【横浜ビーコル🏀】【雑感】海賊の誤算。
最終戦の川崎との一戦がめっちゃ良かった。
皮肉にもこの試合に今シーズンのビーコルがやりたかったであろうバスケが詰まっていたように思う。
それが見られたのが最終戦とは。遅せぇよ・・・。
しかし!
ポジティブに捉えれば河村勇輝が復帰したゲームでこのような結果が得られたことは非常にデカい。個人的には河村残留の大きな後押しになるゲームになったのではとすら思う。
終わりよければ全て良し。と割り切るにはあまりにも残念なシーズンだったけどせっかくなので張り切って振り返ってみたい。
キーワードは、「ヒーロー」と、「崖っぷち」。
例によって芯喰った考察かはわかりませんけど、夢と希望を共有していただけたら幸い。
■ヒーローは誰だ
「どうして開いてるのに打たないんですかー!!!!」
ホーバスさんの怒号を受けてスコアリングマシーンと化した河村勇輝。
大活躍のワールドカップを経て満を持して迎えたBリーグ。敵地群馬に乗り込んだ第2節。
たった一人で2試合合計70得点という恐ろしいスタッツをたたき出したにも関わらず、チームは2連敗を喫した。
日本人初の得点王が誕生するかもしれないという世間の興奮をよそに、勝てないチームは「河村ビーコルセアーズ」と皮肉られる。それだけならまだいい。「河村くんが可哀そう🥺」といった、色んな意味でセンチメンタルなコメントも飛び交った。
今や全国区の注目となった河村勇輝。国プのチケットも連日完売。これまで見たことないような観客が押し寄せる。
若いチームには、花形役者を邪魔しちゃいけないような雰囲気が蔓延する。
いい意味で空気を読まないデビン(私は大好きだった)と、それでもスコアメイクしていたユトフを除いて多くの選手が圧倒的に消極的になった。
開いているから打つ。
これを忠実に実行して2試合で70点取れば日本代表では最高級の賛辞を受けるだろう。首脳陣からも、チームメイトからも。
しかしビーコルは違った。むしろ逆だ。河村が点を取れば取るほどチームメイトは遠慮し、足が止まる。
ここに若き司令塔はとても悩んだのではないかと推測する。
鮮明な時期は覚えていないけど、ある時から河村くんは得点よりアシストを優先するようになった。ホーバスさんが見れば激怒されるようなパスを送ってでも明るすぎる自らの威光を消し、周囲を活かさざるを得なくなった。
これは最大の誤算であった。
ビーコルにリーグを代表するような双璧があと一人いれば雰囲気は大きく変わったかもしれない。
森井健太はプレースタイルが違い過ぎる。キングも松崎も田中力も若すぎる。須藤も杉浦も決して河村の前には出ようとしなかった。
昨シーズンは河村の陰に隠れていた赤穂が、敵となり何かの呪縛から解き放たれた様に彼のマークを嬉々と楽しんでいるのが印象的だった。
河村人気に便乗して「我こそがヒーローだ」としゃしゃり出る選手が一人でもいれば、たとえブースターから「お前じゃねぇ」と突っ込まれても河村くんはとても喜んだだろう。
残り数秒で河村ではなく松崎がセルフィッシュに打って、そして外しても、その方がチームにとっては良かったに違いない。
河村勇輝は「決めてよ笑」といたずらに言いつつ、もう一度よこせと言い切る先輩に極上のアシストをしたに違いない。
そんなシーンが見たかった。
■もう一人のレジェンド
もう認めざるを得ないだろう。ジョシュ・スコットは低調だった。
シーズンはじめこそチームへのアジャストが原因であっただろう。また河村勇輝を活かすために割と(ゴール下から)遠くにスクリーンに行く彼にオフェンスリバウンドまで求めるのは酷だった。
しかし、
Bリーグを代表する外国籍レジェンド、かつ宇都宮栄光時代の象徴でもある彼に敬意を払いつつも、少なすぎるリバウンドやペイント内ゴールは残念と言わざるを得ない。
スコットのリバウンドアベレージは50位。B1が24チームしかないことを考えれば、(途中加入のソットくんを除く)チーム唯一のセンターが倍の48位以内にも入っていないのは致命的過ぎる。
しかし、
これもまた彼だけを責められない何とも言えぬもやもやが残る。そう。スコットうんぬんの前に、誰もリバウンドに入らないじゃん!!
