見出し画像

パスピエ「KAIKO」2021/7/10 @Zepp DiverCity Tokyo

初めてパスピエのワンマンを観た。

このあと少しネガティブなことを書くので先に言っておくと、めちゃくちゃよかった。なんでこんなライブができるバンドの当日券が余っているのか悔しくなるくらい、よかった。

Twitterをフォローしてくださってる方は見ていたと思うけれど、このライブも前回同様ずーーーっと行こうか迷っていた。先週の時点でまだチケットがあることを知って、「行けるじゃん!」となって迷っていた。

日程が問題ないのであれば、迷ってるライブは全部行く!というスタンスの私ではあるけれど、今回はずっと決められずに迷っていた。理由は二つ。

①前回、CDJで見たときが正直微妙だった。
めちゃくちゃ楽しみにしていたんだけど、大胡田さんの高い声とかシンセの音が広い会場で飛んでしまっていて、後ろの方で観ていた私にとってはごちゃごちゃしててよく分からなかった。
曲そのものはもちろん、アレンジとか曲繋ぎとかも良かったけれど、まあ生音はこんな感じなのかなあと思ってしまった。

②月予算オーバーになってしまう。
社会人になってから月の支出管理をしているんだけれど、このライブに行ってしまうと自分の取り決めた枠からはみ出すことが分かっていた。
①のような期待感が正直薄いライブに行くのはどうなんだろうという葛藤があった。


それでも行こうと思ったのは、やっぱりパスピエの最新アルバム「synonym」がめちゃくちゃ刺さったから。「more humor」で感じ「synonym」で確信した彼らの意思と新しい方向性が、私はとても好きだなと思っていた。

たぶん、「演出家出演」くらいから追っていた人にとっては「なんだよ!そっちの方向行くのかよ!」って思うところもあるかもしれないけれど、わたしはどちらかと言えば新しいパスピエの方が刺さる。顔も見せるようになって、ドラマーもいなくなって、新しいことや奇妙なことをどんちゃんごちゃまぜで挑戦している彼らは美しいよ。

個人的に、ここ2枚のアルバムで「パスピエはこうあるべき」というコンセプトから放たれたような感じがしている。そんな感じしません?


さて、それではセットリストと共にライブの感想を……

セットリスト

1.ONE
2.オレンジ
3.プラットフォーム
4.スーパーカー
5.ユモレスク
6.とおりゃんせ
7.まだら
8.人間合格
9.影たちぬ
10.音の鳴る方へ
11.チャイナタウン
12.アンサー
13.真昼の夜
14.煙
15.tika
16.SYNTHESIZE
17.始まりはいつも
18.つくり囃子
19.グッド・バイ

En.1 Q.
En.2 トキノワ


初っ端のONEの歌い出しが一番緊張した。私の懸念事項①がどうなのかなって思っていたので。
でも全く心配なく、というかめちゃくちゃ気持ちいい声だった……
わたしはたった一回の幕張メッセでの経験で、大胡田なつきさんの歌を過小評価していたなと反省した。

びっくりしたのは、ONEのサビを上ハモの音程で歌っていたこと。音源を聴いている限り、下で歌うのかな〜と思っていた。いつか下バージョンも聴いてみたいね。

オレンジはとにかく間が多いサビのうねりが気持ちいい。この曲を二曲目に持ってくるの、やりおるな…と思った。フロアが踊る、踊る。
一年前くらいにこの曲を聴いて、やっぱり「オレンジ」という題名の曲は名曲しかないな〜と感じたのを思い出した。
c.f. sumika、GReeeeN、クリープハイプ
あとカッティング上手すぎ。楽器隊がバチくそにうまい。

プラットフォームは大胡田さんの声が切なく響いて素敵だった。あとこの曲の転調のタイミングほんっっっとうに好き。

スーパーカーは「&DNA」というアルバムを表す一曲って感じしますね。この曲は個人的にすごく不思議だなと思っていて、え、そのAメロからこのサビなの?っていう。この気持ち悪さが成田ハネダさんの変態さなのかもしれない。

ユモレスクはサビが大好きですね。
オレンジもそうなんだけど、サビでリズムが大きくなるパスピエの曲凄く好き。このサビの多幸感だけで「今日ここに来てよかった」って思ったなあ。あとこの曲のサビ裏のベースも大好き。

