理想に過ぎない!

と言われそうだし、実際そうだよな、ともちょっと思う。なので今回はどうすればよいのかというのを自分なりに考えてまとめてみた。
当然もっともっと大事な要素はたくさんあるし、考えなくてはいけない現場課題(例えば子供たちが社会的ルールを守れない、とか)もたくさんあるだろう。

でもだからと言ってそれが子供たちを脳天から怒鳴り散らして良い理由にはならない。
やり方はあるはずだ。



熊本のサッカー部の暴力指導を見てドン引きした。
今回挙げた2つのダメ指導者の他に
■弱きを洗脳して立場を守るクソタイプ
というのが実はある。

しかしこれについては考えるだけでも胸糞が悪いので取り上げるのはスルーした。
述べてきた2つのダメタイプも最終的にはここに繋がっていると自覚した方が良い。

2種3種年代は確かに、
壊れそうなものばかりを集めてしまう危うい年代だ。
しかし見ようによってはロマンの塊。つまり
その輝きは飾りではない

現場での指導というのはこちらが思っている以上に大変なものであるとは思う。しかし、何卒 未来(子供たち)が素晴らしい才能で満ち溢れていて欲しい。


全国の指導者の皆さんの労力と愛情を心から賞賛すると共に、益々のご活躍を願ってやみません。

日本サッカーの未来を、宜しくお願い致します🙏🙏🙏!!


本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!


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