【🏀日本バスケを愛そう】Ｂリーグが一発屋にならない理由。

2024年7月7日 17:18

もうはっきり言っちゃう。

Ｂリーグは”超”盛り上がっている。2023-24シーズン。5,000人前後をキャパとする会場のチケットはほぼ取れなかった。

非会員はもちろんのこと、下位グレード会員ですら取れない。なぜなら購入可能日には全席が完売しているから。
運営側が無理して作った立見席ですら売れる。リセールを出せば即、取引が成立する。まさに魔境。

自国開催だったワールドカップ後の、初めてのシーズンが終わったわけですが、

2023年秋の盛り上がりが（他の競技にあるような）一時的なブームなのか実力なのかは年が明けたころに明らかになると思っていました。

しかし、
結論から言うとその勢いは全く衰えることなく１シーズン駆け抜けたわけです。つまり、実力なのだと。

そして個人的な感触として、
まだまだ経済規模の小さいＢリーグではありますが近い将来Ｊリーグの脅威になる可能性すら秘めているな、と。

Ｂリーグは後発の有利さと競技特性をふんだんに活かして、マジのガチで日本のプロスポーツに新しい風を起こそうとしている。すなわち、

Ｂリーグは一発屋ではない。

なぜそう言えるのか。
その理由はシーズンを通して運営側と、それからブースターと呼ばれるファンの行動からいくつか垣間見えたように思う。

いくつか記してみたい。

■客は何を求めているのか

プロスポーツは部活じゃない。エンタメだ。
エンタメ興行とは全人類に等しく分け与えられている時間を奪い合うもの。

であれば、
その時間は楽しい方が良いに決まっている。プロ同士の真剣勝負を見て楽しんでね！ってのはどのスポーツにも共通した興行の主要要素かもしれないけど、実はこれに何が付加されるかってのが一発屋か否かを分けていると思う。

その点で言えば、バスケは圧倒的にその付加価値が多い。

ていうか、
究極的にはバスケというスポーツを全く知らなくても、競技を通じて楽しいと思える時間が多い。競技を知らなくてもストレスが少ない、とも言える。

故に、いわゆるミーハーと呼ばれる人たちのリピート率が高い。気付けばミーハーから、真のファンになっているという訳だ。

その理由はどこにあるのか。３点ほど。

・徹底した没入感

まずはこれ。
「箱」と称されるアリーナの没入感は凄い。音と光を使った演出はもしかしたらその辺のテーマパークより圧倒的かもしれない。
室内であるため昼でも夜でも天候関係なく、行けば必ず異次元に連れて行ってくれる安心感も良い。

また、キャパ5,000人前後のおかげで、いつだってホームチームでぎっしり埋まる。そして小さめのコートをぐるりと囲むような形態が客同士の連帯感も強める。

サッカーの場合は、（いつからか）熱狂する席とじっくり見る席の差が大きく開きすぎたように思う。そのちょうどいい間の空間がＢリーグにはある。

【真実🏀】
バスケ。5,000入れば御の字のなか代表戦とはいえ平日13,000人。
追い上げた4Q最後で第ゼロ感が流れた時、アリーナの全員が自発的にスタンドしたのはヤバかった。

サッカーとは違う道でポジティブな文化が出来ている。
サポはどうとか、こうあるべきとか。いざこざは危機感でしかない。
— 鈴木意斗 / ジュビロ磐田とユースnote (@suzu_kii_to) July 5, 2024

・接戦過ぎる試合

1年間。他のチームも含めてじっくりとリーグを観戦してみて思ったことがこれ。Ｂリーグはとにかく接戦が多い。
４Ｑ残り３分を切っても応援するチームが勝てるのか負けるのか。逃げ切れるのか逆転できるのかが全く分からない。

バスケを知らない人でも、勝つか負けるかはわかる。細かいことを抜きにして、この最後まで手に汗握る雰囲気を割と頻繁に味わえるのはデカい。

僕が昨シーズン現地観戦したビーコルのホームゲームは敗戦だったけど、試合終了後出口まで向かう帰路のなか、「楽しかった」「また来たい」と言っている人が多いことに驚いた。

スポーツのスポーツらしい見方を度外視したような会場の雰囲気だし、それが入り口である人が多いことも間違いないのだけれど、試合終了後にはしっかりとゲームに魅了されているという訳だ。

・熱くも寒くも無いし、雨にも濡れない

改めてこれはデカいと言わざるを得ない。
屋外スポーツ観戦における永遠の敵である、日射し、寒さ、そして雨。

あれやこれや考えてるうちに気付けば１泊分ぐらいの荷物になってしまうアレに対し、Ｂリーグの場合は一切その心配がない。軽装備の状態で飲んだり食ったりするのは思いのほか幸福度が高い。

その代わり清々しい外の解放感ってのも無いわけだけど、子供や初観戦の知人を連れて行くには、雨の可能性はリスク過ぎる。

金と時間を割いただけの価値を求めるのが顧客の性であるならば、Ｂリーグにおけるこのアドバンテージはとても大きい。

■後発ならではの秀逸なレギュレーション

国際大会の躍進を機にミーハーと呼ばれる人たちが殺到するが、押して（推して）は引いていく水面の様な状態が一発屋であるならば、
そうさせない有利な条件がＢリーグにはありそうだ、ってのをまずは説いてみたわけですけど、

