クリープハイプのニューアルバムの話
発売日から、他の音楽を聴かずにずーっとこのアルバムを聴き通している。凄く私の好きな音楽だ・・・と聴くたびに感動して、なんで今まで気づかなかったんだろう!?と悔しさすら覚える。
クリープハイプは有名どころのHE IS MINE、ラブホテル、愛の標識、あとは802の春ソングの栞あたりしか知らなかったし、メンバーも尾崎世界観さんしか名前知らないし、ライブは一回も見たことないし、生い立ちも苦労も何も知らないけれど、今回のアルバムについてつらつらと語らせてください。
・きっかけ
そもそも、前述のような超ライトリスナー(リスナーですらないかもしれない)である私がアルバムを聴いてみようと思ったのにはきっかけがある。
11月20日にNHKでやっていた「SWITCHインタビュー 達人達」で、私の好きなカズレーザーさんと尾崎世界観さんが対談をしていて、これがめちゃくちゃ面白かった。
リスナーの反応に対して「ライブを観に行って泣いている人は凄い、今日は感動しに行くぞと気合を入れていかないとそこまでできない」という尾崎さんのお話も、自分の人生の中で「求められる形で幸せになろうと思った」というカズレーザーさんのお話も、結構自分の中でズバーンときたのでこの人たちすげえ面白いなって思った。(※記憶が遠くなりつつあるので捏造かもしれない)
考え方のベクトルがかなり近くて二人の会話が噛み合っていたので、聞いていて気持ちのよい対談だった。
その対談の中でカズレーザーさんがクリープハイプの好きな曲「およそさん」について話していて、ちょっと番組で流れたときに「あ、これ好きかも」と思ったので、サブスクで聴いてみることにした。
そこで「およそさん」の前後にあった曲「料理」「四季」「しょうもな」が凄く好きだなと思って調べていたら、なんと三曲とも新しいアルバムに入るとのことで、タイミングばっちりじゃん!と、配信前のアルバムをライブラリに追加した。これがきっかけその1。
きっかけその2は先週のYoutube Music Weekend。ここで流れたライブ映像の「キケンナアソビ」でぶん殴られた。クリープハイプってこんなにカッコいい空白がある曲もできるんだヤバ・・・と驚いた。
自分の中で、クリープハイプの曲は「怒りをぶつけている」「情報量が多い」「恋愛」「重い」っていうイメージ先行だったのでちょっと苦手かなって思っていたんだけど、そういった曲のテーマだとかなんだとかは全く関係なくなるくらい演奏がカッコよかった。音がいい!
・アルバムの話
そろそろ本題に。
このアルバム、最後4曲がとてつもなく良い。
個人的に、アルバム一枚を通して聴いていると、どんなに好きなアーティストでも「1~3曲目の疾走感はいいけど、後ろから3曲目あたりでもたついているな・・・ラスト曲まで飛ばしちゃおうかな」と思ってしまうことが多いんだけど。
童謡っぽい「しらす」からへんてこでちょっと怪しい「なんか出てきちゃってる」、妖しい「キケンナアソビ」への流れがまず美しい。
「キケンナアソビ」の歌詞の意味は結局理解していないし、MV観ても「うわ・・・女優さん超エロい・・・好き」と思うだけで何も解釈できなかったんですけど、ひとつひとつのフレーズを載せるメロがとても好き。
サビの
「お風呂で流す嘘の匂い
首から上だけでも残してよ」
「することすればうつる匂い
首から下だけでも愛してよ」
の言葉の響きが好き過ぎて何度も自分で歌っちゃう。
こんなセフレみたいな妖しい関係の歌から、割と日常生活感のある「モノマネ」に移るのがびっくりだった。
しかもこの曲の1Aでもお風呂で同じ匂いになること歌ってるんですよね。同じシチュエーションなのにこんなに正反対の画が浮かぶことありますか?
この後の「幽霊失格」がこのアルバムの中での私のベストお気に入り曲だ。
加えて、私の中の歴代「アルバムラスト2曲目選手権」で優勝しているかもしれない。(他にランクインしそうなのは黒子首の「あなうめ」とか)
とにかく綺麗な曲だと思った。メロディーも曲も歌詞から読み取れる感情も。
ヒュ~・・・ドロドロ~っていう幽霊の効果音みたいなところから、こんなギターフレーズが出てくるとは思わなかったよ。
私は普段全然歌詞に感情移入しないんだけど、この曲だけは主人公の感情になってしまった。多分私も大切な人を手放したり亡くしたりした後、こうやって何年も幽霊を見るんだろうなと思った。
2Aの歌詞でわたしはなんとなく「ただ恋人と別れて未練タラタラでその人の幽霊を見ているわけではないのかな」と思ったんだけど、どうなのかな。別に完璧に解釈したいわけでもないし広くとっておいた方が個人的には幸せだから答えは教えてもらえなくてもいいんだけど。
それにしてもこの曲のピアノのサウンド綺麗だ・・・この音に集中して聴いているだけでなんか涙と鼻水出てくる。
あと、1サビの「顔色悪い ちゃんと食べてる 怖いどころか心配だよ」っていう歌詞が最高にぐっとくるなあ。幽霊として見ている君にいう言葉がこれなのか。温度感がすごくいいな。
今YoutubeでMV見ながらこの文章を書いているんだけど、なんだか尾崎さんの歌詞解説企画が事前にあったらしく、そのことに触れたコメントが一瞬目に留まったので速攻スクロールした。答えが欲しいわけではないんだ。
久しぶりに凄く好きな歌詞に出会ったからまだ自分のものにさせて・・・
歌詞の最初なのに「そんな夜を」と指示語が入ってくるのもなんだか素敵ですね。こういう言葉の使い方した好きな曲が他にもあったはずなんだけど、忘れちゃった。
そして最後の曲「こんなに悲しいのに腹が減る」。タイトルを見てまず私は辻村深月さんの「スロウハイツの神様」を思い出した。
「環の脚本に出てくる登場人物は、みんな悲しいことがあってもご飯を食べているのが人間味があって素敵だ」といったような表現があるんだけど、まさにそれだと。
この最後の曲と一曲目の「料理」がなんだかリンクしているのも面白い。
うーーーん、いいアルバムだなあ。
私みたいにクリープハイプにわかな人間が聴いても一つのアルバムとして素晴らしくまとまってるし、言葉の選び方がとても好きだ。
しばらくはこのアルバムを聴き倒して、次はクリープハイプの他のアルバムを聴いてみようかな。
新しい音楽との出会いって素敵だね〜
おわり