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太っていた女子中学生時代の思い出

私は小学生から中学生にかけて、太っていた。
どのくらい太っていたかというと、二重顎と二段腹がデフォルトで、常時「身長-100」キロを超えていた。

幸か不幸か、脚や腕は比較的細かったので、胴体をふわっとした服でごまかし、脚や腕が出る服を着ていればそこそこ格好がついた。
そんなであるから、痩せようなどという考えはイチミリもなかった。

お腹が空いたら、食べる。
お腹が空いていなくても、美味しそうなものがあれば食べる。
暇になったら、とりあえず何か口に入れる。
与えられたものは、拒まない。

これが、当時の私のモットーだった。

お昼のお弁当は、普通の大きさのお弁当だと5口くらいで食べ終わってしまったので、運動部の男子が食べるような巨大なお弁当箱を買ってもらった。そして、父のものよりも兄のものよりも大きなそのお弁当箱を、教科書や課題の底にナマズのように横たわらせて詰め、学校に行った。

学校から帰ると、母と町に繰り出し、マック、肉まん、おにぎり、ラーメン、そばなどの「軽食」を食べてから遊んだ。

家に帰ると、おばあちゃんがドーナッツやら菓子パンやらをくれた。

夜ご飯は家族の誰よりも早く食べ終わり、父親からごはんをわけてもらっていた。

中学二年生になる頃には、制服のお腹の部分がきつくなり、ついに留め金がはじけてしまった。

そこで、制服の採寸に行き、今後お腹がふくらんでも大丈夫なように、空気を吸い込んでお腹をめいっぱいにふくらませた状態で採寸してもらった(新入生の制服採寸の際に見栄を張って、少しお腹をへこませて採寸してしまった反省を活かしてのことだ)。

なんで太ったらいけないんだろう?
なんで世の中にはダイエットしている人がいっぱいいるのだろう?
好きなだけ食べるのは、幸せなことなのに。

私の人生は、楽しくたくさん食べることが楽しみの中心だった。

今思うと、女子校に通っていたわたしは、他人からの視線、特に男子からの視線を全く意識していなかったのだと思う。
まだSNSも発達しておらず、他人と比べる意識があまりなかった当時の私は、自分の世界だけで物事をみていた。
食べて、太って、ただただ幸せだった。

しかし高校で共学になり、私は突然、大きなお弁当箱の自分を意識するようになった。

お昼の時間、みんなが机にお弁当を出すと、私だけ野球部とラグビー部の男子と同じ大きさだった。
他の女子や男子は、私よりもお弁当箱が小さかった。

それから、二重顎と二段腹。
集合写真では一人だけ遠近法が狂ったように大きな顔で写っていたし、体育着を着ると、お腹のあたりが分厚く見えた。

まずはお弁当箱を小さくしてもらった(母は「やっとか」と安心していた)。
それから、部活で忙しくなり、自然と夜ごはんまで間食をしなくなった。

そして、自然に痩せていってから、そうか、痩せると洋服が似合うようになるし、可愛くなるんだとわかり、以前のように何も考えずに好きなものを好きなだけ食べることはなくなった。

今は、痩せてはいないしまだ段腹もあるけれど、標準体重になった。

しかし、中学生時代の食いしん坊の私は健在で、食欲のままに食べていると太る。
だからいつも、「少し足りないな」くらいの食事量にして、はじめて現状維持できている。

いわゆる、万年ダイエッター。

たまに、一日四食、腹の限界突破、すべてハッピー、というあの時代が懐かしく思い出される。

しかし、生まれながらの食いしん坊の私でも、好きなものを好きなだけ食べた時代があったからこそ、もう食べ物に悔いはないと思えている(もちろん、食べることは好きだけれど)。

そして、学生時代だったからわりとすんなり減量できたけれど、30歳を超えた今、一キロ痩せるのでも精一杯になった。
今になってたくさん食べる習慣ができなくてよかったとホッとしている。

人間一度は、やりたいことを思いっきりやったほうがいいんだなあと思う今日この頃でした。


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