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【週刊ユース分析】【緊急検証】ジュビロ磐田は本当に育成が下手なのか。
2022年のオフ。大南琢磨選手が柏から川崎へ移籍する際に、多くのジュビロサポーターが我が事のように喜んでいたのが印象的でした。
かつて降格チームにいた選手が世界(アジア)との戦いを控える上位チームに引き抜かれたわけですから、ステップアップと言っても良いでしょう。
しかし、
この手の話と必ずセットになって出てくるのが「やっぱり磐田は育成下手」という常套句。
・・・ちょっと待ってくれ。
大南選手の場合は磐田としても我慢して試合で使ってきて、さぁこれからだというところで引き抜かれたのであって、必ずしも育て方を間違えたとは言い難い。
つまりこの件で育成下手と紐づけるのはさすがに乱暴だぜ!!
ではなぜこんな事が起こるのか。
理由は明確で、
2003年以降の世代交代失敗は明らかに育成失敗と同義だし、磐田でずっと出場機会に恵まれなかった小川航基選手のブレイクは”育成下手”を証明するには十分な説得力があるのもまた事実。
故に、
私たちは骨の髄まで染みついたジュビロ磐田=育成下手という予定調和から抜け出せずにおり、前述したような若手の話題が出るとすぐに育成下手と紐づけてしまう体質になってしまっているのです(泣)。
しかし、ここで私は思います。
最近のジュビロ磐田って本当に育成が下手なのだろうか。
この悪しき予定調和を打破するために、私はとあるファクトを整理してみました。
そして、見えてきたことから結論を述べておくと、いやいや最近の磐田は良くやってるんじゃないかな。というところに落ち着いたのです。
詳しく見ていきましょう。
■ユース出身者J1出場ランキング
2022年度J1リーグにおいて、Jrユースおよびユース出身者が自クラブでどのくらい試合に出ているのかというのを調査し、その累計時間でランキング付けしてみました。
なんとジュビロ磐田は、約9,500分で堂々リーグ3位。(表は下にあります)
うすうす多い方ではないかと思っていたのですが・・・まさかこんなに多かったとは!!
これはですね。超誇っていいと思うんですよ。
しかもレンタル修行中の鈴木海音選手や、ケガで出場時間が少なかった山田選手などを考慮すればもっと多かった可能性を秘めています。
また今回はユース出身者に絞ったので入っていませんがHG(ホームグロウン)とその候補選手まで広げると、大井選手、吉長選手、古川選手らもしっかりと試合に出ている訳で。
つまり何が言いたいのかというと、
3位という順位は決して出来過ぎではなく、更に増えるポテンシャルを含んだ上での結果だということ。
もうね。日本を代表するエクセレント育成チームですよ。ここまで来たら。
それだけこの結果は素晴らしいのです。
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非情に興味深い結果だったので他クラブも考察してみたいと思います。
まず広島と柏。
昔から育成に対して有能なクラブと言われてきましたが、数字で見てもその通りでしたね。
特に広島は2,000分越えの選手が4人もいて、しかも各ポジションの中核を担っている。これは凄いことです。
ブレイクした川村選手はもっともっと増えるだろうし、川辺選手が海外移籍してこの状態ですからね。本当にすごい。
それから柏において特筆すべきは人数と年齢の幅の広さ。レジェンド大谷選手からルーキーの升掛選手まで含めて11人が試合に出ています。
トップに上がってきたら試合で使う。これって意外と出来ているチームは少ないのですが、柏は伝統的に上手なチームだと思います。
それから声を大にして言いたいのが神戸。
三木谷マネーで金満なイメージがありますが、事実として生え抜き勢もしっかりと試合に出ているんですよね。実はかなりバランスがいい。
今シーズン プレミアWESTで2位となったU18からも3選手が昇格を決めていますし、小林友希選手が海外に巣立ったあとのケア(次世代の育成)も実は万全だったりするのです。
下位の方に目を向けて、イメージ通りだったのが横浜FMと名古屋。
この2チームは伝統的に地域の有望な選手を搔き集めてU18がとても強いのですが・・・実はトップで活躍する選手が少ない。
