【ジュビロ磐田⚽️】【雑感】ビルド再構築自論。
ボールを大事にするとは何だろうか。
つい1週間ほど前にこんなnoteを書いた。
これはいわゆる戦術noteでもなんでもなくって、
メインメッセージは、ビルドがつたないと前に出ていく意識を蝕んでしまうよね。
そんで前に出ていく意識が減ればそりゃビルドはつたなくなっちゃうよね。
という、
ニワトリが先か卵が先か理論を産んでしまっている現状を可視化して、それって罪なことだよなぁと嘆いたものに他なりません。
具体的には、
とまぁこのループです。
しかも暑ければ暑いほどこのループは確固たるものになります。
これは言い換えれば、ジュビロ磐田が夏場に弱い原因でもあります。
でも選手だって一生懸命やってるんですよね。個人的にも気軽に「推進力!」とは言いますけど、戻るときの体力も考えながら前に行くってのは相当勇気がいる行為だと思います。
しかし、
2022年からあまり変わっていないように見えるこの現象。じゃぁどうしたら上手くいくようになるんでしたっけ??ってのを、各方面の成功事例なんかを見てみながら整理してみたいのが今回のnote。
結論をやんわり言うと、
今の磐田は緩やかながらも良い方向に向かってる。でもそれをホンモノにするためには簡単ではない課題がある。そんな感じでしょうか。
良い方向とは何なのか。課題とは何なのか。
紐解いていきたいと思います。
■良い方向① ヤットさんの功績
まず今の磐田ですけど、僕はヤットさんの功績ってやっぱり大きいよなーと思っています。
パス交換を通じて相手を動かす。そうしてできた隙にボールを刺したりして打開していく。
冷静に考えるとサッカーって自陣側では相手人数の方が絶対に少ないわけだし、しかもどんなにディフェンスのスライドが速くてもボールの転がるスピードには勝てないわけで。
普通に考えたら隙は出来るんですよね。
名波さん時代の末期はこの概念が無くて最終ラインをワイパーみたいにボールが行き来しているのをただ眺めてるだけでした。
しかし、
その時ピッチにいたはずの山田大記や山本康裕が見違えるようにボールを引き出して刺してるのを見て、やっぱりこういうのって人のスキルじゃなくてチームとしての意識なんだよなーってのを強く感じさせられた訳です。
その内容は2年半前にこちらのnoteにて力説させていただきました。
ただ誤算だったのはJ1の寄せるスピードが想定よりもワンランクもツーランクも上だったこと。トランジションの速さも含めて昇格した磐田がそれに全くついていけなかったこと。
いつからか「取り処」と認識されたヤットさんがカードを受けるシーンが多くなってしまったのがその象徴。
ただですね。こちらの記事にもあるように彼がビルドに対して植え付けたものってのは確実に残っているわけで。
なかなかグッとくる記事でした。
■良い方向② フベロさん、アキラさんの功績
選手の質の高さで独自の文化と実績を築いていった黄金期のジュビロ磐田。
これはこれで素晴らしいこと。
しかし、
アセットの可視化であったり、暗黙知の継承というのはあらゆる組織の最重要課題であるにも関わらず、数多くの栄光と共にそれを疎かにしてきたのもまた、ジュビロ磐田の歴史でした。
戦術の多くを選手たちに託すというやり方は一見とても大人びて見えますが、そもそも経験値が少ない若手が出場機会を得られなかったり、選手が入れ替わると恐ろしいほどの脆さを見せるというのを多くの人が長年指摘してきたわけです。
そして、
長らく続いたこれにメスを入れたのがフベロさんとアキラさんだと思っています。
彼らのしたことは余りにもファジーだった当時の磐田に「型」の意識を植え付けたこと。
これって磐田の長い歴史を鑑みると大改革と言ってよくて、昇降格の波に大いに翻弄されつつも確実に意識の変化をもたらしてくれたと思っています。
前のNumberの記事にあるように”あの”伊藤洋輝が実にロジカルにビルドアップを語っていることを想うと、あのときフベロさん、ヤットさん、アキラさんに接した若手は相当意識が変わったんだなと、確信めいたものを感じさせます。
またこんな例もあります。
北九州に武者修行に行っている藤原健介のデビュー戦を見ましたが、(試合状況はあるものの)味方に預けたボールが全然リターンされず、どんどん前に蹴られているのを観て、
「あぁ彼はこれからチームに求めるところからやっていくんだろうな。こりゃ間違いなく成長するよな。」
と、ほくそ笑んだりしたわけです。
今度は彼が、ヤット思考の伝道師になるのでしょう。
磐田での出場機会はあまり多くなかったですけど、確実に何かが変わったなと感じるには十分な移籍デビュー戦でした。
■じゃぁ何で!?
