【横浜ビーコル🏀】【雑感】ガードについて。
生粋のポイントガード完全復活。
この男がいるといないとでは、今年のビーコルは明らかに何かが違う。
バイウィーク前のBリーグ第8節。ホーム越谷戦。絶対に負けてはいけない他地区の下位チーム相手に連敗中のチームにおける一筋の光。
今回は森井健太選手について少し深掘ってみようと思います。
■澱みないこと
森井さんのハンドリングを見ていていつも思うのが、
フロントコートに入ってからの一本目のパスが早いなーってこと。
ここで言う早いとはパススピードではなく、供給タイミング。
数値で示せなくて申し訳ないけど、いや数値になんか現れないかもしれないけれど、なんか早い。体感的に。
多くのガードがフロントコートまで運んでから「さて」と一拍置く(恐らくプレイヤーはそんなつもりない)のに対して、森井さんのそれはなんというか澱みがないんですよね。
ハンドリングスキルが高いから成せるのか、あるいは異様に間接視野がクリアなのか、あるいは培ってきた経験則か。
はたまた顔を上げるタイミングは他の選手と変わらないのだが、その瞬間の状況把握能力が異常に高いのか。
とにかく、
森井健太の一本目のパスは、澱みなくて早い。
実のところ、
昨シーズンまで森井健太のシュートセレクトの少なさに物足りなさを感じていました。
相手のマークは(どうせスリー無いから)間合いを取ってドライブに備える。ボールは外周ばかり回って最終的にタフショで落ちる。もちろんリバウンドも取れない。
殺傷能力の低いガードがゲームを動かすことはほぼ無かったように思います。
しかし、
マイク、ダミアン、GCと外でボールが扱えて中でも戦える外国籍と、コレクティブを基本とするラッシ将バスケとの相性はすこぶるいい。
バスケとはリズムである。
リズムとは足を動かすことである。足の動きはシュートの確率を上げ、ゲームの流れを創る。
森井健太復活を目の当たりにして、ガードの一番重要な能力はこのリズム作りに他ならないと確信しました。
森井健太がボールを持つと、周囲の足が動く。
パスタイミングが早いので、つられて身体が動く。
それはまるで運動会のBGM。「天使と悪魔」か「クシコス・ポスト」が流れているかのよう。
「白組。キングくんが早いです。須藤くん頑張ってください。」
森井健太が、放送委員の如くチームを煽っているのです!
■切り込むこと
ラッシ将の求めるバスケにおいて、
おそらくガード陣のインサイドへの切り込みは不可欠でしょう。
こことスリーチョイスの迷いが、不慣れさと相まって3PG確率の低さをもたらしていると思うけど、ここは伸び代ということで今回はスルーして・・・
この切り込む行為(ドライブ)と森井健太の効果について触れてみようと思います。
実は森井不在時にキングや須藤、松崎杉浦に至るまで多くの選手がドライブを仕掛けるようになっています。
しかし、
スコアを目指してリムに向かうドライブと、森井選手のそれはちょっと違う。
何というか森井さんの場合は、明らかに相手チームの戸惑いを誘発しに行っているんですよね。
シュートか、パスか。そのパスもインサイドとの合わせなのか、外へのキックアウトなのか。
つまりのところ、よくわからない。
僕はかねてから理想的なオフェンスのひとつに、外→中→外とボールが出し入れされる状態があると思っていて、
相手ディフェンスが収縮すれば外から射抜き、逆に外角をケアして膨張すればインサイドでガンガン勝負するといった、常に相手の出方の先を行く攻撃が好きなんですけど、
森井健太のドライブは間違いなくこの構造を創り出していると思うんですよね。
7,8節の中に印象的なハイライト動画があったので挙げてみます。
いずれも外へのパスを意識して相手が寄せてこなかったところを自らレイアップに行った形ですが、
恐らくプレッシャーがあれば外に叩くし、別のビッグマンが現れれば空いたインサイドの選手にパスをする。(スリーの確率を除けば)恐らくどのパターンであってもスコアしたと思います。
強引に行ってエンドワン!!も魅力ですけど、