マリノスは喜田選手という象徴がいる(今シーズンは怪我で出場時間が少ない)し、水沼選手がブレイクしたのでそんなイメージ無いかもしれませんが、ユース時代に凄かった選手たちを思うともっともっと生え抜き勢がいてもいいはずなんですよね。
そしてそんなマリノスより更に少ないのが名古屋。
今シーズンは藤井選手のブレイクで何とか面目を保っていますが、ユースの強さと比較するとあまりにも少ない。
世代別代表常連だった成瀬選手を岡山にレンタル放出したのは驚きでした。
ただですね、
生え抜きが活かしきれてなくてもチームが強ければそれはそれで良いのでは?という意見があるのだとすれば…その通り。
そう考えると実に厳しい状態なのが清水。
有望なユース選手を活かせず、それでいてチームが降格。ついには最強だったそのユースまで降格してしまうという…。
唯一の例外で2,000分超えの立田選手も移籍するということで、事態は思いのほか深刻。
【清水ユース⚽️】
— 鈴木意斗 / ジュビロ磐田とユースnote (@suzu_kii_to) December 4, 2022
毎年のように素晴らしい生え抜きがトップ昇格するけど殆ど試合に出られない。唯一例外だった立田選手は柏に移籍。
トップもユースも2部に留まるようなら県内有望少年の1stチョイスは変わってくる🤔
それぐらいこの降格は痛い。静岡ユース年代の常識を根底から変えるかもしれない。
最後にU18の日本一を争った川崎と鳥栖。
意外にも16位、17位と下の順位となったわけですけども、こちらはチーム事情が大きく影響しての結果と言えそうです。
川崎は、有望な生え抜きを活かしすぎたことにより海外クラブに奪われ、
鳥栖は、経営難を救うために他クラブに奪われています。
川崎に三笘選手、田中碧選手。鳥栖に松岡選手(清水)、樋口選手(鹿島)がいれば結果も大きく変わってきたでしょう。
こちらはあまり深刻に考えなくても良さそうです。
■磐田の課題
ユースで育てた選手をしっかりと試合で使っている、という点で堂々リーグ3位となった磐田。
これにて、磐田=育成下手という予定調和とはおさらばしたいと思うのですが、
諸手を挙げて喜べる状態かと言われると…決してそんな事はないというのが本音です。
理由は2つあります。
まず第一に、チームが勝てていないという事。
育成とはチーム強化のために行っているものなので勝てなければ目的達成したとは言えません。
前に述べた通り、
内製して弱いなら連れてきて強い方が良くない?
と問われたら「YES!!!!!!!」以外の答えは無いわけで(泣)。
ただですね、広島のように内製して強いのが一番良いと考えれば、その下地が出来ただけでも希望は持てるというものです。
ここは時間も掛かりますから、今後に期待してじっくり見届けたいですね!!
そして二つ目。
それは、育成選手の中に圧倒的なFWがいないという事。出場時間上位を見ても守備的な選手が多い。
中野誠也選手にはかなり期待していたのですが磐田で地位を築く前に残念ながら移籍。そして若い三木選手は、現時点で出場機会を得られておらず厳しい状態が続いています。
ゴンさん、高原さん、前田さんと、磐田はやはり日本人ストライカーを産んできたチームですから。
ユースからそんな選手が再び登場した時に、いよいよ胸を張って育成の磐田!と言えるのではないでしょうか。
ここはひとつ拘りたいですね。
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■最後に
生え抜き選手の出場時間比較はずっと気になっていたので頑張ってまとめてみたわけですけども(笑)、なかなか興味深い結果でした。
概ね思った通りだったのですが、ジュビロ磐田がこんなに上位だった事は正直驚きでした。
そして、
この驚きをもって個人的には「育成下手」というネガティブキャンペーンは終わりにしたいと思います。
良くやっている方だと思いますよ。クラブとして。
その代わり、
これからは他クラブより使ってもらってると証明された選手達に注目ですね。期待通りチームを勝たせる働きが出来ているのか否か。
厳しい視点ですが、磐田はその段階までいよいよ来たのだと思います!
育成の強度と一貫性を持って、チームの強度が上がっていくか。
どんどん下から突き上げて欲しいですね!
しかし改めて数字で見てみると面白い。
皆さんは新たな発見はありましたでしょうか。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!