【ジュビロ磐田⚽️】【雑感】ホーム最終戦をベンチの真裏から見てわかったこと。
2023年11月4日。土曜日。快晴(ていうか暑い)。
汗だくになりながら入場特権としていただいたフリースポンチョを小脇に抱えて席に向かう。
ホーム最終戦。負けられない水戸との戦い。
観戦場所へ向かう僕はワクワクが止まらない。
今回の席はSSブロックの一列目。ジュビロ磐田ベンチの真裏なのだ。
目の前には俺たちのボス、横内さんがいる。
■リセール勢
ホームサイドのSS、およびS席は基本的に取れない。
そこは年パスで埋まっているはずだし、特に試合後にセレモニーが行われる今節は相当に混むはずだ。
しかし、
あくまでも体感なのだけれど、リセールを待てばS席の屋根下は必ずゲットできる。
ゴール裏に敬意は持つものの、遠方から来ればやはり試合は見たい。そんでもって滝行もしんどい。
てことで僕はギリギリまでリセールを待って、いつもS席で試合を見させてもらっている。連番は無理だけどぼっち観戦ならまず間違いなくチケットは取れる。
今回もその作戦で行こう!と思ったら・・・やはり出た。
なになに!? SS席の一列目だと!?しかも3,000円だと!!!?
雨が降れば1列目は濡れるのだがこれには正直心が揺れた。場所は磐田のベンチ裏。しかも通常7~8,000はする席が3,000円とは格安だ。
恐らく心優しいお金持ちの方が急遽行けなくなってしまい、気持ち程度のリセール価格で誰かに渡そうとしているに違いない。
それを僕は今ちょうど目にした。これは間違いなく何かのご縁だ。雨はきっと大丈夫だろう(謎の自信)。
私は次女の運動会そっちのけでスマホを夢中でタップし、そして取った。本当に3,000円で取れてしまった。もしかして騙された?いやそんなはずはない。多分。多分大丈夫。
その後、何度も何度も偽サイトではないかとチェックし続けたことは今となっては良い想い出だ。
かくして私は大事な一戦を横内監督の真後ろで観戦することとなったのだ。
■爺さん(勝ち地蔵)
指定席年パスの皆さんは周囲の人と顔見知りになるだろう。つまりいつもと違うやつが来ればそれがリセール勢だとは一目でバレるに違いない。
私はSS席を3,000円で譲れてしまうどんなブルジョア世界に放り込まれるのだろうとやや緊張していたのだが、その席は爺さんと爺さんの間にあった。
なるほど。SS席の最前列とはこういう人が座るのか。
それは恐らくヤマハ発動機サッカー部時代からこのチームを応援してきた筋金入りのヤマハファン。磐田の歴史そのものに違いない。
チームが「地元の皆さんと共に!」と叫ぶその”地元の皆さん”の最前列にいる人たちかもしれない。
そして爺さんたちは試合観戦中にも品があった。
僕のよく見かけるバックパス激怒おじさんでもない。声を荒げて選手を誹謗することもない。冷静に戦況を見つめ、ゴールシーンで実に奇麗な万歳をしてみせた。
僕の右隣にいた爺さんはスマホなどワシには不要!と言わんばかりに手ぶらで戦況を見つめるタイプだった。
ハーフタイムの幹葉さんの歌でさえも同じような眼光で見つめたのち、大きく拍手(スマホを持っていると拍手は小さくなってしまうが爺さんは違う!)している姿が素晴らしかった。
そして拍手を終えたのち、「清水はどんなかんじかやぁ?」と突然僕に質問してきた。スマホなど持たない主義だが、そこはどうしても知りたいらしい。
これには僕もややびっくりしたもののすぐに調べて情報をシェアした。前半を終えて2-0清水リード。爺さんと画面を見て二人揃って「あぁ・・」と言い、やはり二人揃って軽く天を仰いだ。
僕の左隣りにいた爺さんは対照的にハーフタイム中ずっとスマホをいじっていた。そのまま吸い込まれるんじゃないかってぐらい画面を凝視して、信じられないぐらい大きな字でLINEをしている。
盗み見するつもりは毛頭なかったがあまりにも字がデカすぎるためそれはチラ見でも認識できてしまう。ちなみに爺さんは、
「今、ヤマハスタジアムで栃木戦を見ています」
と、一生懸命メッセージを送っていた。
(爺さん、栃木じゃなくて水戸だぜ・・・)
なるほど。
今節も次節も勝たなくてはいけないことに違いは無い。つまり爺さんからすれば北関東は基本的にほぼ一緒なのだ!やはり古くから遠州の空っ風に耐えてきた男はスケールが違う。
そんな細かいこと指摘する方が野暮かもしれないと、私は独り反省した。
その昔「鈴木も佐藤もほぼ一緒」と言われてひどく落ち込んだことを一瞬思い出したがそれをグッと飲み込んで、爺さん栃木にも勝とう。と一週間先の勝利までも誓い合ったのだった。