解説の井口さんも指摘せずにはいられないノーエナジーっぷり。しまいにはブースターの力で落とした相手フリースローのリバウンドまで獲られて4点プレーにされてしまう始末。
前に述べたように河村くんの1on1に遠慮して足が止まり、3ポイントラインにたたずむ選手たちは誰も中に入らない。
スコア確率の良いユトフまで外に張ると、それはもうリバウンド禁止ルールがあるんじゃないかってぐらい異常な状態だった。
急ぎ録画を残しておいた昨年のCS琉球戦を見てみたが、CJのいた昨季の方がまだ他の選手もリバウンドに跳んでいた。
これについては細かい原因はもはやよくわからないけれど、
昨年CJのおかげで出来ていたことが、レジェンドスコットの加入で盲目的に出来ると思ってしまったこと。
これが誤算だったのではないか。
細かい指示や動機付けがないと跳べないのはあまりにも情けないけど、”あの”スコットなら取ってくれるだろうといった過剰な先入観はマイナスに作動したかもしれない。
しかし、であれば他の誰かが取ればいい。
そんなエナジーが見たかった。
■で、川崎戦
スタメンにスコットとソットくんがおらず、ウィンブッシュ含むビッグ3擁する川崎相手にどうなるかと思ったけど・・・
獲りましたねー。リバウンド。みんなで入って。
でもってスピードミスマッチ活かすために足が動く動く。
これ、
15点差をつけた1Qのショットチャートですけど離したのってスリーじゃなくてほぼペイント内なんですよ。
センターいないのに!!
これは、
頑張ってディフェンスリバウンド取って速攻決めたのと、
遅攻でも河村くんのムーブに合わせて周りもしっかり足動いてた証拠。
やれば出来るんですよ。やれば。
もう見てて泣きそうでしたね。この試合はそれでも後半にリバウンド握られて接戦になりましたけど、本来はこの出来でセンターがいれば中→外→中のアクションが効いてくるわけで。
これって強いチームそのものですよ。
あぁー シーズンはじめからこれ見たかった。
思わずこんなツイートしましたが多くの人が同じこと言ってて嬉しくもあり、悲しくもあり。
そんでそんで。
この試合って河村くんが心から吠えてるシーンが多かったんですよね。スコアリングマシーンとして、ファストブレイクの起点となるアシストの鬼として、とても手ごたえを感じているような。
多くの人があの試合で光明を見たように、河村勇輝にとっても来シーズンの光が少し見えたんじゃないかな、と。
これは、彼のチーム残留に向けて大きかったと思います。「これがやりたかったやつ」と、それを噛み締めているようにすら見えました🥹
(これ書いている時点で残留するかわかりませんけど・・)個人的にはとても大きな一戦だったと思っています。
もし来シーズンも河村勇輝がチームに残ってくれた場合、チームが同じ過ちを犯さないためのキーワードは「ヒーロー」と「崖っぷち」。
河村勇輝に便乗してこれは大チャンスと捉え、ヒーローになろうとするチームメイトが現れるか。
そして、
川崎戦ノーセンターで挑んだ崖っぷち状態の全員バスケが常に再現できるか。
この条件が突破出来れば必ずビーコルはやってくれる。
シーズンを通して終始荒波に屈した海賊ではあったけれど、最終戦にて雷鳴(サンダー)の天候を乗り越え一筋の光を見た。
ついに日は射すかもしれない。
航海は続く。
そして、後悔はもう続かなければいい。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!