【週刊ユース分析】三菱養和SCユースを改めて調査!!
恥ずかしながら知っているようであまり詳しく知らなかった「三菱養和」。改めて調査してみました!!
三菱養和SCユースは ”街クラブ”と称されます。ま、それは知っていたのですが、これってどういう意味なんでしょう。そのために、まずは生い立ちを整理してみます。
「三菱」と付く理由はもちろん
三菱養和の起源は、大正3年にまで遡ります。まだ財閥という言葉があった時代。
”土佐出身”、”竜馬と同郷”でおなじみ岩崎弥太郎が築き上げた三菱グループが「社会体育の振興」を目的に設立した公益財団法人になります。
つまり簡単に言うと、三菱が儲けたお金を、スポーツを通じて地域に還元するために作った組織。といったところでしょうか。
今でもたくさんある企業スポーツの多くが、同じような存在意義を掲げていますから、養和はその走りと言えるかもしれません。
このような生い立ち、意義を要約して「街クラブ」と呼ばれています。
ちなみに設立された場所は東京・巣鴨。
三菱と言うとレッズの親会社なので埼玉のイメージが強いですが、養和はれっきとした東京のチーム。レッズとの関係は、”比較的近くに住む親戚” といったところでしょうか。なのでチームカラーはレッズと同じ赤。三菱のコーポレートカラーですね。
また当然、対象とするスポーツはサッカーだけではありませんし、対象となるのは子供たちだけではありません。テニスやスイム、武道など様々なスポーツを通じて大人から子供まで、今なお地域の振興に貢献しています。
立派な施設ですね!
一貫育成の先駆け
養和を語るうえでもう一つ避けて通れないのが、いち早くヨーロッパの育成スタイルを取り入れた一貫育成の考え方です。
今でこそJリーグが出来て、クラブユースは当たり前のようにジュニアやジュニアユースを持ちます。
また最近では強豪私学が中等部、高等部を設けてJクラブと同じような一貫育成を行うようになりました。
しかし、
恐らくこの考え方を日本で一番先にシステム化したのが三菱養和ではないでかと思うのです。そしてそれを、今なお第一線で継続しています。これは凄いことです。
今では多くのチームが基礎とするこの一貫性の考え方。しかしながら養和の場合はクラブユースや強豪私学のそれとは少しだけ色を変えます。
なぜなら養和は、「街クラブ」だからです。
クラブユースの一番の目的は、トップで戦うための選手の育成です。つまりクラブとしてのポリシーがあり、当然それに沿った育成をしていきます。
より明確なプロ意識と、連携など熟成面でメリットを発揮するものの、個でどこまで戦えるか?となると少し脆さが見えるのがデメリットです。
一方、いわゆる部活の場合、基本的に次のセレクションに勝ちあがるための個を磨く場、という強い環境依存がそのまま育成方針となっているのが特徴です。
養和は(トップチームはあるがプロではないため)どちらかと言うとこの部活の立ち位置に近いのですが、大きな違いが一つあります。
それは、学校生活の延長ではない。という点です。
多くの人が学生時代、学校生活以外に習い事していたと思います。人によっては大人になっても続けています。長く続けていくと輪が出来てきます。
家と学校(大人の場合は職場)とは違う、第三のコミュニティスペース。これが習い事の世界だったと思うのですが、三菱養和はまさにそんな感じ。
つまり、
養和とは、もうひとつの自分の生きる場所。といったところでしょうか。
三菱養和SCユースの傑作たち
OBが養和を愛してやまない。そしてそれを受けとめるコーチ陣がOBたちを愛してやまない。地元に帰れば、必ず立ち寄る場所。
巣立っていった選手たちにとって”街クラブ”とは、そんな存在なんだと思います。
では、養和出身のOBをセレクトして紹介!
相馬勇紀選手(三菱養和SCユース →早稲田大 →名古屋グランパス)
今、代表で多くの人の期待を集める一人ではないでしょうか。
敵陣サイドを深いところまでえぐる推進力とセンタリングの鋭さ、それから自分でも打てる力。わたくし実は、プレースタイルや童顔の風貌から、元日本代表 相馬直樹さんの息子さんなんじゃないかと思ってましたが・・・さすがにそれは違いましたね(汗)。
今では一番の養和っ子憧れ的存在になっているのではないでしょうか!
中村敬斗選手(三菱養和SCユース →ガンバ大阪 →トゥウェンテ →STVV)
ガンバからオランダに渡り、現在は鈴木優麿選手、伊藤達哉選手らと共にシント・トロイデンに所属しています。
ガンバと言えばこれまで多くのユース出身者が新卒入団の常連だったのですが、そこに風穴を開けようと白羽の矢を立てられたのが養和の中村選手でした。
個の力と、一貫育成による組織戦術のハイブリッドで育て上げられた養和産のエースにガンバは期待したのだと思います。
現在はベルギー出場機会に恵まれていませんが、トゥウェンテ時代に決めまくっていた左からの振り抜きに期待しています!
養和のプレミア戦歴
34ポイントの23位。と、決して悪くは無いのですが、ここ数年、プレミアでの戦いが見られていないのが寂しいところ。
2014年に降格してから、いまだ這い上がれていません。
順位の推移を見てみると、緩やか~に右肩下がり。19年に選手権優勝を果たした静岡学園とほぼ同じような推移を示していますね。
関東はここ数年レベルが高いのですが、冒頭から述べてきた通り歴史と伝統ではどのクラブユースよりも確固たるものを持っています。
掲げるは、「古豪復活!!」これでしょう。
最後に、
養和を調べてみてまず、その伝統に驚かされます。そして、街クラブならではのアットホームな雰囲気が垣間見えます。
1学年15名だけ、という少数精鋭の方針が良いのかもしれません。
サッカー選手である前に、人間ですから。人生の教訓を得た場が、学校以外にもあるというのは、自分の人生を豊かにするために実はとてつもない資産なのではないかと。
現役選手は偉大な先輩に憧れ、OBは永遠にクラブを愛してやまない。それを包み込むコーチやスタッフがいて、そんな空間がずっと昔から、
街にある。
いいなぁ。こういうの。
近年は苦戦が続いていますが、長い目で見れば養和の方針は少しもぶれていません。
これまでも、これからも、日本で唯一の存在感を示してくれるんだと思います!!