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シウマイ弁当

横浜名物、と言えば崎陽軒のシウマイ弁当だろう。とにかくよく売っている。色んなところで売っている。そしてよく売れている。あまりというか、ほとんど売れ残っているのを見たことがない。隠してるわけではあるまい。ホントに売れているのだらう。

登場は1954年というから2024年で70周年ということになる。微妙にマイナーチェンジを得ながらも今日まで生きながらえてきている。たいした駅弁である。

現在の内容は、2003年に変えられたものとの事。シウマイ5個をメインに、厚焼玉子、鮪のつけ焼き、蒲鉾、鶏唐揚、筍煮、杏の甘煮、切り昆布、千切り生姜、俵形ご飯からなる。各々のおかずが絶妙というか微妙な量となっており、俵形8個と明確に分けられたご飯により、その配分には相当な神経をすり減らされる。食べるのに疲れる弁当である。

一番の問題は明白だ。杏である。これを何時どのタイミングで食べるか?これは杏に対する好みが大きく影響してくるだろう。普通に考えれば、そして杏の甘煮が好きであれば、デザート的存在として、最後にいただくべきものである。好きな方の多くはそうだと思う。

だが、好きではない、あるいは嫌いとなると話はややこしくなる。まずアンチは最後の味としてあれを受け入れないだらう。シウマイ弁当の後味がアレはないぜ、と。でも食べない、というのも大人としてどうかと思う。空の弁当箱の中に杏だけコロコロと転がってるのは、いかがなものかと、誰もが思うだろう。

私なら、一番最初に食べる。食べてしまう、と言った方が正しいかもしれない。そう、あまり好きではないのである。最初にあの味が来るのは本意ではないが、しかし、最初に苦難を乗り越えれば、あとは楽しいことばかりが待っている。そこからは簡単だろう。シウマイを主演として、1個食べるたびに助演の玉子、鮪、蒲鉾、唐揚を1つずつチョイス。他の副菜はそれぞれの合間にやる。ご飯と組み合わせれば主演5助演4でご飯の8を上回るから、配分を最初からずっと守れば、最後はご飯1に対してダブルシウマイでいけることになる。これぞ完璧配分(パーフェクトディストリビューション)であろう。

ラストの頃は、口の中の杏の味も消えている。残るのはシウマイの、あの干しホタテ貝柱と豚肉と玉ねぎの香り。それはそれでなかなかのオイニーなのだが。

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