【週刊ユース分析⚽】選手権予選から感じた静岡サッカーの粋。
2023年11月5日。日曜日。快晴(ていうか暑い)。
2023-24年冬の選手権における静岡代表を決める戦い。つまり静岡の選手権予選を現地観戦してまいりました!
私は県外に住んでいるということもあり、実はこの県予選というのを現地観戦するのは初めてでありまして、
今回は前日にヤマハスタジアムで行われたジュビロ戦を観た流れでこのエコパまで足を運ぶこととなりました。
天気にも恵まれて超快晴。
帰省した実家に電動自転車がありましたので、調子に乗ってチャリでエコパに乗り込みました(笑)。
観戦したのは準決勝の2試合。
中部と西部から2校づつ。公立と私立が2校つづと、実にバラエティに富んだ勝ち残り。このあたりからも静岡におけるサッカーの深さが伺い知れるんですけど、観戦して色々と感じるものがありましたね。
今回はそんな感想も交えて書き残しておこうと思います。
■伝統校という極上
第一試合は浜名vs藤枝東の公立校対決。
言わずと知れた静岡サッカーの顔とも言える藤枝東。
そして、サッカー不毛と言われた西部において、その昔から一人 気を吐いていた浜名。
もう何年も継ぎ足し続け、誰にもまねできないコクを持つ秘伝のたれのような対戦カード。
浜名は全国的には知名度はいまひとつかもですが、金沢元監督のヤンツー(柳下)さん、ドーハのGK松永成立さんの母校と言えば伝統校であることが伝わるはず。
立ち位置的に3部相当の県リーグに所属していますが、新人戦を制するなどここにきて完全に強豪の仲間入り。
対する藤枝東は公立校かつ県内有数の進学校でありながら、もうずっと強い。
選手権は久しいですが大分のGK西川選手など近年もしっかりとJリーガーを輩出しています。
僕自身はどちらも母校ではないのでフラットに応援していましたが、
座った位置的に浜名応援側だったため、後半の浜名怒涛の攻めで周囲は盛り上がっていましたね。
前評判的には藤枝でしたが、体力や推進力は圧倒的に浜名優勢。対する藤枝は個人能力の高さで凌いでいる印象。
このままPKになるかな、と思った延長後半。カウンターを仕掛けた藤枝の左クロスがオウンゴールを誘発して試合終了。
浜名にとってはかなりショッキングな敗戦でしたが、とても3部のチームとは思えない強さでした。
さて、
すっかり意気消沈してしまった私の周囲の浜名応援団ですが、なんというか文句や批判などを発するネガティブおじさんなんて居なかったですね。
たまたまかもしれませんけど、こういうところに個人的には静岡サッカーの粋を感じるんです。ひとしきり悔しがった後、
「面白い試合だったやぁ」と。
結果より内容を重んじて満足する。
そりゃ悔しいと思いますよ。また藤枝か!みたいな。でも知ってるんですよ。今日の浜名がとても良いサッカーをしていたことを。
だいたい2種のサッカーの、予選の、決勝戦でもないのに朝からエコパの山まで来るんですから、そりゃ好きですよ。サッカーが。
僕は試合の他にも良いものを見たなぁと。
なんていうか、真に地域に根差したサッカー文化みたいなものを目の当たりにして嬉しかったですね。
さて、
余韻に浸るまもなく1時間後には第2試合が始まるわけですけども、驚いたことに帰宅する人はほとんどおらず、しかもですね周囲にいた浜名応援だと思ってたおじさんたちの一部が急に静学のタオマフを首にかけ出したんですよ!
なんと伝統校同士の戦いに熱視線を送っていた彼らの中に第2試合の静学待ちおじさんがたくさんいたんです!
すっかり騙されました。そんな熱い眼差しで贔屓じゃない学校の試合見れますか(笑)!!
しかも全員、僕より相当前に着席して第一試合を待ってましたからね。ホントどこまでサッカー好きなんすか!
