ヒトリエ「ポラリス」とその他色々の話
私は幸せなことに、好きなアーティストの解散や活動休止さえ経験したことがなかったから、ああ、大事な人でもこうやって突然居なくなってしまうんだなって、wowakaさんの訃報を聞いて怖くなった。
今回は、私の好きなバンドのボーカルを思いながら、私の好きなバンドの一番好きな曲「ポラリス」について書こうと思う。
私がwowakaさんと出会ったのは小学生か中学生の頃、ニコニコ動画で「ローリンガール」を聴いたとき。そう思うと、今追っているバンドの中で一番長く聴いているのかもしれないな。
wowakaさんの楽曲は静と動が素晴らしい。アンノウン・マザーグースもそうだけれど、サビ前(サビの最初と捉えるのもアリだと思う)で一回音を抑えるの凄く好き。
あんなにリズム隊が強いのに、ずっと目立たせるんじゃなくて引き算の音楽をしているから気持ちよく聴けるし、抑揚がしっかりある。
特にここら辺。
色褪せぬ誇りを知れたのは
誰でもなく、あなたのせいで
僕はどれだけ何を与えることができていたのでしょうか
この胸に灯った一欠けらの
明りの意味を今言うよ
喜怒哀楽すべてが僕の譲れない光だってこと
この胸に灯った からのバスドラは、心臓をどんどん叩く感じがしてドキドキする。そのあとはとにかくドラムが無敵モードで感情を煽ってくる。ドラムめっちゃ上手い……
最後の歌詞は、なんだかもうすぐこの世から居なくなることを知っていて、聴いていてくれた人たちの背中を押すかのようで涙腺が緩む。
(まあ、この曲はアニメのタイアップだから今言ったことは深読みすぎるんだけど)
ひとりきりのこの道も 覚めない夢の行く先も
誰も知らぬ明日へ行け 誰も止められやしないよ
また一歩足を踏み出して
あなたはとても強いから
誰も居ない道を行ける
誰も居ない道を行ける
ここからは少し、実際に観たヒトリエの話を。
私がヒトリエを最初で最後に観たのは、2018年にwowakaさんが主催したユニゾンとの対バンだった。
とにかく、wowakaさんのユニゾンに対するリスペクトがとてつもなかった。
「俺はUNISON SQUARE GARDENが日本で一番カッコいいバンドだと思ってる!」という言葉が忘れられない。はっきり言い切れるのって相当の覚悟だよ?
敢えてボカロ曲のバンドカバーを織り込んだセットリストにも本気度が見えるし、ヒトリエとしてだけではなくwowakaとしても演っている日なんだなあって思った。
いくつかのバンドの対バンに行ったことがあるけれど、どれも正直音楽以外のプライベートの仲良しこよし感が滲み出ててちょっと寒い、というか内輪感があって少し引いた部分があった。
でもヒトリエ×ユニゾンだけは、ライブハウスにあるのは変な情じゃなくて音楽と音楽だけだった。
ユニゾン、お呼ばれしたのにMCなしかつセッション有りとか大丈夫?しかも初見殺し媚びなしセットリストやっちゃう?CAPACITY超えるとかやっちゃう?ほぼワンマンじゃん?
これだけでびっくりしたのに、もっとびっくりしたのは、ヒトリエのファンであろう人たちがユニゾンの初期アルバム曲で盛り上がって自由に楽しんでいたこと。私と同じで、音楽のルーツとして被っている部分があるのかしら。
……うーん、長くなりすぎたし収集がつかなくなってきた。止まらない。
不謹慎な話かもしれないけれど、ミュージシャンがこの世から居なくなっても曲だけは残るから、まだ居なくなったこととその絶望感を私自身が認められてないのかもしれない。
でもきっと、なんとなくこの先もヒトリエを聴き続けて、数年後、新しい曲がもう生まれないことに気づいたとき、とてつもなく悲しくなるんだろうな、と今は思っている。
きっとあなたは大丈夫 誰より「ひとり」を知ってる
この言葉の意味すら超えてさ、とても強い人だから
wowakaさんのご冥福をお祈りします。