今現在のジュビロ磐田はその昔と違って、ボールを保持して打開することに対するロジカルな思考を得ました。
伊藤洋輝や藤原健介が他所でその片鱗を見せつつあります。若手だけでなく、山本康裕なども松本でその思考を活かしていると思います。
じゃぁ何で。
どうして磐田はビルドが出来ないのか。
これについてはですね。僕個人的には、
打開するには個人ではなくチームとしてこの意識を変える必要があるってのが非常に大きいんじゃないかと推察します。
冒頭に述べたこのループをチーム全員の共通意識として断ち切ること外国籍出来るか。
つまり、
ピッチにいる全員がビルドを成功裏に導くスキルと運動量を併せ持つこと。
それを各選手が実感してお互いがお互いを信頼すること。
そうしてチームとして成功体験を積むこと。
今の磐田って要は半信半疑なんですよ。自分たち自身に。成功体験より痛い失点を喰らった苦々しい想い出の方が多いってのも影響しています。
だから前に行けない。だから繋げない。
それは個の単位で変わってもダメ。チームのカルチャーとして変えなくちゃループは断ち切れない。
つまりチームとして根本的に変えるにはやはりドラスティックな血の入れ替えってのは避けて通れないんじゃないかというのを最近ヒシヒシと感じるようになりました。
やや不都合な真実でもあるんですけど、僕がそう感じる一つの成功事例があります。
それがヴィッセル神戸です。
■代表クラスを集めるという正攻法
金満と批判もされがちだし、僕自身もそこにあまりロマンを感じないわけですけど、
ヴィッセル神戸からはゲームチェンジャーになる要素がふんだんに見て取れるとも思っています。
彼らが連れてきた大迫勇也、酒井高徳、武藤嘉紀、山口蛍、フェルマーレン、イニエスタってのは、個人ではなくチームとしてこの意識を変えるには十分な質と「量」でした。
この「量」ってのはチームを骨抜きにしてしまう一見危険な行為に見えましたけど、実はそうではなくって本来持っている選手の実力を引き出す相乗効果をもたらしたんですよね。
その証拠に、
彼らに引き連れられるようにして汰木康也、初瀬亮、前川黛也らの国産有望株が一気にトップクラスになった。
さらにさらに佐々木大樹、小林友希らユース出身選手も大きく育ち、外からの血を積極的に金で買いつつもユース強豪としての地位もきっちりと確立してるんですよね。
ここから得られる情報は一つ。
多くの選手はですね、個人としては十分なんですよ。
問題は、チームとして機能してるのかってこと。言い換えれば、機能できるチームに身を置いてるのかってことかなと。
一番わかりやすいのは2024シーズンに磐田にやって来た中村駿選手かなと思っています。
中盤でボールを保持する役目の彼は、ここまで満足のいくプレーを見せていません。しかし、福岡で出来ていたことが今出来ていないってのは彼自身の実力が衰えたというよりは、チームとしてそれを活かす状態に無いんじゃないかと。
そんな風に思ったりして。
逆に、
磐田から出て行った選手が見違えるような活躍をするのも同じ要因。
じゃぁどうするか。
神戸のように大枚をはたいて短時間でドラスティックな変更は出来ないものの、少なからず世界基準を知る俊哉さんと横内さんは時間を掛けて同じような行動をとるんじゃないかと思っています。
そしてある時、
何かの歯車が合致するかのようにしてチームが変わる。それが2026年なのかもしれません。
■おとなしい磐田
では、
どうして現有の磐田の選手だとそれが出来ないの?という疑問。
実はこれと、磐田の選手っておとなしくね?問題は同じ要因に紐づいているのかなと思っています。
多くの人が指摘するように、
今の磐田にはチームの大変革を主導するような選手がいません。例えばかつてのドゥンガのような。
僕はそれをずっと、彼の様な性格の持ち主がいないと思っていました。静岡って割と温厚な地域だしね。
しかし、
実態はもっと単純で、ズバリ今の磐田には代表選手がいないんですよ。だからおとなしいんです。シンプルに。
チームのカルチャーを変えるほどの、ショッキングな経験をしている選手がいない。だから熱く叱咤できない。怒れない。厳しくいけない。いったところで説得力も無い。
もっと言うとそれは複数いなくちゃダメなんだけど、残念ながら今は一人もいない。
だから静かなんです。言わないんじゃなくて、言えないのではないかと。ドゥンガのように熱く。
伊藤洋輝も川辺駿も小川航基もA代表になったのは磐田を離れてからでした。三笘や旗手や田中碧、毎熊晟矢や川村拓夢、伊藤敦樹(仮)のようにクラブからAを経て海外に行く選手が久しくいません。
実はこれはとても大きな負のカルチャーを作ってしまっている。
今思えばこれについて誰よりも危惧していたのが名波さんだったんですよね。だから代表OBを積極的に連れてきた。長らく代表の中心だった彼ならではの感覚だったんだと思います。
でもあの時は結果としてそれが若手に蓋をしている様になってしまい、あまり実を結ばなかった・・・。
しかしながら今季改めて川島永嗣の存在の大きさを知ることで、この考えがあながち間違っていないということは証明できていると思います。
■まとめ
色々ありながら、
今の磐田にはボールを繋ぐ素地があることは分かった。
そしてここからドラスティックな変革をするために、代表基準の血が必要なこともわかった。
てことで個人的にはしばらく選手の入れ替えは続くと思っていて、今後も大胆な新加入がたくさんなされるのではないかと思っています。
まずは外国籍を。それから比較的安価で即戦力の大卒ルーキーを中心に。
では、
誰が残って誰が去るのか。こればっかりは強化部の判断や、その時の他チームからのオファー状況や選手個人の判断にもよるので何とも言えません。
ただ少なくとも緩やかな神戸化、すなわちそれは選手の入れ替えによるUpdateをクラブが主導していくのかなと、そんな風に考えます。
しかしながら改めて、
これは今いる選手を全否定するものではありません。神戸がそうであったように、チームが変われば現有選手の輝きも変わるからです。
こうして徐々に基準を上げ、ある時から当たり前のようにボールを運べるようになれば、
そこからたくさんの代表選手が生まれ、おとなしくない磐田が再び誕生するのではないでしょうか。
タイムリーにエルゴラさんのこんな見出しが。
意思統一。
これなんですよホント。個人として出来てもあまり意味をなさない。チームとして出来るか。これなんですよ。
信じるか信じないかはあなた次第。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。
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