かくして私は、
浜名からの流れで開誠館を応援する西部勢と、突如として姿を現した隠れ静学ファンに周囲を囲まれた異様な雰囲気の中、第2試合を観戦することとなったのです。
■強豪私立校という迫力
さて、
第二試合を待つエコパは次第に異様な雰囲気に包まれてきます。
テレビで生中継される注目の試合。今現在の静岡における2大私立強豪が、満を持してぶつかり合います。
静学は今や全国ブランド。このあたりからスタジアムに若い女の子が増えだします。
対する開誠館も近年ファンが増えており、エコパの立地が県西部ということもあり迎え撃つ体制は十分。
バックスタンドに陣取る応援団も、
ブラバンとチアで華やかな学園スタイルと、スネアと大量の旗で無骨さを前面に押し出す開誠館スタイルが対照的。
両チームとも部員がたくさんいるので、ベンチ入りメンバーの”選ばれた選手”感が凄いですね。
試合の方は学園の攻撃力を迎え撃つ形で開誠館がややリトリート気味。指示だと思うのですがほぼ5Bでしたね。
しかしその作戦はピタリと嵌っていて静学らしさをことごとく消していきます。
開誠館のチャージは容赦なく、交わされても追いかけて潰しに行く徹底ぶりは感動もの。
まさしく根競べの様相を呈したところで、後半ついに均衡が破られます。
開誠館としてはプランを台無しにする痛恨のコーナー失点。ホントあの場面だけでした。ふっとマークが緩くなってしまいました。
こうなると開誠館は前に出ざるを得なくなり、オープンになれば学園の思うつぼ・・・と思ったのですが、開誠館もつないで押し上げる技術はさすが。
最初からこれでもよかったのでは?と思うほど試合は再び拮抗しました。
しかしながら終盤は学園の技術が中盤を支配して試合を〆に掛かります。いわゆる”鹿島る”場面でもテクニック魅せまくり。
静学応援側は拍手喝采。開誠館応援側はただただ苦笑い。
最後まで静岡学園は静岡学園でありました😅
さて、
第一試合終了後には多くのオヤジたちがその余韻に浸っていたわけですけど、第二試合終了後はどうだったかと言いますと…退散が早い早い!
みんな下山時の混雑を熟知してますから、どんなサッカー談義が繰り広げられるのかと期待していたら皆さんめちゃくちゃ帰るの早かったです(笑)。
その様はまさに
行きつけのバーにふらっとやって来て、濃いめのバーボンを2杯ほど煽って早々に店を後にするダンディズムそのもの(強引!)。
特別だけど日常。
サッカーのある休日は身近なんだぜ、というのを肌で感じることができるキレイな帰りしなでもありました😅
■注目選手!!
私的MIPといいますか、
個人的にとても気になった選手を各校から一人ずつ挙げてみたいと思います。
浜名 西岡修斗 FW3年
藤枝東が一番嫌だった選手ではないでしょうか。
推進力とテクニックがあって、とにかく80分間ずっと脅威でした。大学進学はどこになるのか、注目してみたいと思います。
浜松開誠館 戸塚陸 GK2年
失点シーンはノーチャンス。それ以外ほぼ完璧だった戸塚選手。
まだ2年生ということで来年は県内を代表する選手になりそうな予感。反応よく手足が長いので、遠目から打ってもゴールマウス割れる気配が無かったですね。
藤枝東 野田隼太郎 DF3年
U-17高校選抜は伊達じゃなかったです。
中盤での落ち着きとボール奪取に対する反応の速さ、体の入れ方、どれをとっても上手くて間違いなく中盤に君臨していましたね。
(DF登録ですがボランチでプレー)
決勝では学園の攻撃の芽を摘む役として、それから攻撃時は展開役として間違いなくキーマンになる選手。注目したいと思います!!
静岡学園 高田優 MF3年
上手かったですね。
緩急の独特のリズム。リズム自体は静学の選手ってみんなあるんですけど、高田選手の場合はそれに加えて縦へのスピードがある。
あと何気に体幹も強そうで、開誠館の選手が2,3人マークに来るんですけど体当てながら縦突破出来てしまうんですよね。
これには驚きました。
徳島内定していますが、先輩の玄選手の様に体が太くなればもっともっと強くなりそうな予感。
楽しみな選手です!!
■最後に
決勝戦は11/11。
注目にあげた学園の高田選手は右サイド、藤枝東の野田選手は中央なので直接的なマッチアップは無いかもですが、局面で必ず両選手がバチバチやる場面は来るでしょう。
現地観戦できませんが楽しみにしたいと思います!
それから、
かつて静岡を制する者は・・・と言われてましたけど、今では全国のレベルも高くすでに死語になっています。
しかしながら!
勝ち抜くにあたってライバル校が多すぎるってのはやっぱり静岡独特なんじゃないかな、とそんな風に感じましたね。
80分で勝ち続けるにはとてつもなく大変な予選なんですよ。
それからそれから、
やっぱり今も昔も変わらないサッカー好きたちがたくさんいる地域なんだなってもの改めて肌で感じることも出来ましたよ。ほんと。
私立も公立も、伝統校も新鋭校も、県の西部から東部まで、漫画のようにいいチームがひしめき合っている。
そりゃ全国で勝ってくれた方が嬉しいに決まってるけど、毎年変わらずこの予選はあるわけです。
もうこの時点で、極上の娯楽があるんですよ。静岡には。
今回初めて現地観戦してみて、
サッカーは今でも静岡県民に根付いているんだなと、再認識することが出来ました。
改めまして、
静岡の2種サッカーに幸あれ!!
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
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