【5月15日迄 岩手県立美術館で開催中】企画展「東北へのまなざし1930-1945」~柳宗悦らが注目した、東北の生活用品や建築
こんにちは!
東北在住ライター、すずき・ちえです。
ゴールデンウィークも後半ですが、今年は旅行された方も多いのではないでしょうか?
私も日帰りで岩手県盛岡市に行ってきました。
メインの目的は、岩手県立美術館で開催中の企画展「東北へのまなざし1930-1945」です。
◆企画展「東北へのまなざし1930-1945」
私がこの展示を知ったのは先週のことでした。
東北地方の民芸品に興味があったのと、開催地が馴染みのある岩手と聞き、行ってみました。
企画展のテーマは、1930年代から1945年までの間の日本にさかのぼります。
当時、「昭和モダン」と呼ばれた都市文化が発達した一方で東北地方は、土地の不便さなどから都市化の波に取り残されていました。
が、長年にわたり引き継がれてきた土地の気候や生活に根ざした物作りなどの技術があり、それに魅せられて調査記録した人や、こけしなどの郷土玩具を蒐集した人たちがいました。
例えば民藝運動を展開した柳宗悦、東北、とりわけ秋田に魅せられ訪れたドイツの建築家ブルーノタウト等です。
彼らが東北に向けた眼差しを通して、改めて東北地方を見つめ直す、という内容でした。
◆生まれ育つた東北地方に誇りを持てた展示
展示では、ブルーノタウト、柳宗悦、郷土玩具、雪国仕様の住宅設計図など6つのコーナーに分かれています。
印象に残ったのは、過去に東北で作られ、使われていた箱ぞり、ミノ、かんじきなど雪国の生活に欠かせない道具、柳宗悦が調査し記録したこぎん、鉄瓶、竹細工といった当時の生活に根ざした数々の工芸品でした。
いずれも丁寧に作られており、クオリティーの高さに驚かされます。機械生産では出せない手作りならではの味が伝わってきました。
また、郷土玩具のコーナーでは、東北地方のこけしが勢揃い。
南は福島県から北は青森県までの11系統が並ぶのは圧倒されました。こけし好きな人に見せたら喜ばれそう!
個人的に特に感激したのが、柳宗悦氏が語ったという言葉でした。
撮影NGだったため、大まかな内容になるのですが……「東北地方は、東京から遠く、新しい文化を取り入れるのが遅れた。さらに厳しい自然災害にも見舞われており、貧しいという見方はある。が、祖先から受け継いだ技で拵えた品物を生活に取り入れており、その暮らしには豊かな一面がある」
東北地方は自分のルーツであり、大好きなのですが、首都圏に行くと引け目を感じることも正直、ありました。
東北では見たことのないお洒落なお店や、一日中楽しく遊べる場所がたくさんある。また、日本中、いや世界中の人や物が入ってきて開かれている。
けれども、今回の展示で、東北地方が多くの見事な生活道具や工芸品を生活に取り入れてきた「豊かさ」を目の当たりにし、誇りに思えたのでした。
東北の方はもちろんのこと、他の地方の方にもぜひ見ていただきたい、おすすめの展示です!
◆企画展詳細
企画展「東北へのまなざし1930-1945」は、岩手県立美術館で5月15日(日)まで開催中です。
その後、福島県立美術館と東京ステーションギャラリーで巡回予定。詳細は以下のURLをご覧下さい。
https://www.museum.or.jp/jyunkai/106362