気まぐれな愛を ユモレスク


とおりゃんせは「大胡田なつき嬢」って感じ。彼女以外が歌ったら絶対違和感あるだろうなあ。この曲のAメロを喋るように歌えるの凄い。
ステージ上の大胡田さん映えるなあ。あと昨日の衣装めっちゃ可愛かった。ピンクのパンツ。

まだら〜人間合格は最新のアルバムで一番頭をぶん殴られた二曲なので、この二曲が繋がれているのが「わかる!!!」って感じで嬉しかった。この怪しい二曲は絶対バラバラでは入れられないだろうなって思った。コードどうなってるんだろ。ちょっと似てるよね?違う?(無知)

この二曲でお客さんがそれぞれ思い思いに身体を揺らしてたのよかったな。こういう曲で踊らせられるのがパスピエのすごいところだよなあ。他のバンドがライブでやったら棒立ち見守り曲になってしまいそうなのに。

ここら辺で気づいたんだけど、パスピエのベースラインがバチバチに性癖だった。気持ち悪い〜〜でも気持ちいい〜〜って悶えながら露崎さん見つめる変態になってた。まだらのベースライン興奮する……ライブで聴くと致死量超える……


新曲:影たちぬは、めちゃ素敵だったのにおかしなことにもう全部忘れた。自分の記憶力の無さを恨みたい。そもそもここまでの曲も音源聴きながら昨日のこと思い出してるからな……多分記憶捏造もほどほどにあるかもしれません…許して…

音の鳴る方へ、サポートドラマーの方を紹介してそのまま入っていくのめっちゃ良かったな。パスピエってこういう疾走感ある曲もできるんだ……
「音の鳴る方へ」っていう言葉が何度も出てくるの、いいね。こんなご時世だし。

チャイナタウンは、もう、バチバチのキラーチューン。勝負かけてる感じ。この曲の歌詞も相まって、大胡田さんの妖しい少女感に惚れそうになった。
あとギターソロが爆盛り上がりなのがめっちゃいいですね!ギターソロ中はどうしてもみんなキャ〜//みたいな感じで見つめる感じになりがちだけど、お客さんがオイオイしながら(もちろん声は出してないけど)ギターソロ盛り上げるの素敵だなって思った。三澤さん気持ちいいだろうな。ギターうますぎて引いた。


アンサー…………………
この曲は刺さるんですよ………
ここまでとテンションが違うことでわかると思うけど、イントロもメロディも歌詞も楽器も全部好きすぎてどうにかなりそう。
特に落ちサビのハイトーンと歌詞が好きすぎる。

ねえアンサー答えはここにあって
思い出せなくてもあなたの一部よ

ライブではサポートドラマーの佐藤さんの熱がすごく伝わって泣きそうになった。サポートドラマーの方で、曲を邪魔しない存在感があって、ライブ中にこの人めっちゃ上手いなあヤバいって思ったの初めてかもしれない。佐藤謙介さん、覚えておこう。

2A「どうする?」の大胡田さんあざとかった。
「どうする?」の後のデュルルルルルル好き。


真昼の夜。前にどこかで書いたけど、この曲どうしても気持ち悪かったんだよね。でもライブでBPM早めバージョン聴いたらすげー!ってなった。生で聴いたらリズム感が掴めた感じする。この曲もやっぱりドラムが効いている。

煙はステージの演出が良かった。もくもくしてた。ここで気づいたんだけど、ここまであんまり派手な演出してこなかったんだよね。ステージ後ろに「KAIKO」のロゴ(?)がペラっとあるだけで、あとは邪魔にならない程度の照明。パスピエの曲自体が情報量多めだから、バランスとってこれくらいの方がいいのかもしれない。

tikaは音源より重い感じがして、こっちの方が好きだなって思った。上ハモもあるし、上物が多いな〜というイメージがあった一曲だけど、バスドラとベースが生で響くとこんなに違うんだ…と思った。やっぱり生で聞くといろんな発見があるね。