決してそれだけではないというのも力説してみたいと思います。

それがこちら。

クラブが事業投資ができる環境を整え安定的な成長を促すため、2026年からの“B.革新”では、単年度競技成績による昇降格を廃止します。

ズバリ。Ｊリーグの風物詩でもあるカテゴリーの昇降格を、成績によって判断しないというのです。

これにはですね。２つの大きな特筆すべき点があります。

・大胆ではあるがあまりにも理にかなっている点

まずは、
Ｊリーグの悩みでもあった降格リスクによる中長期的な投資へのハードルってのを下げる。いや、下げるどころか撤廃するという大胆な施策であること。

これは運営するチームにとってはデカいですよ。営業のしやすさが格段に変わってくる。つまり金の集め方の概念が変わる。
いかにして地元に根付いたクラブに仕立て上げるか。もうこの一点に集中して経営できるんですよね。

ただ、降格無かったら強くならなくない？　って考えもあると思います。
それについての個人的意見はこちらに整理していますので興味あればぜひ。

・組織ぐるみでチャレンジしている点

それからもう一つの特筆すべき点。それが、後発ならではのメリットを活かし大胆な施策にチャレンジしているということ。
つまり、失うものが少ないんだからどうせやるならドラスティックにやろうよという気概。

これについてはですね。僕は（名指しですみませんけど）WEリーグに言いたいです。なでしこ世界一の大躍進によって多くのサポーター獲得チャンスを得たWEリーグ。

しかし、
後発のメリットを活かすこれと言った手打ちも話題性も無く、成るべくして一発屋になってしまった。挙句の果てにはワールドカップが放映されずその権利をクラファンに頼る始末。

一発屋になってしまった女子サッカー。そうはならなそうなBリーグ。

その差には「代表戦で興味持った人は国内リーグも見てね」と、選手がSNSで発信する竹やり戦法以外の何かを、大人たちが良く考えて組織的に行っているかってのもとても大きいように思います。

これはラグビーやバレーボールの国内リーグにも言えます。
バレーはそれに気付いたのか、川合さんが「〇〇ジャパン」っていう２番煎じ感止めようぜと言い出したのが印象的。

【考察🏀】
これはあくまでも個人的な感覚だけど🤔
Bリーグ発足以降独自のアプローチでここまで実力とブームを獲得した日本バスケに対し、なでしこの便乗でしかないアカツキジヤパンとか言う呼称はもはや負の遺産でしかない気が…。

バレーみたいに止めるのもありだと思うけどどうかな🥹
— 鈴木意斗/横浜ビーコル🏴‍☠️と雑感note (@suzu_ki_ito) July 5, 2024

バスケ協会とBリーグが今後どんな施策をぶち込んでくるのか。いかにも新しいものを生み出しそうな雰囲気。
個人的にも楽しみにしています。

■BリーグとJリーグは共存できるのか

最後にこの話題にも触れてみたいと思います。

これまでは、夏はＪ。冬はＢ。って人もそれなりにいたのではないかと思います。しかし、Ｊリーグが本格的に秋春制に移行することで、バスケとサッカーのシーズンは丸被りすることなりました。

これをピンチと捉えるかチャンスととらえるか。

個人的にもここは未知数です。

しかしながらいち早くこの相乗効果を狙っている（もしくは考えている地域）は上手くいく公算が強いのかな、と。

個人的に強烈に攻めてるなと感じるのが九州勢。

圧倒的なのがジャパネット率いる長崎ですね。

新スタジアムと、新アリーナ。そこに商業施設とオフィスとホテル。
それがなんと街中に出来る。

もうね。やばいです。土曜日にサッカー観てホテル泊まって日曜日にバスケ観て空き時間に市内観光。
個人的にはＶファーレンもヴェルカも全然箱推しじゃないけど行ってみたくてしょうがない。これは本当に凄いこと。

そりゃ福山雅治も凱旋するって。

そして鳥栖のまとまりも素敵です。

基本的にチームカラーってのは宗教と同じぐらい拘りが出るものですが、鳥栖のＪとＢは統一感完璧。

これならサガン鳥栖のユニ着てバルーナーズの試合観戦ってのも全然アリですね。どっちかじゃなくて両方応援するってのを肯定するために色から拘るのはとても大事なことなのかな、と。

横浜もだんだんと意識が高くなってきました。

マリノスの選手が（シーズン中にもかかわらず）ビーコルの会場を訪れる力の入れっぷり。

川崎は逆にこれが出来たら等々力の一体感無くなっちゃうのかな。

余計なお世話か。。。

そんで我が地元静岡。
ベルテックスは静岡市だからやはりそこはオレンジ一色。

これは個人的には応援できんのよ（汗）。

一方で静岡県西部にあるフェニックスのチームカラーは赤。

ジュビロくんが遊びに行ったりして関係は良好ですが、三河遠州じゃなくて、単独で遠州名乗ってチームカラーをサックスブルーにしてくれたら最高なんだけど・・・いまさら変えられないよね。

これは残念過ぎる。

いずれにせよ！
Bリーグはその競技特性を活かして、あるいは大胆な施策を以って、興行としての定着に確実に成果を出しています。

大事なのはこれから先ですが、
既に水面下では各チームがインフラと認知度を着々と築いている。はっきり言って強いです。

河村勇輝の海外挑戦は決まってしまいましたが、渡邊雄太の凱旋は新たな起爆剤になるはず。
パリ五輪の後に開幕する次シーズンの大盛り上がりは間違いないでしょう。

国際大会の躍進と、海外リーグで活躍する選手が増えること。
かつてJリーグがそうしてきたような成長過程を、Jリーグとは別のやり方で目指していこうとするBリーグ。

スポーツとビジネスの両面でとても興味深い。
これがBリーグが一発屋にならない理由であります。

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。