爺さんたちはゴール裏に居れば典型的な地蔵だろう。しかしSS席最前列の地蔵には品と、それからジュビロへの愛があってちょっと可愛かった。
これもまたスタジアムのひとつの風景かもしれない。
そして、
当然ながらベンチ裏という刺激的な場所で観戦したことによる面白い気付きも多々あった。
かなり前置きが長くなってしまったが、ここからは横内監督を軸とした普段見られないシーンを3つほど記してみたい。
■ベンチ裏① 意外と怒る横内さん
温厚なイメージのボスだが、試合中は結構怒っている。
DAZNだと冷静なインタビュー風景、それから得点シーンの満面の笑みしかうかがい知ることは出来ないが、横内さんは意外と怒っている。
最も激しく声を上げるのがボールを奪われた後の帰陣が遅かった時だ。
選手の審判への抗議は許さない。とにかくすべきプレーの徹底を求める。出来ていない選手は呼びつけて激しく叱咤する。
ここへの執着は凄まじいものがあった。
能活さんも怒っていた。
キーパー正面で難を逃れたが一度ドフリーでヘディングを喰らったシーンがあった。あの温厚な能活さんも大きく声を上げて叱咤していた。
当然だがベンチも戦っている。
選手の審判への抗議を許さない横内さんだが、納得のいかないジャッジに対しては必ず第四審判のもとへ行って抗議していた。
それ(汚れ役)はオレがやるから、選手はゲームに集中してくれと言わんばかりの行動。
ボスらしいボスだな、思った。
緩急が心地いい。そして、愛がある。
■ベンチ裏② 張り手の強い横内さん
送り出した選手に対して一切の責任を持つ。
監督としてそんな強い意志を感じるシーンが、横内さんの若手への張り手だ。
試合が途切れるたびに個別に呼び出し、丁寧に語り掛け、最後にバチンッ!!と背中を叩いて送り出していた。
そして後藤啓介、藤川虎太朗、藤原健介に対するそれは明らかに強かった。
特に藤原健介選手が水を飲んでいる最中に背中をバチンッとやったシーンでは水が激しく飛び散り、健介くんがマーライオンのようになっていた。
あの瞬間を写真に収めていれば間違いなく今シーズンのベストショットになっただろうに・・・実に惜しいことをした。
遠藤保仁や山本康裕、大森晃太郎といった選手たちと並べて、熟考して選んだ選手たちだ。監督の強い意志が存分に詰まっている。
起用された若手は間違いなく勝つために選ばれている。決してチャレンジの意味合いは無い。
あの張り手を受けて、ボスを男にしたいと思う気持ちは一層高まるに違いない。
■ベンチ裏③ ベンチを見ている選手たち
そしてこれは、
ベンチ裏に陣取れたことによる一番の発見かもしれないが、試合中の選手たちは何度も何度もベンチに視線を送る。
ホームの大声援があるため声の疎通は難しいが、それでもかなりの頻度でベンチとコミュニケーションを取っていた。
山田大記が何度も立ち位置やバランスを確認し、ドゥドゥは大きな局面を終えるごとにグッドかバッドかの確認をしているようにも見えた。
セットプレーや交代直後などはまだわかるが、
それ以外においてもかなり選手たちはベンチとコミュニケーションを取って微修正を繰り返している。
サッカーは90分間生きているんだというのを強く実感した。
勝つために必要な準備は、細部に宿る。
結果だけを見れば5-0圧勝だが、選手やベンチの一戦必勝に懸ける思いが十分に伝わる現場だった。
楽な試合なんて一つもない。
まさにそんなベンチワークの神髄を見た。
■最後に
今回はラッキーなことにSS席の一番前という好立地にて勝ち試合を見ることが出来た。
そしてそれはよくよく見れば、なるほど7,000円ぐらいするなと思わせる価値、すなわち発見と気づきがあった。
現地観戦もいろいろな見方があってやはり奥が深い。
現地ってのはどの席で見てもそれぞれ違った良さがあるし、違った興奮が味わえることは間違いない。
今回のレポートが、
スタジアムに行ってみようかな。でもぼっち観戦はどうだろうか。などと思っている人の後押しになったのであればこんなに嬉しいことはありません。
やはりホームゲームでの勝利は最高だ。
いつかしっかりと連番で席を確保して、家族を連れてまたベンチ裏から試合を観たい。
今回3,000円で売ってくれた爺さん(多分)。ありがとう。
スマホを持たない右隣の爺さん。次は揃って万歳しましょう。
スマホをいじってた左隣の爺さん。栃木戦も勝ちましょう。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
以下おまけです。