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5日間の東北鈍行ひとり旅③

こちらの続きです。帰り道とおまけの話。


5日目: 東京への帰路

流石にもう疲れ切っていたので帰りに遊ぶ元気もない私は、とりあえず来た道で帰ればいいや・・・と思っていた。

しかし、仙台で会った友人(ライトな鉄オタ)と連絡をとっていると「常磐線ルートがあるで!」とおすすめされたので、とりあえずそのルートで進むことにする。よく調べてみると、このルートは8、9年ぶりに全面開通した福島第一原発近くの地域を通るとのこと。軽い気持ちで選んだルートだったが、この選択で私の旅は「楽しい」だけじゃなくて、色々なことを考えさせられるものになった。

5;44山形→6:49仙台
山形と仙台を繋ぐ仙山線に乗車し、山形に別れを告げる。この路線もまためちゃくちゃな山越え路線。途中で降りて観光したい感じもあったけれど、暗くて寒くて疲れきっていたので車窓からの風景だけで我慢する。 いつか行ってみたいなあ。

仙台ですこし時間があったので、ニューデイズを物色する。地方のコンビニは品揃えが面白い。味噌をしそでまいたつまみを購入し、小腹を満たす。


7:19仙台→8:38原ノ町
ここからは行きのルートとは違って常磐線ルート。久しぶりに電車の中で爆睡した。なんだかんだ景色を楽しむなどして4日間電車の中で寝てこなかったなあ。

原ノ町で時間があったので途中下車。原ノ町は「相馬野馬追い」というお祭りが有名らしく、駅周りは馬、馬、馬。



9:17原ノ町→10:37いわき
ここのルートが、まさに東日本大震災で大幅な被害を受けて通行止めになっていた地域だ。2020年3月14日の富岡→浪江間の運転再開を持って、やっとのことで全路線で運転再開したとのこと。9年間、復旧作業をしていたのか。長い。

この区間を走っている時は、息を止めて背筋を伸ばして窓の外に注目していた。うちっ放しのコンクリートの建物、手入れされずに伸びきった線路周りの草、放置された車や家、立ち入り禁止区域を知らせる看板、重機ばかりが走る整備されたばかりの道路、もともと田畑だったと思われる更地。

東北をめぐっている中で「人が歩いていない場所」はたくさんあったけれど、「人の手が入っていない場所」はそれほど多くなかった。そこには人が住んでいて、誰かが整備しているんだろうなという雰囲気はあった。

けれども、福島のこの地域だけは、ああ、土地って人の手を加えないとこんなに寂しく荒れてしまうのかと思わされた。途中駅で降りていく学生を見て、将来彼らはどこでどうやって暮らしていくんだろうかと思う。福島に住み続けてまだまだ進んでいない復興を見届けるのか、別の地域に出ていくのか。

テレビでしかみたことのなかった光景を、車窓越しではあるが見ておけてよかったと思った。自然災害は一瞬で生活を攫っていき、人間がそれを元に戻そうと10年奮闘してもまだまだこの状態なのかと、この目で見ることができた。私の実家も自然災害時は危ないところなので、備えだけはちゃんとしておかないといけないな。

さて、いわきで下車してお昼ご飯をいただく。いわきでは絶対に寿司を食べるぞと考えていたので、駅すぐ近くのビルの中にある回転寿司屋さんに入る。

黒鯛、ほうぼう、とろ生鯖(生の鯖なんて新鮮なところでしか食べられない!)、目光、赤海老、つぶ貝、ホッキのひもをいただく。やっぱ海鮮最高!本当においしかった。


いわきからはロッキンで毎年お世話になっている勝田を経由し、東京へ。

最寄り駅に着いた時の安心感がすごかった。そして5日間東北に合わせた服装をしていたので、とにかく暑い、暑すぎる。ダウンを脱いで抱えながら家まで歩いたのでした。

まとめ:学生最後の大切な5日間の経験

こんな感じで私の5日間は終わったのでした。
お金はないけど時間だけはある、修論を出し終わったあとの大学院生ならではの経験ができて楽しかった。

何より、東北が大好きになった。

私が回ったところなんて東北地方のほんの少しだけれど、飛行機や新幹線などのワープ手段ではなく鈍行で回ったからこそ、地域が移り変わっていく様子のグラデーションが感じられてとてもよかった。

太平洋側はすごく空が青くて高く感じるなあとか、日本海側を南下していくと方言が新潟に近くなってきて、耳馴染みがある言葉で安心するなあとか。

またこんな感じの鈍行旅やりたいなあ。思ったより疲れなかったし、退屈も全くしなかったし、向いているなと思った。

若くて腰が元気なうちにもう一回くらい行こう。

おまけ①:5日間の持ち物

基本装備は、ダウンジャケットにスノーブーツ、ノースフェイスの箱みたいなリュックとケルティのショルダーバッグ。

中身はこちら↓

○ショルダーバッグ
携帯:落としてもぶっ壊れないケースに入れた。
財布、小口現金入れ:財布を出し入れすることはなるべく避けて、小口現金入れに5000円分くらい1000円札と小銭で入れておく。日帰り温泉ではコインロッカーを使うことが多いので必須。
ペットボトルの水:お茶だとトイレに行きたくなるので。
チケットケース:スキー場でリフト券入れるようなやつに電車のフリーパスを入れて、カバンに直接くっつける。このチケットを無くしたら一貫の終わりなので厳重に管理。モバイルバッテリー
ハンカチ2枚、ティッシュ

 ○リュック
洋服:2パターンで5日間回せた。
パターン①:ユニクロのフリースタートルネック、パーカー、スキニーデニム
パターン②:ユニクロのフリースタートルネック、ウルトラライトダウン、黒スキニー下着と靴下とハンカチは3セット持っていった。
フェイスタオル2枚:日帰り温泉いくので必須。もう一枚あってもよかった。
これらは1日目、2日目、4日目にホテルのコインランドリーで洗濯。

ソイジョイ3本:早朝出発日の朝ごはんは全部これです。

メイク道具:全て石鹸あるいはお湯で落とせる+マルチユースのものに。いくら一人旅とはいえ、すっぴんだとなんだかメリハリつかないのでおすすめしません。

風呂セット:なし。ホテルのもので十分です。化粧水と乳液だけは普段のものを小分け
にして持っていく。

これでちょっとまだ余裕があるくらいかなあ。
反省は基本的にないけれど、秋田いく時はもっと防寒した方がよかったなあ。靴下に入れるカイロとか小さく畳めるネックウォーマーとかあってもよかった。

おまけ②:旅程の決め方

友達にこの度の話をしたら「旅程決めてその通り行動するの大変だったでしょ!?」と言われたけれど、最初に決めたルールが理にかなっていた (と思う)ので問題なかった。

自分で決めていたルールは3つで
①ホテルは新幹線の停車駅で取ること
②なるべく新幹線並行区間の鈍行に乗ること
③1県1観光にすること

①②の理由は大体同じ。仮にどこかの路線が運行不可能になっても新幹線はある程度動くだろうと踏んでいたので、最悪最寄りの新幹線駅までタクシーやバスで行けば、旅程
を進めることはできると思った。ラッキーなことに、この旅行では電車のトラブルは一つもなかったけれど。

③は、欲張りすぎるとしんどいと思ったから。今回は電車で巡る事そのものが目的だったので、最悪どこも立ち寄れなくてもいいやくらいのマインドでいた。鈍行だし、時間の制約も大きいからいくつも観光地回るのは大変。そこを欲張りたい人は新幹線使った方がいい。

おわり

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