この、森井さんがドライブすることによって生じるディフェンスの透かし(すかし)が実に気持ちいい。そしてそれは相手からすれば中々にいやらしい。
もしもゲームのリズムが可視化できるなら、
森井健太がドライブを仕掛けるたびに相手チームからギギギッっと嫌な音が聞こえ、まんまとスコアするたびに何らかが崩れた音が聞こえるに違いありません。
とにかくこれはビーコルブースターの特権。独占的快楽。
乗じてスリーの確率も上がってくれれば申し分ないんだけど・・・期待しましょう。
■イングリスとの可能性
これはまだ憶測の域を出ないんですけど、
森井さんが復帰する前はイングリス選手がフロントよりボールを運ぶシーンが多かったように思うんですよね。(ビッグマンはプレッシャーをかけてこないため積極的にそうするように指示していたのかも)
詳細は分かりませんが、
そのままボールを保持してゴール下で勝負するシーンも多かった。結果的にジャンパーを決める(しかもそれが生命線だった)ので突っ込みは不要でしたが、リズム、個に依存という観点ではやはり理想的ではなかったわけで。
それが、
エンドラインから再開する際に積極的に森井さんが受けに行くためか、素直にガードに渡して自らの攻撃に集中するシーンが増えたように思います。
結果的にこんなパスまで出しちゃって。
負傷退場によりその真相は長い時間確認出来なかったわけですけども、ここはひとつバイウィーク明けの個人的注目ポイントと思っています。
実は機敏でスティールも多いダミさん(マイク2.2。イングリス1.4)。森井さんとのコンビでランニングが増えてスコアもリバウンドもさらに上がってくれるのではないかと期待しています!!
■ラベ兄と笹かまくん
最後に。
森井さん復帰によって実は一番期待しているのがPG勢。キーファーと笹山選手。
まずキーファー。
どうもここのところ2番寄りのプレーが増えてる気がするんですよね。そう見えてるだけなのか指示なのかは定かではありませんが、
個人的には、怪我の功名で成長した(今や)1番寄りの2番であるキングや須藤と、2番寄りの1番であるキーファーが流動的にポジション変更するのってすごく夢を感じるんですよね。
とにかく相手が混乱します。
そんなんが垣間見えたのがこれ。
トップのキングからマイク。マイクからラベ兄。
生粋のPGってバックドアの動きに慣れてないですからね。相手選手はまんまと裏取られてます。
気持ちいぃー。
そして笹かまくん。
一気に2カテ昇格してB1リーガーになった期待の若手。彼の何が恵まれてるって個人昇格はもとよりこのタイミングで森井健太と一緒になったことだと思うんですよ。
特にディフェンス。
滋賀戦で初登場してからその積極性でチームを鼓舞していますが、(個人的には)ディフェンスの緩さが少し気になるところ。
ここはきっと森井さんがグッと基準を上げてくれるはず。あのNBAプレイヤー河村勇輝もBリーグ時代に薫陶を受けたという森井のハードディフェンス。
これはですね。今シーズン終盤にどこまで上がってるか。
マジで注目。楽しみにしております!!
■最後に
色んなもんが垣間見えてのバイウィーク入り。
怪我の完治も含めてビーコル的には恵みの雨となりそうです。
プレシーズンで見られた”真の”コレクティブバスケが復活しそうな予感と、笹山ら若手がどんなふうに成長していくのかっていうポジティブな変化への期待。
そして、
試合が切れるたびに選手を呼び寄せて話し合うキャプテンの姿と、笑顔でレフリーと接するあの雰囲気。
20代ですがビーコルに足りなかったベテラン枠が満たされた気すらします。
クラッチタイムのスコアが頼りになるキーファーや、PGでありながら主役でもある昨年の河村くんや、ジャモラントニキ。
彼らとはまた違ったPG像。それはすなわちラッシバスケの最適解でもあるかもしれません。
とにかく怪我には気を付けてもらって、
残りのシーズンにて良いもんをいっぱい見せて欲しいと思っております!!
ポイントガードって実は凄いんだぜ🔥🔥
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!