途切れることのない声
ふと、このnoteにおけるハッシュタグ「ラジオ」のタブをクリックしてみて、他の人はラジオについてどんなことを書いているんだろうと覗いてみたが、実に予想外の光景が広がっていた。
場所をお借りしている手前、不勉強で申し訳ないのだが実はこのnote。音声データを貼り付けることもでき、そこでラジオをされている方が非常に多い。それにまっことに驚かされた。ラジオ好きとして、こんな形でラジオというコンテンツが根付いているのは非常に楽しそうで面白そうだと感じる。
今の時代、前回予告した「配信」というものはとても手軽に行うことができる。何を隠そう、実は私もその配信というものを発信する側に立って過ごしてきた時期がある。十三年も前の出来事である。
学力が高くない割に大学に合格したことがある(といっても、世に言う『Fラン大学』だし、中退してしまっているのだが)。大学生というもののイメージは、とにかく遊んで遊んで遊び倒して、バイトで稼いで宵越しの銭なんて持たねーぜ、がモットーの人生のボーナスステージくらいの感覚でいた。なんともガッツリめな親不孝ドラ息子っぷりだが、若い身空の話なのでご容赦いただきたい。
合格発表も入学の前年の秋には既に行われており、およそ半年ほど自由な時間が手に入っていた頃。知人がとある配信コミュニティに所属していた縁で、自分もそこの仲間入りをさせてもらい、配信を行っていた。ラジオ好きが高じてという部分もあるが、他にはやはり「ゲームセンターCX」の台頭が大きいだろうか。自分もこんな風なことをしてみたい、と思っていたところにやってきた機会だったので「ごっこ遊び」大好き人間としては、乗らない手はないだろうという腹づもりだった。
「この時間に配信をするので、よかったら見に来てください」という告知を行い、配信内容に興味を持ってくれた人とコミュニケーションをとる。自室で行う手製のごっこ遊びだったため、そこまで華々しい場所にいるという感覚はなかったが、振り返ってみるとこれは実に「憧れのラジオ」だったな、と改めて思う。
当時は主に設定面においてハードルの高い行為だったが、今となってはスマートフォンさえあれば誰でも配信を行えるという時代。ともすればビジネスとしてのスタイルも確立され、お金が入って「プロ」が生まれてきてしまっている。そして時代はYouTuber、ところによっては「ライバー」という概念まで生み出されている。「時代は変わったものだ」とジジイのように唸らずにはいられない。
事程左様に今の時代でもラジオという「ビジネス」な体型はすっかり斜陽産業になってしまっているが、ラジオという「スタイル」はずーっと生き続けているんだなと感じずにはいられない。どうしてここまで大きなストリームを生み続けられるスタイルなのだろう。そう考えた時に、やはり実感するのは「声」という概念の重要性。敬愛するラジオ構成作家・伊福部崇氏の言葉を勝手ながらに引用させていただくと
「人は人の声を聞いていたいという生き物だ」
というお言葉だ。奇しくも去る九年前、東日本大震災においてラジオの重要性が再評価されていた時流。人々はラジオを片手に、耳に、人の声をその身に感じながら、自身の心の安寧を保つのにとても重用されていたという話は枚挙に暇がない。
時代は流れ、自分もいま配信を、ラジオを心待ちにするという日々を送っている。そんな中で、昨年の十二月に放送された「にじさんじvs鷲崎健の異次元トークFight!!」という番組がある。これまたラジオ好きとして敬愛する鷲崎健氏が、上述の「ライバー」の面々が所属する「にじさんじ」のメンバーと文字通りの異次元な位置づけでトークを繰り広げる番組。この放送を受けた翌週の「鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイト」において、本人が自身の名前がツイッターにてトレンド入りしていたことを端に発した感想パートがあった。そこにおいて語られていた言葉。
「家に帰って、なんかしてて、なんかあの人たちがしゃべってる。だから、言ってみりゃ(それって)『ラジオ』なんだよね」
二十年弱もラジオを主戦場として活躍されていた方からの発言。衝撃を受けずにはいられなかった。数十年生きてきて新しくできた好きなものが、実は自分が十数年もの間中、ずっと好きだったものと根本的にはなんら変わらないものなんだなと。肌感覚で実感することはあっても、やはりこうして言語化されてみると、感慨深いなというかなんというか、な気持ちである。ポアロ(上述のお二人が組んでいるユニット)はやっぱりすげーやと思わされる。
なんとなく書き始めてみた自分の趣味の「ラジオ」というテーマ。「配信」という補助線を経て、再び「ラジオ」に行き着き、キレイに輪っかができたところで、今回の記事はここらでお開きとさせていただきましょう。
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