SYNTHESIZEは、まだらと二本柱で今のパスピエを代表する曲だと思っている。超完成度高い。

この曲のライブバージョンの入り方めっっっっちゃよかったんだけど、書こうとすると思い出せない。お客さんの手拍子から入ったのこの曲でしたっけ?あれめっちゃいいなって思ったんだけどちょっと自信ない。こういうの慣れてないけど、こうやって楽曲を一緒に作っていくのは「煽り」とはまた少し違って感動するなと。あの手拍子が長すぎずサクッと楽曲に入ったのも、あっぱれって感じ。超気持ちよかった〜

それにしてもこの曲のキーボードオシャレだな〜3分11秒っていうスッキリ感も好き。

始まりはいつもの言葉遊びすき。正直この曲の歌詞あんまり分かってないけど、ところどころ聞こえてくる単語の響きが良すぎてもうむしろ知らなくていいかって開き直ってる。

つくり囃子〜グッド・バイは本編終わりに相応しい明るい別れの歌詞が沁みた。

ああ 今夜も一期一会だね

ほんとそうだよ!昨日のライブで当日券が出ていなければ、私はパスピエを「音源はいいけどライブはビミョーなバンド」と決めつけて一生観ることはなかったかも知れない。今夜は一期一会だね。

あんまりお客さんみんなでおんなじ動きするの好きじゃないんだけど、つくり囃子はやっぱりこれっしょ!って感じするからめちゃくちゃ手振ってた。メンバーがめっちゃ客先見てたの嬉しかったな。

本編ラストはグッド・バイ。

素敵な終わりに 誘われて

この歌詞まんまだった。素敵な終わりだ。
この曲はBメロから楽器が重なる瞬間がとても気持ちいい。ところでこの曲、音源はドラム打ち込みですか?私個人的には生ドラムの方がかなり好きだな〜って思ったので、レコーディングに佐藤謙介さん呼んでほしいです……てか佐藤謙介さんやっぱりすげえ……楽曲が生き生きする……叩きこなしてる……


そしてアンコール、客殿が付いた瞬間に気づいた。多分、一番後ろのところによく知ってるバンドの方がいた。もっと気が動転するかと思ったけど、確かに「今のパスピエやばいから観ろ」みたいなこともおっしゃってたので、まあ、来てるよな〜とおもった。

アンコール一曲目、Q.はコード進行大好きなのでそれはもう踊り狂った。Bメロの歌詞を口に出したくなる曲ランキング第一位。
サビ前に一瞬音が止まって一音目がバンッと出る瞬間、完璧だ。あの瞬間のライブハウスに戻りたい……もうすでにライブハウスロスでしんどい。

アンコール二曲目、本当の本当に最後はトキノワ。やっぱり「娑婆ラバ」収録曲のサビは美しすぎるな。いわゆる泣きメロ曲が多い気がする。

トキノワの落ちサビ聴いてるとき、「絶対またライブに足を運ぼう」と思った。不思議なことに「もう終わっちゃうの!?」とか思わず、今日の終わりを受け入れられた自分がいた。それはきっと、パスピエが「続きは また今度」と歌ってくれてるからだろうな。本編もアンコールも、締めが美しいセットリストだなと思った。



数曲だけ感想書くつもりが、気づいたら全曲さらってしまった。それだけ、一曲一曲が濃かった。


最後に、ライブへ行く前の自分の懸念点へのフィードバックをするとこんな感じになると思う。

①パスピエのライブは、良い意味でとんでもないことになっている

②迷っているなら無理しない程度で行け、そのときにしか出会えないものがある

迷って迷って結局行ったライブというのは非常に印象深くなるものだ。昨日は本当に行ってよかった。

ライブハウスで生きてるバンドの音をしっかり浴びるっていうのは、1ヶ月に一回、少なくとも2カ月に一回くらいはしないと毎日がつまらなくなってしまう。

自分にとって大事なものとそうでないものはしっかりと判断して、大事なものは迷わず選んでいきたいと思ったのでした。

あとはあれだ、バンドへの向き合い方として、気になるバンドは2回観よう、と思った。特に1回目がフェスの場合には。

逆に、それでもピンと来ないバンドは無理せず音源だけ聴いていれば良いなと思った。そこまで金銭的にも時間的にも余裕あるわけでもないので……

いやあ、パスピエの初ワンマン楽しかった。
続きは、また今度。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?